大器小用

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四字熟語 故事成語
大器小用
(たいきしょうよう)
異形:大材小用

8文字の言葉た・だ」から始まる言葉

ずば抜けたプログラミング技術を持っているのに、来る日も来る日も書類のコピーばかり……。
あるいは、海外との交渉をまとめられる語学力があるのに、社内の備品管理しか任されていない……。

そんな「才能の持ち腐れ」とも言える状況を目の当たりにして、「もったいないなあ」と感じたことはないでしょうか。

大器小用(たいきしょうよう)とは、まさにそのような「優れた人物を、つまらない仕事に使ってしまうこと」を嘆く言葉です。

「大器小用」の意味

優れた才能や器量を持つ人物を、低い地位に留めたり、能力に見合わない簡単な仕事をさせたりすること。

  • 大器(たいき):大きな器。転じて、偉大な人物や並外れた才能。
  • 小用(しょうよう):小さなことに用いること。

単に「仕事が簡単すぎる」という状況説明だけでなく、「もっと大きな仕事を任せるべきだ」という、人事や配置への批判、あるいは才能が活かされないことへの惜別の念が含まれます。

「大器小用」の語源・由来

この言葉は、中国の後漢(ごかん)時代について記された歴史書『後漢書』辺譲伝(へんじょうでん)のエピソードに由来します。

当時、辺譲(へんじょう)という非常に優秀な人物がいました。彼は若くして才能を発揮し、名を知られていましたが、ある時、その才能に見合わない低い役職(地方の徴税係のような仕事)に就けられていました。

それを知った高名な学者の蔡邕(さいよう)は、上司にあたる人物(何進)に手紙を送り、辺譲を推薦しました。
その手紙の中で、蔡邕は次のような比喩を使って「彼のような人物を低い地位に置いておくのは間違いだ」と説得しました。

函牛之鼎以烹鶏(函牛の鼎をもって鶏を烹る)」
(牛が一頭まるごと入るような巨大な鼎(なべ)で、小さな鶏を煮てはいけません)

「函牛之鼎(かんぎゅうのてい)」とは、牛を丸ごと茹でられるほどの巨大な釜のことです。
そんな巨大な道具で小さな鶏一羽を煮ようとしても、水が多すぎたり火加減が難しかったりと、道具の良さが全く活かされず、鶏も美味しく煮えません。

蔡邕は「辺譲のような大人物(大器)を、小さな役職(小用)で使っては、彼の才能は発揮されませんよ」と訴えたのです。
この「函牛の鼎」の逸話が転じて、後に「大器小用」という四字熟語として定着しました。

「大器小用」の使い方・例文

主にビジネスシーンや組織論において、人材配置のミスを指摘したり、優秀な人が埋もれている現状を嘆いたりする際に使われます。

例文

  • 彼のようなトップセールスマンに倉庫の整理をさせるなんて、大器小用もいいところだ。
  • 彼女の語学力と交渉術を活かさないのは、会社にとって大器小用であり、大きな損失だ。
  • 新入社員だからといって雑用ばかりさせていては、大器小用で彼らの意欲を削いでしまう。

使用上の注意点:自分には使わない

この言葉は「あの人は大器(素晴らしい人物)だ」という評価が前提になっています。
そのため、「今の仕事は私には大器小用です」と自分で言ってしまうと、「私は偉大な人物だ(今の仕事は自分には低レベルすぎる)」と自慢しているように聞こえ、非常に傲慢な印象を与えます。

あくまで「他人(第三者)を評価・擁護する際」に使うのがマナーです。

「大器小用」の類義語

  • 大材小用(たいざいしょうよう):
    「大器小用」と全く同じ意味。「器」が「材(材木)」になった表現。大きな建物を支えられるような巨木を、小さな家具などに使うのはもったいないということ。
  • 牛刀をもって鶏を割く(ぎゅうとうをもってにわとりをさく):
    牛用の包丁で鶏をさばくこと。大げさな道具を使うことのたとえですが、人材に対して「能力の無駄遣い」という意味でも使われます。
  • 驥服塩車(きふくえんしゃ):
    「驥(き)」は一日に千里を走る名馬のこと。そんな名馬が、重い塩を運ぶ車を引かされている様子。優れた人がつまらない仕事に苦しんでいることのたとえ。

「大器小用」の対義語

  • 適材適所(てきざいてきしょ):
    その人の才能や性質に合った地位や仕事を与えること。
  • 量才録用(りょうさいろくよう):
    その人の才能の度合いをよく量って、それに見合った職務に登用すること。
  • 小器大用(しょうきたいよう):
    器量の小さい人物を、重い役職につけること。実力不足で失敗するリスクがあるため、「大器小用」とは逆の意味でネガティブな状況を指します。

「大器小用」の英語表現

Cut blocks with a razor

  • 直訳:カミソリで丸太を切る
  • 意味:「小さな道具(カミソリ)で大きな仕事(丸太切り)をする」わけではなく、逆です。「髭を剃るための繊細で鋭利なカミソリ」を、「粗野な丸太切り」に使うこと。道具の性能と用途が合っておらず、才能の無駄遣いであることを表します。

Waste of talent

  • 意味:「才能の無駄」
  • 解説:日常会話で最もシンプルに伝わる表現です。
  • 例文:
    Giving him such a menial task is a waste of his talent.
    (彼にそんなつまらない仕事をさせるのは、大器小用だ)

「大器小用」に関する豆知識

「大器晩成」との混同に注意

字面が似ている言葉に「大器晩成(たいきばんせい)」があります。

  • 大器小用:今は才能が活かされていない状態。(ネガティブな現状)
  • 大器晩成:大きな器を作るには時間がかかるように、偉大な人物は遅れて大成するということ。(ポジティブな未来への期待)

「彼は大器小用だから、将来が楽しみだね」と言うのは間違いです(「今は冷遇されているから楽しみだ」という意味不明な文になってしまいます)。この場合は「大器晩成」を使いましょう。

まとめ

「大器小用」は、優れた人材がつまらない仕事に使われている「もったいない状況」を表す言葉です。

『後漢書』の時代から、優秀な人が適切な場所に配置されない嘆きは存在していました。
もしあなたの周りに、実力を発揮できずにくすぶっている人がいたら、「それは大器小用だ」と声を上げ、活躍の場を提案してあげるのも良いかもしれません。適材適所こそが、組織と個人の両方を幸せにする鍵なのです。

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