同じ内容を伝えているはずなのに、言い方ひとつで相手を怒らせてしまったり、逆にすんなりと納得してもらえたりした経験はありませんか?
人間関係において、結果を左右するのは「何を伝えるか」以上に「どう伝えるか」である場面が多々あります。
「丸い卵も切りようで四角」は、そんなコミュニケーションの機微や、物事の扱い方の重要性を説いた言葉です。
「丸い卵も切りようで四角」の意味
物事はやり方や言い方次第で、円満に収まることもあれば、角が立って険悪になることもあるというたとえです。
本来は丸くて穏やかなものであっても、扱い方を間違えれば角張ったものになってしまうことから、特に言葉の表現方法ひとつで相手に与える印象が大きく変わることを戒める際によく使われます。
- 丸い卵:円満な状態、穏やかな事柄の象徴。
- 切りよう:扱い方、切り出し方、言葉の選び方。
- 四角:角が立つこと。義理を欠いたり、相手の感情を害したりする状態。
「丸い卵も切りようで四角」の由来・語源
この言葉は、江戸時代後期に成立し、庶民の間で親しまれた「江戸いろはかるた」の「ま」の読み札として広く知られています。
卵(ゆで卵や厚焼き卵など)は、本来は丸みを帯びた形状をしていますが、包丁の入れ方次第で四角く切ることもできます。
料理において形が変わる様子を、人間関係や対話の場面になぞらえ、「穏便に済むはずの話も、言い方ひとつで角が立つ(四角になる)」という教訓として定着しました。
「丸い卵も切りようで四角」の使い方・例文
主に、相手への配慮に欠ける言い方をしてトラブルになった時や、逆に上手な言い回しで問題を解決した時など、コミュニケーションの手法に焦点を当てて使われます。
特に、言い方がきつい人への忠告や、交渉ごとにおける戦術の重要性を説く場面で適しています。
例文
- 頼み事をする時は、もう少し言葉を選んだほうがいい。「丸い卵も切りようで四角」と言うように、その言い方では相手も意固地になってしまうよ。
- 「丸い卵も切りようで四角」と言うが、彼女が笑顔で説明すると、面倒なクレームも不思議と丸く収まってしまう。
- 君の正論はもっともだが、言い方が刺々しすぎる。「丸い卵も切りようで四角」、伝え方を工夫しなければ人は動かないものだ。
「丸い卵も切りようで四角」の類義語
言い方ややり方次第で結果が変わることを表す言葉は他にもあります。
- 物は言いよう:
同じ物事でも、言い方次第で良くも悪くも聞こえるということ。「丸い卵〜」が「角が立つ(トラブルになる)」ことに重きを置くのに対し、こちらは「印象操作」や「視点の転換」というニュアンスも含みます。 - 物も言いようで角が立つ:
「丸い卵〜」とほぼ同じ意味。穏便に済むことも、言い方が悪いと争いの種になるという戒めです。
「丸い卵も切りようで四角」の英語表現
英語圏にも、伝え方や扱い方の重要性を説く表現が存在します。
It is not what you say, but how you say it
- 意味:「何を言うかではなく、どう言うかが重要だ」
- 解説:言葉の内容そのものよりも、声のトーンや言葉選びといった伝達方法が人間関係に影響を与えることを示す、非常に一般的な表現です。
- 例文:
Please be polite. As the saying goes, it is not what you say, but how you say it.
(礼儀正しくしなさい。よく言われるように、何を言うかではなく、どう言うかが重要なのだから。)
「丸い卵も切りようで四角」に関する豆知識
いろはかるたの地域差
「江戸いろはかるた」では「ま」の札は「丸い卵も切りようで四角」ですが、地域によって採用されていることわざが異なります。
- 京都(上方):「負けるが勝ち」
(無理に争うより、相手に勝ちを譲るほうが最終的に利益を得られる) - 大阪:「待てば海路の日和あり」
(焦らず時期を待てば、そのうち好機が訪れる)
江戸の「丸い卵〜」が処世術やコミュニケーションの技巧を説いているのに対し、上方や大阪では戦略的な忍耐や余裕を説く言葉が選ばれている点が興味深い違いと言えるでしょう。
まとめ – 丸い卵も切りようで四角から学ぶ知恵
この言葉は、私たちに「内容は正しければよい」というわけではないことを教えてくれます。どれほど相手を思った提案(丸い卵)であっても、ぶっきらぼうな言い方(切りよう)をしてしまえば、相手の心には「四角い」拒絶感が残るだけかもしれません。
伝えたいことを真っ直ぐに届けるために、少しだけ「切り方」を工夫する。そんな一手間を惜しまないことが、人間関係を円滑にする秘訣と言えるでしょう。






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