何か大きな目標を立てた時や、新しい環境に飛び込んだ時。
期待と不安で心が浮き立ち、現実的な段取りを忘れてしまうことがあります。
そんなとき、ふと立ち止まって自分の現在地を確かめ、一歩一歩を着実に歩む姿勢。
考え方や行動が現実的で落ち着いている様子を、
「地に足がつく」と言います。
意味・教訓
「地に足がつく」とは、考え方や行動が現実をしっかり捉えており、落ち着いている状態を指す言葉です。
浮ついたところがなく、基礎を固めて着実に物事を行う様子を表現します。
理想ばかりを追い求めるのではなく、自分にできることを一つずつ積み上げるという、信頼感のある姿勢を指します。
語源・由来
「地に足がつく」の由来は、歩行時の物理的な安定感にあります。
足の裏が地面から離れていれば、体は不安定になり、思い通りに進むことはできません。
この状態を精神面や生活態度に当てはめ、妄想や一時的な感情に流されず、現実をしっかり踏みしめて生きる姿勢を指すようになりました。
この言葉は、古くから使われていた「足が地に着かない(浮ついている)」という表現の対照的な状態として定着したものです。
江戸時代には「足が地に着かぬ」という表現で、落ち着きを欠く様子を戒める文脈が多く見られましたが、近代以降、現在の肯定的な形でも広く使われるようになりました。
使い方・例文
空想や期待に胸を膨らませるのではなく、現状を冷静に見つめて行動する場面で使われます。
人の性格を評価する際や、計画の妥当性を判断する際によく用いられます。
例文
- 彼は社会人になってから、ようやく「地に足がついた」生活を送るようになった。
- 流行に流されず、自分の価値観を大切にする彼女の生き方は「地に足がついた」ものだ。
- 夢を語るのもいいが、まずは「地に足がついた」計画を立てることが先決だ。
- 派手な演出はないが、その職人の仕事は非常に「地に足がついて」おり信頼できる。
類義語・関連語
「地に足がつく」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 着実(ちゃくじつ):足元を固めて、間違いなく物事を進める様子。
- 堅実(けんじつ):手堅く、危なげがない様子。
- 実直(じっちょく):誠実で、かざりけがなく、真面目なこと。
「着実」は主に行動のプロセスを指しますが、「地に足がつく」はその人の精神的な構えや生活態度を含めて表現する際に適しています。
対義語
「地に足がつく」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 足が地に着かない(あしがちに付かない):
考え方が非現実的だったり、緊張や興奮で落ち着かなかったりする様子。 - 浮き足立つ(うきあしだつ):
恐れや不安、あるいは期待で落ち着きを失い、逃げ腰になること。 - 雲を掴むよう(くもをつかむよう):
物事が漠然としていて、現実味がない様子。
英語表現
「地に足がつく」を英語で表現する場合、地面と足の関係を用いた直訳に近い表現が一般的に使われます。
Have one’s feet on the ground
- 意味:「現実的である」「落ち着いている」
- 解説:自分の足がしっかりと地面についているという、日本語とほぼ同じイメージで使われる定型表現です。
- 例文:
No matter how famous he becomes, he always has his feet on the ground.
(どんなに有名になっても、彼は常に地に足がついている。)
Down-to-earth
- 意味:「現実的な」「気取らない」
- 解説:人の性格を表す際によく使われる形容詞です。理想(空)ではなく、現実(土)に密着しているという意味です。
- 例文:
I like her because she is very down-to-earth and easy to talk to.
(彼女はとても地に足がついていて話しやすいので、私は彼女が好きだ。)
豆知識:使い分けのヒント
「地に足がつく」と似た響きの言葉に「浮き足立つ」がありますが、これらは混同されやすいため注意が必要です。
「浮き足立つ」は、現代では「期待でソワソワする」という意味で使われることが増えていますが、本来は「不安や恐怖で逃げ腰になる」というネガティブな意味を持つ言葉です。
それに対し、「地に足がつく」はどのような状況でも常にポジティブな「安定・信頼・成熟」の意味で使われます。
また、自分の意思でその状態に持っていこうとする場合は、「地に足を付ける」と動詞の形を変えて表現するのが適切です。
まとめ
「地に足がつく」という言葉は、私たちが日々の忙しさの中でつい忘れがちな、大切な姿勢を思い出させてくれます。
理想を追う情熱も必要ですが、それを実現させるのは、今日という日を誠実に生きる一歩一歩の積み重ねに他なりません。
自分の立っている場所をしっかりと見つめ直すことで、より確かな未来への道筋が見えてくることでしょう。




コメント