意味
「一望千里(いちぼうせんり)」とは、ひと目で千里(非常に遠い距離)先まで見渡せるほど、広々と見晴らしが良いという意味です。
また、その広大で雄大な景観そのものを指して使われます。
「千里」は具体的な距離を示す数字ではなく、無限に続くかのような広がりを強調する比喩表現です。
- 一望(いちぼう):ひと目で見渡すこと。
- 千里(せんり):非常に遠い距離のたとえ。
使い方・例文
高い場所から見下ろす景色や、地平線まで続く平野など、視界が開けている状況で使用します。
例文
- 展望台のゲートを抜けると、そこには一望千里の夜景が広がっていた。
- 飛行機の窓から、一望千里の雲海を眺めていると、悩みも小さく思えてくる。
- 遮るもののないこの丘は、一望千里の田園風景を楽しめる絶好のスポットだ。
- かつての古戦場は今、一望千里の穏やかな草原となっている。
類義語・関連語
「一望千里」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 一目千里(いちもくせんり):
ひと目で遠いところまで見渡せること。意味は「一望千里」とほぼ同じ。 - 広大無辺(こうだいむへん):
果てしなく広く、際限がないこと。空間的な広がりを強調する言葉。
対義語
「一望千里」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。
- 咫尺の間(しせきのかん):
距離が非常に近いこと。「咫」は中国の周の制度で8寸、「尺」は10寸で、どちらも短い長さを表します。 - 目と鼻の先(めとはなのさき):
顔にある目と鼻のように、距離が非常に近いことのたとえ。
英語表現
「一望千里」を英語で表現する場合、以下のような言い回しがあります。
As far as the eye can see
直訳は「目で見渡せる限り」で、視界の端から端まで広がる様子を表す、最も一般的で自然な表現。
The desert stretched out as far as the eye could see.
(砂漠が「一望千里」に広がっていた。)
A sweeping view
直訳は「圧倒的な全景」「広々とした眺め」で、「sweeping」は掃くような動作を指し、視線が弧を描くように広範囲を捉えるニュアンスを持つ表現。
We enjoyed a sweeping view of the valley from the peak.
(山頂から、谷の「一望千里」の景色を楽しんだ。)
漢文の旅行記の「一望千里」、山頂にも平野にも
「一望千里」は、昔の中国や朝鮮の人が漢文で書いた旅の記録にも使われています。
明の文人銭謙益は、1641年に黄山に登った記録『遊黄山記』に、「山行三日、天宇軒豁、如高秋蕭辰、一望千里」(山を三日歩くうちに空が大きく晴れ、秋の澄んだ朝のように、はるか遠くまで見渡せた)と書いています。
春や夏の黄山はもやに包まれ、すぐ先も見分けられないのがふつうで、山の僧もこんなことは初めてだと驚いた、と続けています。
朝鮮の学者朴趾源は、1780年に清へ向かった旅の記録『熱河日記』で、遼陽から瀋陽へ向かう途中の平野を「平原曠野、一望千里」(平らな原野が、はるか遠くまで見渡せる)と書きました。
さえぎるものがないので守りにくく、昔から戦いの場になってきた土地だ、という話の中の言葉です。
山頂の晴れた眺めにも、果てのない平野にも、漢文の書き手は「一望千里」の四字を当てていました。











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