意味
「悲喜交々(ひきこもごも)」とは、悲しい出来事と嬉しい出来事が次々に入れ替わり訪れ、心が忙しく揺れ動くという意味です。
- 悲喜(ひき):悲しみと喜び。
- 交々(こもごも):代わる代わる。次々に。また、錯綜するさま。
単に「良いことと悪いことがあった」という事実だけでなく、それによって心が揺れ動く「情景や心理状態」に焦点を当てた言葉です。
語源・由来
「悲喜交々」は、日本で古くから使われている表現です。
「交々(こもごも)」という言葉は、本来「次々に」「代わる代わる」という意味を持つ副詞です。
「複数の要素が入れ替わり立ち替わり現れる様子」を表す語で、語源は「此(これ)も此(これ)も」が変化したものとする説があります。
使い方・例文
「悲喜交々」は、人生の節目や、大きなプロジェクトの終わり、複雑な結果が出た際など、「一言では言い表せない複雑な心境」を伝えるのに適しています。
ビジネスシーンだけでなく、子育て、受験、引越しなど、日常のあらゆる場面で使われます。
例文
- 娘の結婚式は、親として悲喜交々の心境だった。
- 開票速報を見守る事務所は、刻一刻と変わる情勢に悲喜交々の空気に包まれた。
- 長年住んだ街を離れることになり、胸中は悲喜交々だ。
誤用・注意点
1. 「複数人」の状況に使うのは本来誤り
本来、「悲喜交々」は「一人の人間」の心の中で、悲しみと喜びが交錯することを指します。
そのため、合格発表などで「合格して喜ぶAさんと、落ちて悲しむBさんが入り乱れている状況」を指して「会場は悲喜交々だった」とするのは、厳密には誤用とされています。
ただし、「喜ぶ人と悲しむ人が入り混じる様子」の意味だと思っている人は多く、文化庁の令和5年度「国語に関する世論調査」では、本来の意味とされる「悲しみと喜びを次々に味わうこと」と答えた人が43.4%、「悲しむ人と喜ぶ人が様々にいること」と答えた人が49.7%と、本来とは異なる意味のほうが上回りました。
とはいえ、知識として「本来は個人の感情を指す」と覚えておくと良いでしょう。
2. 読み間違いに注意
「ひきこうこう」と読むのは誤りです。
必ず「ひきこもごも」と読みます。
類義語・関連語
「悲喜交々」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 悲喜交集(ひきこうしゅう):
悲しみと喜びが入り混じって起こること。 - 一喜一憂(いっきいちゆう):
状況の変化に応じて、喜んだり心配したりすること。
※「悲喜交々」の「悲」が悲しみを指すのに対し、「一喜一憂」の「憂」は先行きを心配する気持ちを指す。 - 苦楽(くらく):
苦しみと楽しみ。「苦楽を共にする」の形で、長い時間を共有した経験に対して使われることが多い。 - 哀歓(あいかん):
悲しみと喜び。「人生の哀歓」のように、人生そのものの味わいを指す文脈で使われる。
英語表現
「悲喜交々」を英語で表現する場合、以下のようなフレーズが適しています。
mixed feelings
「複雑な心境」「入り混じった感情」という意味で、最も一般的で使いやすい表現。
喜びと悲しみに限らず、相反する感情が混在している時に使える。
I have mixed feelings about leaving my job.
(仕事を辞めることについて、悲喜交々の心境だ。)
bittersweet
「ほろ苦い」「苦しくも楽しい」という意味で、嬉しさの中に少しの寂しさや辛さが混じっている詩的なニュアンスの言葉。
卒業や別れの場面によく合う。
Graduation is a bittersweet moment.
(卒業は悲喜交々の瞬間だ。)
「こもごも」は「悲喜交々」以外にも単独で使われる
「交々(こもごも)」という言葉は、現代では「悲喜交々」以外で耳にすることは少なくなりましたが、「悲喜」と組まずに単独でも使われます。
例えば、「嘘と真実がこもごも現れる」といえば、嘘と本当のことが代わる代わる出てくる様子を表します。
「悲喜交々」も、「悲喜交々至る」のように後に動詞を続け、悲しみと喜びが代わる代わるやって来ることを表す形で使われます。









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