「歌」に関することわざ・慣用句・四字熟語一覧|意味と由来を網羅解説

スポンサーリンク
「歌」に関することわざ・慣用句・四字熟語一覧|意味と由来を網羅解説 【特集】ことわざ・慣用句・四字熟語

ふとした瞬間に口ずさむメロディや、遠くから聞こえてくる祭囃子。
古来、私たちは言葉にできない情動をメロディに乗せ、「歌」(うた)として語り継いできました。
その言葉は、ある時は時代の空気を映し出す鏡となり、またある時は深い孤独や歓喜を表現する手段となって、今も私たちの語彙の中に息づいています。

社会の移ろいと人生

歌は世につれ世は歌につれ(うたはよにつれよはうたにつれ)

歌は世の中の動きに従って変化し、世の中のありさまもまた、流行する歌に影響されるという意味です。
歌と社会の密接な相互作用を説いた言葉として、最もよく知られています。

時代の空気感が歌詞や旋律に反映され、同時にその歌が人々の価値観や流行を形作っていく様子を、表裏一体の関係として言い表しています。

歌を忘れたカナリア(うたをわすれたかなりあ)

才能に恵まれていた人が、何らかの理由でその能力を発揮できなくなったり、情熱を失って沈黙したりすることを例えます。
本来の持ち味や輝きを失った状態を指して使われる慣用句です。

西條八十の詩「かなりあ」の一節に由来し、かつて美声を誇った鳥が鳴かなくなる物悲しさを、人間の境遇に重ね合わせた表現です。

歌の文句(うたのもんく)

歌の歌詞のことを指しますが、日常会話では「聞き飽きた決まり文句」や「ありふれた口実」という皮肉な意味で使われます。
新しさのない、型通りの言い分を揶揄する際に用いられます。

「またいつもの歌の文句が始まった」と言えば、真実味のない、いつもの言い訳を指すことになります。

白鳥の歌(はくちょうのうた)

作曲家や詩人、芸術家が一生の最後に残す傑作、あるいは最後の上演や演奏を意味します。
人生の集大成となる最後の輝きを指す言葉です。

白鳥は死ぬ間際に最も美しい声で歌うという、西洋の古い伝承に由来しています。

悲しみと孤立

四面楚歌(しめんそか)

周囲がすべて敵や反対者ばかりで、助けが得られず完全に孤立している状態のことです。
絶望的な状況での孤立無援を例えています。

中国の歴史上、項羽が敵軍に包囲された際、周囲から故郷の楚の歌が聞こえてきたため、味方の兵が皆降伏したと察して絶望したという故事に基づいています。

悲歌慷慨(ひかこうがい)

悲しい歌を歌い、運命や社会の不正に対して憤り嘆くことです。
単なる悲しみではなく、正義感や情熱を持って運命に抗うという強いニュアンスが含まれます。

志が遂げられない無念さを歌に託して吐き出し、激しく感情を揺さぶる様子を描写する言葉です。

長歌当哭(ちょうかとうこく)

大声で泣き叫ぶ代わりに、長い歌を歌うことでその悲しみを紛らわせることを意味します。
言葉を失うほどの深い哀しみを、あえて歌という形にして表すことです。

涙さえ出ないほどの過酷な状況において、心の内を静かに、あるいは切々と訴えかけるような様子を指します。

喜びと華やかな情景

鶯歌燕舞(おうかえんぶ)

ウグイスが歌い、ツバメが舞うように、春の麗らかな景色が広がっている様子を指します。
また、平和で活気にあふれた社会の状態を称える際にも使われます。

自然界が生命の喜びに満ちあふれ、平和を享受している理想的な情景を象徴する四字熟語です。

緩歌慢舞(かんかまんぶ)

ゆったりとした歌声と、しなやかで優雅な踊りのことです。
のんびりと宴を楽しみ、平和を享受する様子を意味します。

急ぐことなく、心地よいリズムに身を任せて贅沢な時間を過ごす、平穏な世相を描写する言葉です。

歓歌載路(かんかさいろ)

喜びの歌声が道に溢れている様子を意味します。
民衆が平和を喜び、幸福を享受していることを表す言葉です。

国全体が明るいニュースに沸き、あちこちから喜びの声が聞こえてくるような、非常にめでたい状況を指します。

清歌妙舞(せいかみょうぶ)

清らかな歌声と、巧みな踊りのことです。
演芸や宴席が非常に優れ、美しいことを称賛する際に用いられます。

芸術的な完成度が高く、見る者や聞く者の心を浄化するような素晴らしいパフォーマンスを指します。

情熱と風流な振る舞い

放歌高吟(ほうかこうぎん)

あたり構わず大声で歌ったり、詩を吟じたりすることです。
周囲の目を気にせず、自由奔放に振る舞う様子を意味します。

心のままに声を張り上げることで、束縛を解き放つような爽快感や、あるいは少し度を越した賑やかさを表します。

対酒当歌(たいしゅとうか)

酒を目の前にして歌を歌い、人生の短さを楽しむことです。
「今この瞬間」を大切に過ごそうとする、風流でありながらも刹那的な姿勢を指します。

三国時代の英雄・曹操の詩に由来し、月日の流れの速さを嘆きつつ、目の前の一杯と歌を愛でる心情が込められています。

陽春白雪(ようしゅんはくせつ)

非常に格調が高く、気品に満ちた素晴らしい楽曲や詩歌のことです。
転じて、あまりに高尚すぎて理解できる人が少ないという意味で使われることもあります。

古代中国の優れた歌の曲名に由来し、大衆的なものとは一線を画す高潔な表現を指します。

下里巴人(かりはじん)

通俗的で分かりやすく、多くの人に親しまれる歌や芸術のことです。
前述の「陽春白雪」の対義語として使われ、大衆的で馴染み深いものを指します。

芸術的な優劣というよりも、親しみやすさや普及のしやすさに焦点を当てた言葉です。

表現の技術と余韻

一唱三嘆(いっしょうさんたん)

一度歌えば(あるいは読めば)、何度もため息をつくほど深く感動することを意味します。
詩歌や文章が非常に優れていて、尽きることのない余韻があることの称賛です。

一人が歌い、三人がそれに合わせて感銘の声を漏らすという、古代中国の合唱の様子から生まれた言葉です。

歌枕(うたまくら)

和歌において古くから特定の情緒を結びつけて詠まれてきた、名所や旧跡のことです。
また、歌を詠むための拠り所となる知識や言葉そのものを指すこともあります。

言葉一つに豊かな背景やイメージを投影させる、日本独特の美意識を象徴する用語です。

詠み人知らず(よみびとしらず)

優れた歌でありながら、その作者が誰であるか分からなくなっていることを指します。
作者の名前を超えて、作品そのものが愛され続けている状態です。

古今和歌集などの選集において、作者不明の秀作を扱う際の見出しとして定着しました。

喉を鳴らす(のどをならす)

おいしいものを目の前にして期待に胸を膨らませたり、鼻歌を歌うように機嫌よく過ごしたりする様子を指します。
また、満足げに何かを待ち望む心理状態を例える慣用句です。

猫が満足して喉を鳴らす様子や、楽しみで思わず声が漏れそうな期待感を表しています。

鼻歌交じり(はなうたまじり)

鼻歌を歌いながら何かをする、非常に気楽で余裕がある様子です。
緊張感がなく、リラックスして物事に取り組んでいる状態を指します。

仕事や家事がスムーズに進み、心に余裕がある時の晴れやかな気分を描写する際によく使われる言葉です。

まとめ

歌にまつわる言葉の数々は、単なる音の並びを超えて、人間の多種多様な生き様を映し出しています。
社会のうねり、絶望の中の孤独、そして春の陽光のような喜び。
それらすべてがメロディという形を通じて、私たちの文化や知恵として定着してきました。

日常の中でこれらの言葉に触れるとき、そこにはかつて誰かが口ずさんだ歌の余韻が響いているはずです。
言葉の背景にある物語を知ることで、私たちの日常や感情の輪郭も、より鮮やかに描き出されることになることでしょう。

スポンサーリンク

コメント