意味
「俚諺(りげん)」とは、ことわざを漢語で言った古い言い方で、「急がば回れ」「塵も積もれば山となる」のような、昔から人々の間で言い伝えられてきた言葉全般をいいます。
同じ意味で「俗諺」ともいいます。
- 俚(り):民間の、ひなびた、という意味の字。
- 諺(げん):ことわざ。
語源・由来
「俚」の字は、古く「里」と通じて使われました。
中国の歴史書『漢書』に載る、前漢の学者賈誼が皇帝に出した意見書には、「里諺」としてことわざを引く箇所があります。
皇帝の近くに仕える高官を、ほかの罪人と同じように辱めてはいけない、と説く場面の一節です。
里諺曰:「欲投鼠而忌器。」
(世間のことわざに、「ねずみに物を投げつけたいが、そばの器を壊すのが心配でためらう」という。)
同じ意見書には、「鄙諺」として「前車覆、後車誡(前の車がひっくり返ったのを、後ろの車は戒めとする)」の句も引かれています。
日本のことわざ「前車の覆るは後車の戒め」と同じ句です。
使い方・例文
- 郷土資料館で、田植えや稲刈りにまつわる俚諺を集めた冊子をもらった。
- 「急がば回れ」という俚諺どおり、慣れた道を選んだら早く着いた。
- 祖母は昔の俚諺を引きながら、暮らしの知恵を孫たちに語って聞かせた。
類義語・関連語
民間に伝わることわざを指す語です。
- 俗諺(ぞくげん):
世の中で広く言われてきたことわざ。
意味は俚諺とほぼ同じ。 - 諺(ことわざ):
民間で口伝えに受け継がれてきた、決まった形の短い言葉。
俚諺はこの語を漢語で言ったもの。
使うときの注意
同じ「りげん」と読む言葉に「俚言」があり、書き分けが必要です。
俚言は、世間で使われる言葉や、ある土地だけで使われる単語・言い回しを指します。
牛を「ベコ」と呼ぶような方言の語がその例で、ことわざのような決まった言い回しを指すのは俚諺のほうです。
天気の言い伝えを指す「天気俚諺」
俚諺のうち、天気や天候の移り変わりを予測する昔からの言い伝えは「天気俚諺」と呼ばれます。
「夕焼けは晴れ」「朝焼けは雨」「雷が鳴ると梅雨が明ける」などがその例で、空を見て天気を読む「観天望気」の経験が言い伝えの形で残ったものです。
明治から昭和にかけての気象の本には、こうした言い伝えを「天気俚諺」「気象俚諺」の名で集めたものがあります。
天気の言い伝えは、東洋でも西洋でも紀元前から知られています。
古代ギリシアの学者テオフラストスは紀元前300年ごろに200あまりの天気の言い伝えを集めた本を著し、その中には「夕焼けは晴れ、朝焼けは雨」にあたるものも入っています。

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