「あの人は、本当に真面目に、熱心に仕事に取り組んでいる」。組織の中で、このように周囲から厚い信頼を得ている人が持つ姿勢を、的確に表す四字熟語が「精励恪勤(せいれいかっきん)」です。
これは「勤勉実直」と似ていますが、さらにフォーマルで、任務への忠実さを含む、非常に評価の高い言葉です。その正確な意味や、どのような場面で使われるのかを分かりやすく解説します。
「精励恪勤」の意味・教訓
「精励恪勤」とは、「(任務や仕事に対し)精一杯力を尽くして励み、忠実に(つつしんで)勤めること」を意味します。
非常に真面目で、責任感が強く、怠けることなく職務に打ち込む様子を表す、最上級の賛辞の一つです。
この四字熟語は、以下の漢字で構成されています。
- 精(せい):心を込める。最善を尽くす。
- 励(れい):力を尽くす。はげむ。
- 恪(かく):つつしむ。まじめ。忠実であること。
- 勤(きん):つとめる。はたらく。
前半の「精励」が「熱心に努力すること」を、後半の「恪勤」が「忠実に、つつしみ深く勤めること」を意味しており、この二つが合わさって、私利私欲のためではなく、与えられた任務や職務に誠心誠意取り組む姿勢を示しています。
「精励恪勤」の語源
「精励恪勤」は、特定の古典や逸話(故事成語)に直接由来するものではありません。
「精励」と「恪勤」という、それぞれ「努力する」「忠実に勤める」という意味を持つ二つの漢熟語が組み合わさって成立した四字熟語です。
日本語として、特に公的な文書やフォーマルなスピーチなどで、人物の勤務態度を高く評価するために用いられてきました。
「精励恪勤」の使い方と例文
「精励恪勤」は、非常に硬い(フォーマルな)言葉であり、日常会話で使われることはほとんどありません。
主に、会社の表彰状、推薦状、辞令、あるいは改まったスピーチ(式辞や弔辞)などで、特定の人物の長年にわたる勤務態度や功績を称賛する「書き言葉」として使われます。
例文
- 「あなたは入社以来三十年の長きにわたり、精励恪勤、当社の発展に多大なる貢献をされました。」(表彰状にて)
- 「故〇〇部長は、在職中、常に精励恪勤の姿勢を崩さず、多くの後輩から慕われておりました。」(弔辞にて)
- 「彼を次期リーダーとして推薦する理由は、その精励恪勤たる勤務態度が、全社員の模範となっているからです。」(推薦状にて)
類義語・関連語
「精励恪勤」と似た、熱心さや真面目さを表す言葉を紹介します。
- 勤勉実直(きんべんじっちょく):
一生懸命に励み(勤勉)、真面目で正直(実直)であること。「精励恪勤」と非常に近いですが、「恪勤」が持つ「(組織や任務への)忠実さ」というニュアンスはやや弱まります。 - 粉骨砕身(ふんこつさいしん):
力の限り努力すること。「精励」と似ていますが、こちらは「身を粉にして」という自己犠牲的なニュアンスがより強いです。 - 滅私奉公(めっしほうこう):
私的な利益や欲望を捨てて、公(おおやけ)のために尽くすこと。「恪勤」の「忠実さ」を究極まで高めた状態に近い言葉です。
対義語
「精励恪勤」とは対照的に、怠けたり、不真面目であったりする状態を表す言葉です。
- 遊手好閑(ゆうしゅこうかん):
定職を持たず、仕事をしないで遊び暮らすこと。 - 無為徒食(むいとしょく):
何も仕事をせず、ただ食べて遊び暮らすこと。 - 職務怠慢(しょくむたいまん):
与えられた仕事や義務を怠ること。「恪勤」の正反対の状態です。 - 怠惰(たいだ):
怠けること。なまけ癖。「精励」の正反対の状態です。
英語での類似表現
「精励恪勤」の「勤勉さ」と「忠実さ」を伝える英語表現です。
Diligence and faithfulness
- 意味:「勤勉さと忠実さ」
- 解説:”Diligence”(勤勉、精励)と “Faithfulness”(忠実さ、誠実さ)を組み合わせた表現で、「精励恪勤」のニュアンスをよく伝えます。
- 例文:
He is respected for his diligence and faithfulness to the company.
(彼は会社への精励恪勤(勤勉さと忠実さ)のゆえに尊敬されている。)
Assiduous
- 意味:「勤勉な」「根気強い」
- 解説:一つの単語ですが、「絶えず熱心に」というニュアンスを持ち、「精励」に近い言葉です。
- 例文:
She was an assiduous student, always prepared for class.
(彼女は精励恪勤な(非常に勤勉な)学生で、いつも授業の準備ができていた。)
使用上の注意点
「精励恪勤」は、その格式の高さから使い方に注意が必要です。
- 自分に使わない:
この言葉は、基本的に他者を最大限に評価・称賛するために使います。就職活動の面接などで「私の長所は精励恪勤です」などと自分に使うと、非常に尊大で、言葉の重みを理解していないと受け取られる可能性が高いため、避けるべきです。 - 日常会話では浮いてしまう:
「昨日のA君の仕事ぶり、精励恪勤だったね」のように日常会話で使うと、大げさで不自然に聞こえます。使う場面をわきまえる必要がある言葉です。
まとめ – 「精励恪勤」という姿勢
「精励恪勤」は、単に「真面目に働く」ことを超え、与えられた任務に対して「精一杯の力を尽くし、忠実に勤め上げる」という、非常に誠実で責任感の強い姿勢を表す四字熟語です。
日常で口にすることは少なくても、表彰状や式辞などでこの言葉が使われるとき、そこにはその人の長年にわたる揺るぎない努力と貢献に対する、深い敬意が込められています。



コメント