憧れの海外アーティストが、今回限りの特別公演で来日することになった。
チケット代やスケジュールの工面に一瞬迷うものの、「これを逃せば二度と生で聴くことはできない」と直感して購入ボタンを押す。
そんなふうに、巡ってきた絶好のチャンスを迷わず掴み取るべきだという教訓を、
「好機逸すべからず」(こうきいすすべからず)と言います。
意味・教訓
「好機逸すべからず」とは、絶好の機会を逃してはならないという意味です。
「好機」は物事を行うのにちょうどよいチャンス、「逸す」は失う、あるいは逃すことを指します。
良い機会というものは、そう何度も訪れるものではありません。
一度逃してしまえば、二度と同じ条件で巡ってくることは稀であるため、目の前にチャンスがあるその瞬間に、果敢に行動を起こすべきだという教訓です。
語源・由来
「好機逸すべからず」の由来は、特定の古い書物に出典があるわけではなく、長い歴史の中で人々の経験から生まれた格言です。
「好機」と「逸す(失う)」という言葉に、強い禁止や打ち消しの意志を表す助動詞「べからず」を組み合わせた構成になっています。
かつては戦の勝機や、商売のタイミングを見極めるための言葉として重宝されてきました。
また、地域によっては「いろはかるた」の読み札として採用されたことで、広く一般家庭にも浸透していきました。
かるたという遊びを通じて、「チャンスは一瞬である」という教訓が、子供から大人まで親しまれるようになったのです。
使い方・例文
「好機逸すべからず」は、重要な決断を迫られている場面や、チャンスを目前に躊躇している自分、あるいは他者を鼓舞する際に使われます。
ビジネスの商談に限らず、趣味や学び、日常のささいな幸運に対しても、その瞬間の価値を強調するために用いられます。
例文
- 憧れの学校のオープンスクールが開催されると知り、好機逸すべからずとすぐに申し込んだ。
- 欲しかった楽器が中古で安く出ているのを見つけ、好機逸すべからずとその場で購入を決めた。
- 試合の終盤で相手の守備が乱れた瞬間、好機逸すべからずと一気に攻め込んで得点を奪った。
- ずっと話してみたかった近所の物知りなおじいさんに道で会い、好機逸すべからずと歴史の話を聞いてみた。
類義語・関連語
「好機逸すべからず」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 時は得がたく失いやすし(ときはえがたくうしないやすし):
良い機会はめったに巡ってこないが、一度去ってしまうと取り戻すのは極めて困難であるということ。 - 機不可失(きふかしつ):
チャンスを逃してはならないという意味の四字熟語。
「好機逸すべからず」を四文字で端的に表した言葉です。 - 鉄は熱いうちに打て(てつはあついうちにうて):
物事を行うには、情熱があるうち、あるいは状況が整っているうちに行うのが良いという教訓。
対義語
「好機逸すべからず」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 果報は寝て待て(かほうはねてまて):
幸運というものは、自分の力で無理に掴み取ろうとするのではなく、焦らずに時が来るのを待つのが良いということ。 - 待てば海路の日和あり(まてばかいろのひよりあり):
今は状況が悪くても、じっと辛抱して待っていれば、やがて幸運な機会が巡ってくるということ。
英語表現
「好機逸すべからず」を英語で表現する場合、以下のような定型表現が用いられます。
Strike while the iron is hot.
直訳:「鉄が熱いうちに打て」
「鉄は熱いうちに打て」と同様、チャンスを逃さず迅速に行動すべきであることを強調する、最も一般的な表現です。
- 例文:
We should strike while the iron is hot and sign the contract today.
好機逸すべからず、今日中に契約を結ぶべきだ。
Make hay while the sun shines.
直訳:「太陽が照っているうちに干し草を作れ」
好天(チャンス)はいつまでも続かないため、条件が良い今のうちに仕事を済ませてしまえという、農業に由来する慣用句です。
- 例文:
The market is up, so let’s make hay while the sun shines.
市場が盛り上がっている。好機逸すべからず、今が稼ぎ時だ。
まとめ
「好機逸すべからず」は、一瞬の判断がその後の成果を大きく左右することを教えてくれる言葉です。
私たちはしばしば、「もっと準備が整ってから」とチャンスを先延ばしにしてしまいます。
しかし、準備に時間をかけすぎている間に、状況は刻一刻と変化してしまいます。
目の前の機会が二度と来ないかもしれない貴重なものであると認識し、勇気を持って一歩を踏み出す姿勢が、新たな道を切り開くきっかけになることでしょう。






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