意味
「糠喜び(ぬかよろこび)」とは、期待していたものが結局は外れてしまい、喜びもつかの間で終わってしまう様子をいいます。
玄米を精白する際に出る細かくて頼りない「糠」の性質を、実質の伴わない感情に例えています。
語源・由来
「糠」は、玄米などを精白する際に、果皮や種皮が砕けて粉になったものです。
この「糠」は語の頭に付けて、ごく細かいこと、はかないこと、むなしいことを表すのにも使われます。
ごく細かい雨を言う「糠雨」も同じ使い方で、「糠喜び」は、むなしく終わる喜びを言います。
使い方・例文
糠喜びは、期待していた出来事が勘違いや取り消しによって裏切られ、落胆する場面で使われます。
- くじの当選番号を見間違えており、糠喜びをしてしまった。
- 欲しかった商品の在庫があると聞いて駆けつけたが、売り切れで糠喜びに終わった。
類義語・関連語
- 一場春夢(いちじょうしゅんむ):
人の世の栄枯盛衰が、短い春の夜の夢のようにはかなく虚しく消え去ること。 - 邯鄲の夢(かんたんのゆめ):
人生における栄華は、一瞬の夢に過ぎずはかなく虚しいものであるという例え。 - 捕らぬ狸の皮算用(とらぬたぬきのかわざんよう):
まだ手に入っていないものを確実に得られると当てにして、無駄な計画を立てること。
「糠喜び」と「空喜び」の違い
「糠喜び」とほぼ同じ意味で使われる言葉に「空喜び(そらよろこび)」がありますが、辞書的な定義に一つ異なる点があります。
「糠喜び」は期待外れに終わった無駄な喜びだけを指しますが、「空喜び」はそれに加えて、なんとなくうれしく思うことも指します。
なお、「空涙(そらなみだ=嘘泣き)」から類推し、「空喜び」を「うれしいふりをする(演技)」と解釈されることがありますが、本来の辞書的な意味にそのような用法は含まれていないため注意が必要です。
対義語
糠喜びと反対のニュアンスを持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 案ずるより産むが易し(あんずるよりうむがやすし):
事前に思い悩んでいたことが、実際には拍子抜けするほどうまくいく様子。
英語表現
fool’s paradise
直訳は「愚か者の天国」で、虚偽の希望に基づく幸福な状態を指す言い回し。
He is living in a fool’s paradise.
(彼は糠喜びの世界に浸っている。)
糠喜びと糠に釘、同じ「糠」で言うむなしさ
「糠喜び」の「糠」は、米を精米したときに出る、実質のない粉状の部分です。
この「中身がない」というイメージは、ほかのことわざにも形を変えて残っています。
糠に釘(ぬかにくぎ)は、柔らかく頼りない糠に釘を打ち込んでもすぐ抜けてしまうことから、何をしても手応えや効き目が感じられないことのたとえです。
むなしい喜びも、むなしい努力も、同じ「糠」という一文字で言い表されています。










コメント