意味
「失笑噴飯(しっしょうふんぱん)」とは、こらえきれずに思わずふき出して笑うという意味です。
「失笑」と「噴飯」という、同じ意味の二語を重ねています。
「噴飯」は、おかしさのあまり食べかけの飯を噴き出すことから来た語です。
- 失笑(しっしょう):思わずふき出して笑うこと。
- 噴飯(ふんぱん):おかしくて食べかけの飯を噴き出すこと。
語源・由来
この四字の形は、北宋の文人・蘇軾が書いた『文与可の画ける篔簹谷偃竹の記』に出てきます。
文与可が描いた竹の絵について記した文章です。
蘇軾は文与可に頼まれて、洋州を題材にした三十首の詩を作りました。
そのうちの一首では文与可を「清貧饞太守」(= 貧しくて食いしん坊の長官)と呼び、渭水のほとりの広い竹林を胸の中に収めているにちがいない、とからかいました。
その詩が届いた日のことを、蘇軾は次のように書いています。
與可是日與其妻遊谷中,燒筍晚食,發函得詩,失笑噴飯滿案。
(与可はこの日、妻と谷の中を散策し、筍を焼いて夕食にしていた。手紙の封を開けて詩を読むと、思わずふき出し、口の中の飯を机いっぱいに噴き散らした。)
食いしん坊の長官とからかう詩が、ちょうど筍を焼いて食べている最中に届いた場面です。
使い方・例文
- 祖父の昔話があまりにとぼけていて、家族一同失笑噴飯のありさまだった。
- 弟が真顔で言い間違えたので、食卓の父は失笑噴飯して慌てて口を押さえた。
- 旧友から届いた手紙の結びの一句に、思わず失笑噴飯してしまった。
使うときの注意
「失笑噴飯」の「失笑」は、こらえきれずにふき出して笑うという意味です。
ところが文化庁の「国語に関する世論調査」(令和5年度)では、「失笑する」を「笑いも出ないくらいあきれる」の意味だと答えた人が67.0パーセントで、「こらえ切れず吹き出して笑う」を選んだ人は26.4パーセントでした。
「失笑噴飯」も、あきれて言葉が出ない様子ではなく、思わず笑ってしまう様子に使います。
類義語・関連語
「失笑噴飯」と同じく、大いに笑うことを表す四字熟語には次のようなものがあります。
「失笑噴飯」と類義語の違い
3語とも大いに笑うことを表しますが、「失笑噴飯」はこらえきれずに思わずふき出す点に重点があります。
「抱腹絶倒」は倒れそうなほど笑う激しさ、「呵呵大笑」は大声をあげて笑う声の大きさを表します。
| 語句 | 意味 | 重点 |
|---|---|---|
| 失笑噴飯 (しっしょうふんぱん) | こらえきれずに思わずふき出して笑うこと | 笑いをこらえきれないこと |
| 抱腹絶倒 (ほうふくぜっとう) | 腹をかかえて倒れそうになるほど大笑いすること | 笑いの激しさ |
| 呵呵大笑 (かかたいしょう) | からからと大声をあげて笑うこと | 笑い声の大きさ |
英語表現
burst out laughing
こらえきれずに急に笑い出すこと。
When he read the letter, he burst out laughing.
(手紙を読むと、彼は思わずふき出した。)
蘇軾、亡き文与可の竹の絵に泣く
『文与可の画ける篔簹谷偃竹の記』は、笑い話のあとに文与可の死を記しています。
元豊2年(1079年)正月20日、文与可は陳州で亡くなりました。
その年の7月7日、蘇軾は湖州で書画を虫干ししていたときにこの竹の絵を見て、巻物を置いて声をあげて泣いたと書いています。
蘇軾は、曹操が橋公を祭る文に「車過」「腹痛」という冗談めいた言葉を入れた例を挙げ、自分が文与可との昔の笑い話を書き留めたのは、二人がそれほど親しかったことを示すためだと結んでいます。

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