明日は我が身

スポンサーリンク
ことわざ 慣用句
明日は我が身
(あしたはわがみ)

7文字の言葉」から始まる言葉

テレビから流れる突然の解雇通知や、予期せぬ事故のニュース。
それらを「運が悪い人たちの出来事」と切り捨ててしまうのは、少し危ういかもしれません。
人生の暗転は誰の身にも等しく起こり得るという戒めを、
「明日は我が身」(あしたはわがみ)と言います。

意味・教訓

「明日は我が身」とは、他人の身に起こった不幸や災難は、決して他人事ではなく、いつ自分にも降りかかるかわからないという意味です。

この言葉には、順調な時こそ慢心を戒め、他人の不運に対して謙虚であるべきだという教訓が含まれています。
「自分だけは大丈夫だ」という根拠のない自信を打ち消し、人生の不確実性を説く言葉です。

語源・由来

「明日は我が身」の語源は、中世の文学作品『曽我物語』(そがものがたり)などに見られる「今日は人の上、明日は我が身の上」という表現にあります。

この言葉の背景には、鎌倉時代以降の日本に深く根付いた「無常観」があります。
物事は常に変化し、一瞬先には何が起こるか分からないという仏教的な死生観が、庶民の教訓として定着しました。
後に「上方いろはかるた」の読み札(「き」の札)に採用されたことで、日本中に広く知れ渡ることとなりました。

使い方・例文

「明日は我が身」は、他人の不幸や失敗を教訓として、自らを律する際に用いられます。
ビジネスや家庭、学校など、慢心や油断を戒めたいあらゆる場面で使われる言葉です。

例文

  • 同業他社の不祥事をニュースで知り、「明日は我が身」と身を引き締めた。
  • 「友達のミスを笑うな。明日は我が身だぞ」と先生が注意した。
  • 近所の空き巣被害を耳にし、「明日は我が身」と戸締まりを徹底した。
  • チームメイトの負傷を見て、明日は我が身と入念なストレッチを行った。

文学作品・メディアでの使用例

『曽我物語』(作者不明)

日本三大仇討ちの一つとして知られる古典軍記物語です。
無常な世の理を説く場面で、この言葉の原型が登場します。

「今日は人の上、明日は我が身の上」

類義語・関連語

「明日は我が身」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 一寸先は闇(いっすんさきはやみ):
    ほんの少し先のことでも、何が起こるか全く予測できないこと。
  • 今日は人の上明日は我が身の上(きょうはひとのうえあしたはわがみのうえ):
    「明日は我が身」の語源となった、より丁寧な表現。
  • 昨日は人の身今日は我が身(きのうはひとのみきょうはわがみ):
    昨日他人の身に起きたことが、今日自分の身に起きるという意味の類似句。

対義語

「明日は我が身」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 対岸の火事(たいがんのかじ):
    自分には直接の関係がなく、何の苦痛も感じないこと。
  • 高みの見物(たかみのけんぶつ):
    第三者の立場で、利害に関係なく事のなりゆきを眺めること。

英語表現

「明日は我が身」を英語で表現する場合、以下の定型表現が用いられます。

Today me, tomorrow thee

  • 意味:「今日は私、明日はあなた」
  • 解説:ラテン語の格言に由来する英語の古い諺です。
    「今日は私が墓に入る番だが、明日はあなたの番だ」という死の無常を説く言葉が、不幸全般を指すようになりました。

There but for the grace of God go I

  • 意味:「神の恩寵がなければ、私もあのように(不幸に)なっていた」
  • 解説:他人の不運を見たときに、「一歩間違えれば自分もそうなっていた」という自戒と謙虚さを込めて使われる有名なフレーズです。

読み方は、「あした」か「あす」か

「明日」の読み方について、辞書やことわざ辞典では伝統的な読みである「あした」で統一されていることがほとんどです。

もともと「あした」は、夜が明けたばかりの「朝」を指す言葉でした。
「今日の朝は他人のことでも、明日の朝(次の日)には自分のことになっている」という、時間の推移に伴う無常感を表しています。
現代では日常会話として「あすはわがみ」と読んでも間違いではありませんが、知識として「あした」が本来の読みであることを知っておくと、言葉の奥行きがより深まるでしょう。

まとめ

「明日は我が身」は、誰かの失敗や不幸を単なる観察対象として終わらせないための、大切なブレーキのような言葉です。

人生には自分一人の努力ではどうにもならない不運がつきものですが、それを自覚しておくことは、他者への優しさや、万が一への備えにつながります。
この言葉を心に留めておくことで、平穏な日々のありがたさをより深く感じることができるようになることでしょう。

スポンサーリンク

コメント