さっきまであんなに元気だったのに、急にしゅんとしてしまった…。
そんな風に、人が急に元気をなくしてしょげている様子を、「青菜に塩(あおなにしお)」と言います。
今回は、「青菜に塩」の基本的な意味から、その由来、使い方、類語や対義語まで、分かりやすく解説していきます。
「青菜に塩」の意味・教訓
「青菜に塩」とは、人が元気をなくしてしょげる様子、気落ちして肩を落とす様子を表すことわざです。
さっきまでシャキッとしていた人が、何かのできごとがきっかけで、急に気力を失い、しおれてしまったような姿をたとえて使われます。
「青菜に塩」の語源
このことわざの由来は、料理の様子から来ています。
ほうれん草や小松菜などの青菜に塩をかけると、浸透圧の作用で水分が抜け、かさが減ってしんなりとしおれてしまいます。
その様子が、人が急に元気をなくし、がっかりしてうなだれる姿に似ていることから、このことわざが生まれました。
使用される場面と例文
試験に落ちた、試合に負けた、叱られたなど、何かの原因で急に元気がなくなってしまった場面で使われます。
例文
- 「試験に落ちたと聞き、彼は「青菜に塩」といった様子で、一日中ぼんやりとしていた。」
- 「プレゼンが失敗に終わり、彼女は「青菜に塩」のような状態だった。」
- 「試合に負けた選手たちは、皆「青菜に塩」といった様子でうなだれていた。」
文学作品やメディアでの使用例
夏目漱石の小説『坊っちゃん』にも、この表現が登場します。
(前略)山嵐にひどくやっつけられて、「青菜に塩」の様子で、部屋の隅で 泣き出した。
(出典:夏目漱石『坊っちゃん』)
類義語・言い換え表現
「青菜に塩」と似た、元気がなくなる様子を表す言葉を紹介します。
- 意気消沈(いきしょうちん):
元気がなくなって沈み込むこと。 - 萎れる(しおれる):
草花が元気をなくすこと。転じて、人が元気をなくす様子。 - 悄れる(しょげる):
がっかりして元気がなくなる様子。 - 肩を落とす(かたをおとす):
失望や落胆から、力が抜けて肩が下がる様子。 - しょんぼり:
元気がなく、寂しそうな様子。
対義語
「青菜に塩(=元気をなくす)」とは反対に、元気で威勢が良い様子を表す言葉です。
- 意気揚々(いきようよう):
得意げで、威勢の良い様子。 - 元気百倍(げんきひゃくばい):
非常に元気な様子。(アンパンマンの作者「やなせたかし」が語源?) - 勇気凛々(ゆうきりんりん):
勇ましく、気力に満ち溢れている様子。 - 活気溌剌(かっきはつらつ):
生き生きとして元気の良い様子。
英語での類似表現
「青菜に塩」のように「しおれている」状態を表す、英語のフレーズです。
lose one’s spirits
- 意味:「気落ちする」「元気がなくなる」。
- 例文:
He lost his spirits when he heard the bad news.
(彼は悪い知らせを聞いて、青菜に塩の状態になった。)
be dejected
- 意味:「落胆する」「がっかりする」。
- 例文:
She was dejected after failing the exam.
(彼女は試験に落ちて青菜に塩だった。)
feel / be downhearted
- 意味:「落胆する」「意気消沈する」。
- 例文:
Don’t feel so downhearted just because you made one mistake.
(一度の失敗で、そんなに青菜に塩にならないで。)
使用上の注意点
「青菜に塩」は、それまで元気だった人が「急に」元気がなくなった、という変化を表す際に使われます。
病気などで徐々に元気がなくなっていくような場合には、あまり適切ではありません。
まとめ – 元気をなくした姿のたとえ
「青菜に塩」は、人が急に元気をなくし、しょげている様子を、青菜がしおれる姿にたとえたことわざです。
その様子が目に浮かぶような、日本語らしい比喩表現の一つですね。




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