意味
「意気消沈(いきしょうちん)」は、何らかの理由で気力が衰え、しょげかえることです。
- 意気:何かをやり遂げようとする積極的な気持ちを指します。
- 消沈:気力などが衰えてしまうことを表します。
語源・由来
唐の詩人白居易の詩「曲江感秋二首」に、次の一節があります。
白髮映朱紱,銷沈昔意氣,改換舊容質。
(白髪が高官の印の朱の組みひもに映え、昔の意気込みは消え沈み、かつての姿もすっかり変わった。)
この句では、昔の「意氣」(意気込み)が「銷沈」した(消え沈んだ)と詠まれています。
本来は、金属が溶けてなくなることを意味する「銷」の字を用いた「意気銷沈」と表記し、燃え上がっていた気持ちが、金属が溶け落ちるように消え失せてしまう状態を表しています。
現在では同音で似た意味を持つ「消」を用いた表記が一般的です。
使い方・例文
「意気消沈」は、自信を喪失した時や、ショックを受けて落ち込んでいる人の様子を描写するという場面で使われます。
- 予選で敗退し、選手たちは意気消沈して引き揚げた。
- 企画が通らず意気消沈していたが、同僚に励まされた。
- 彼は意気消沈した様子で、一日中ため息をついている。
漢字表記に関する注意点
「意気消沈」を使用する際は、同音異義語との混同に注意が必要です。
「一気」と間違えて「一気消沈」としたり、天に昇ることを意味する「昇天」と混同して「意気昇天」としたりするのは誤りです。
また、「意気衝天(天を突くほど意気盛ん)」という正反対の四字熟語もあるため、表記の際は確認が必要です。
類義語・関連語
「意気消沈」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 意気阻喪(いきそそう):
気力がくじけて、すっかり元気がなくなってしまう様子。 - 青菜に塩(あおなにしお):
元気だった人が、何らかのきっかけでしおれてしまう状態。 - 垂頭喪気(すいとうそうき):
頭を垂れて気力を失い、がっくりとうなだれる姿勢。 - 悲嘆に暮れる(ひたんにくれる):
深い悲しみに沈み、何も手につかないまま時を過ごすこと。
対義語
「意気消沈」と反対の意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 意気揚々(いきようよう):
得意になって、誇らしげに振る舞う様子。 - 意気軒昂(いきけんこう):
意気込みが盛んで、元気があふれている状態。 - 意気衝天(いきしょうてん):
天を突きくずすほどに、意気込みが非常に盛んな様子。
英語表現
lose heart
意味:自信や希望をなくして落胆すること
Don’t lose heart.
(意気消沈するな。)
dejected
意味:期待が裏切られるなどして気分が沈んだ状態
He looked dejected.
(彼は意気消沈しているように見えた。)
漱石は『吾輩は猫である』で「意気銷沈」と書いた
「意気消沈」の古い例に、夏目漱石の『吾輩は猫である』(1905〜06年)第八章の場面があります。
ある実業家は、自分に頭を下げない苦沙弥先生を困らせようと、近所の学校の生徒にいたずらをさせていました。
様子を見てきてほしいとその実業家に頼まれた、苦沙弥の旧友の鈴木藤十郎はこう答えます。
あの頑固なのが意気銷沈しているところは、きっと見物ですよ
(あの頑固者がしょげ返っているところは、きっと見ものですよ。)
漱石は「消」ではなく「銷」の字で書いています。
由来の節で触れた「意気銷沈」という本来の書き方は、明治の小説でもこのとおり使われていました。











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