ことわざ 故事成語

木に縁りて魚を求む

(きによりてうおをもとむ)

方法が間違っているために目的を達成できないこと。


11文字の言葉き・ぎ」から始まる言葉
木に縁りて魚を求む ことば
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意味

「木に縁りて魚を求む」とは、物事を行う手段や方法が間違っているために、目的を達成できないことのたとえです。

いくら熱心に努力を重ねたとしても、その方向性が的外れであれば、得られる結果は「無」であるという厳しい戒めを含んでいます。

  • (き):植物の木。
  • 縁りて(よりて):よじ登る、あるいは手段として頼るという意味。
  • (うお):目的とするもの。
  • 求む(もとむ):手に入れようとする。

語源・由来

「木に縁りて魚を求む」の由来は、中国の戦国時代の思想家、孟子の言行を記した『孟子』の一節にあります。

斉の宣王が武力によって天下を統一したいと願った際、孟子は王の強引な政策を「木に登って魚を捕ろうとするようなものだ」と批判しました。
武力で民を従わせようとするのは手段が間違っており、かえって国を滅ぼすと説いたのです。

この逸話から、見当違いな努力や実現不可能な望みを抱くことを指すようになりました。

使い方・例文

「木に縁りて魚を求む」は、計画の段階でミスがある場合や、本人の努力が空回りしている場面で使われます。

例文

  • 基礎を疎かにしたまま難問ばかり解くのは、木に縁りて魚を求むようなものだ。
  • 運動も食事制限もせずに痩せようとするのは、まさに木に縁りて魚を求むだね。
  • 宣伝活動を一切せずに商品を売ろうとする計画は、木に縁りて魚を求むに等しい。
  • 彼のやり方では、どれだけ時間をかけても木に縁りて魚を求むの結果に終わるだろう。

誤用・注意点

「木に縁りて魚を求む」を使う際、読み方に注意が必要です。

よくある間違いとして「木に登りて(のぼりて)」と言ってしまうことがありますが、正しい表記と読みは「縁りて(よりて)」です。
また、この言葉は「努力が足りない」ことを責めるのではなく、「努力の方向が間違っている」ことを指摘する言葉です。

一生懸命頑張っている人に対して使うと、「あなたの努力はすべて無駄だ」と全否定するニュアンスになりかねないため、目上の人や落ち込んでいる相手に使うのは避けたほうが賢明です。

類義語・関連語

「木に縁りて魚を求む」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 畑に蛤を求む(はたけにはまぐりをもとむ):
    海の幸である蛤を畑で探すことから、場所や方法が間違っていて不可能なことを願うたとえ。
  • 山に蛤を求める(やまにはまぐりをもとめる):
    上記と同様、山の斜面で貝を探すような、見当違いな行動を指す言葉。
  • 百年河清を待つ(ひゃくねんかせいをまつ):
    濁った黄河の水が澄むのを百年待つことから、いくら待っても実現しないことのたとえ。
  • 糠に釘(ぬかにくぎ):
    手応えがなく、何の効果もないことのたとえ。
  • 暖簾に腕押し(のれんにうでおし):
    力を入れても手応えがない様子。

対義語

「木に縁りて魚を求む」とは対照的な意味を持つ言葉は以下の通りです。

  • 正鵠を得る(せいこくをえる):
    物事の核心を正しく突くこと。
  • 的を射る(まとをいる):
    的確に要点を捉えること。
  • 理に適う(りにかなう):
    道理に合っており、正しい方法であること。

英語表現

「木に縁りて魚を求む」を英語で表現する場合、以下の慣用句が使われます。

Barking up the wrong tree

「見当違いなことをする」「攻める相手を間違えている」
猟犬が獲物のいない木に向かって吠えている様子から、努力の方向が間違っている状況を指します。

If you expect him to apologize, you’re barking up the wrong tree.
(彼が謝ると思っているなら、それはお門違いだ。)

Looking for a needle in a haystack

「干し草の山から針を探す」
不可能に近いことや、極めて効率の悪い方法で何かを達成しようとしている状況で使われます。

魚は取れないだけ、武力は国を傷つける

孟子のたとえには続きがあります。
王が「そこまでひどいものか」と問い返すと、孟子は「木に登って魚を求めるのは、魚が手に入らないだけで後の災いはない。だが王のやり方は、力を尽くしてやり遂げたあとに必ず災いがある」と答えました。

方法が的外れなだけなら、無駄に終わって済みます。
武力で他国を従えようとすれば、失敗しても成功しても国が傷つく、という対比がここで示されています。

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