意味
「好機逸すべからず(こうきいっすべからず)」とは、絶好の機会を逃してはならないという意味です。
「好機」は物事を行うのにちょうどよいチャンス、「逸す」は失う、あるいは逃すことを指します。
良い機会というものは、そう何度も訪れるものではありません。
一度逃してしまえば、二度と同じ条件で巡ってくることは稀であるため、目の前にチャンスがあるその瞬間に、果敢に行動を起こすべきだという教訓です。
語源・由来
「好機(よい機会)」に、「逸す(取り逃がす)」と、「〜してはならない」という禁止を表す「べからず」を組み合わせた言葉です。
「逸す」は「いっす」と読み、「べからず」は助動詞「べし」の未然形に打ち消しの「ず」が付いた形です。
使い方・例文
「好機逸すべからず」は、重要な決断を迫られている場面や、チャンスを目前に躊躇している自分、あるいは他者を鼓舞する際に使われます。
ビジネスの商談に限らず、趣味や学び、日常のささいな幸運に対しても、その瞬間の価値を強調するために用いられます。
例文
- 憧れの学校のオープンスクール開催を知り、好機逸すべからずと申し込んだ。
- 欲しかった楽器が中古で安く出ていた。好機逸すべからずと即決した。
- 終盤で相手の守備が乱れた瞬間、好機逸すべからずと攻め込み得点した。
- 近所の物知りなおじいさんに道で会い、好機逸すべからずと話を聞いた。
類義語・関連語
「好機逸すべからず」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 時は得難くして失い易し(ときはえがたくしてうしないやすし):
良い機会はめったに巡ってこないうえ、巡ってきてもすぐに失われやすいということ。 - 機不可失(きふかしつ):
機会を逃してはならないという意味の中国の成語。
「機は失うべからず」と読み下せ、「好機逸すべからず」と同じ内容を四字で表しています。 - 鉄は熱いうちに打て(てつはあついうちにうて):
物事を行うには、情熱があるうち、あるいは状況が整っているうちに行うのが良いという教訓。
対義語
「好機逸すべからず」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 果報は寝て待て(かほうはねてまて):
幸運というものは、自分の力で無理に掴み取ろうとするのではなく、焦らずに時が来るのを待つのが良いということ。 - 待てば海路の日和あり(まてばかいろのひよりあり):
今は状況が悪くても、じっと辛抱して待っていれば、やがて幸運な機会が巡ってくるということ。
英語表現
「好機逸すべからず」を英語で表現する場合、以下のような定型表現が用いられます。
Strike while the iron is hot
直訳:「鉄が熱いうちに打て」
「鉄は熱いうちに打て」と同様、チャンスを逃さず迅速に行動すべきであることを強調する、最も一般的な表現です。
We should strike while the iron is hot and sign the contract today.
(好機逸すべからず、今日中に契約を結ぶべきだ。)
Make hay while the sun shines
直訳:「太陽が照っているうちに干し草を作れ」
好天(チャンス)はいつまでも続かないため、条件が良い今のうちに仕事を済ませてしまえという、農業に由来する慣用句です。
The market is up, so let’s make hay while the sun shines.
(市場が盛り上がっている。好機逸すべからず、今が稼ぎ時だ。)
好機逸すべからずの「逸」は、兎が逃げる形
「逸す」の「逸」は、しんにょう(辵)とうさぎ(兔)を組み合わせた字です。
『説文解字』は「逸は失うなり。辵と兔とに従う。兔は謾訑にして善く逃ぐればなり」と説明しています。
うさぎはすばしこくて逃げるのが上手いから、この組み合わせで「失う」「逃げる」を表した、という説き方です。
手のうちから走り去るものというのが、この字のもとの姿になります。
日本語では「逸品」「逸材」「秀逸」のように、なみはずれて優れているという意味でも使われます。
同じ字が、取り逃がす側とすぐれている側の両方に使われている形です。











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