意味
「獅子吼(ししく)」とは、気迫のこもった態度で、堂々と持論を述べ立てるという意味です。
大勢の前で自分の考えを力強く主張する場面で使われます。
もとは仏教の言葉で、釈迦が力強い態度で教えを説くことも「獅子吼」と呼びます。
- 獅子(しし):ライオンのこと。
- 吼(く):ほえること。
語源・由来
「獅子吼」は、梵語(サンスクリット語)の「シンハナーダ(simhanāda)」を漢字に訳した言葉です。
獅子が吼えると他の獣がみな恐れて従うように、釈迦が力強い態度で教えを説くと、その場にいる者たちが恐れ入って耳を傾ける、という様子にたとえたものです。
この言葉は、維摩経や無量寿経など、複数の仏教の経典で使われています。
法華経の勧持品(= 法華経第十三章)には、大勢の菩薩が釈迦の前で「師子吼」(獅子吼の古い書き方)して、教えを広めていくことを誓う場面が登場します。
のちには、仏の教えを説く場面に限らず、自信に満ちた態度で持論を主張すること全般を指すようにもなりました。
使い方・例文
主に「〜が獅子吼する」という形で使われる言葉です。
- 彼は株主総会の壇上で、新しい経営方針について獅子吼した。
- 彼女は全社員を前に、改革の必要性を声高に獅子吼した。
類義語・関連語
この言葉と同様に、自信に満ちた態度で強く主張することを表す言葉に、次のようなものがあります。
- 熱弁を振るう(ねつべんをふるう):
感情を込めて、力強く話をすること。
英語表現
英語では、次のような表現が近いニュアンスを持ちます。
hold forth
長々と、時に大げさなほど熱心に持論を語ることを表す表現。
He held forth on his political views for nearly an hour.
(彼は自分の政治的な考えについて、1時間近くも獅子吼した。)
give a rousing speech
聞き手の心を奮い立たせるような、力強い演説をすることを表す表現。
She gave a rousing speech to encourage the whole team.
(彼女はチーム全員を鼓舞するために、力強く獅子吼した。)
「獅子吼」は、ニーチェにも嫉妬深い妻の小言にも使われた
仏教の言葉として生まれた獅子吼は、宗教の枠を離れた場面でも使われてきました。
小説家の田山花袋は、1917年(大正6年)の『東京の三十年』で、ドイツの哲学者ニーチェについて次のように書いています。
ニイチエの強い大きな獅子吼
(『東京の三十年』1917年、田山花袋)
中国では、宋の詩人蘇軾が呉徳仁に寄せた詩で、陳季常の妻の嫉妬深さを「河東の獅子吼」と詠みました。
この詩から、嫉妬深い妻が夫にがみがみ言うことも「獅子吼」と言います。

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