意味
「朝焼けは雨(あさやけはあめ)」とは、明け方に東の空が赤く染まると、その日のうちに天気が崩れやすいという言い伝えです。
空や雲の様子から天気を読み取る「観天望気」と呼ばれる知恵の一つで、天気予報がなかった時代から伝えられてきました。
こうした天気の言い伝えは「天気のことわざ」や「天気俚諺」(= 天気に関することわざ)とも呼ばれます。
語源・由来
この言い伝えは、天気予報がまだ整っていなかった時代、農業や漁業に携わる人々が積み重ねてきた観察から生まれたと考えられます。
昭和初期に発行された農業の手引き書や気象官署の資料にも、朝焼けと夕焼けを対にした言い伝えが数多く出てきます。
たとえば、1934年に千葉県の銚子測候所が発行した『気候便覧』には、「夕焼は晴、朝焼は雨の兆」という言葉が、雲や星の様子から天気を読む他の言い伝えと並んで記されています。
翌1935年に岡山県の農業団体(灘崎村農会)がまとめた『農家の知るべ』にも、「素人天気予察法」の一つとして同じ対の言い伝えが載っています。
当たりやすい季節と外れる場合
朝焼けが雨の前触れとされる背景には、日本付近の天気が西から東へ移りやすいという傾向があります。
朝焼けが見えるとき、太陽が昇る東の空には晴れをもたらす空気がすでに通り過ぎており、入れ替わりに西から天気を崩す要因が近づいている場合がある、という考え方です。
ただし、この移り変わりが目立つのは主に春と秋で、夏や台風の時期にはあてはまりにくいとされます。
朝焼けの的中率は、同じ観天望気である朝霧などと比べると高くないという指摘もあり、朝焼けが見えたからといって必ず雨になるとは限りません。
使い方・例文
「朝焼けは雨」は、実際に赤く染まった空を見て、これから出かける人に注意を促す場面などで使われます。
例文
- 今朝は空が真っ赤で、朝焼けは雨の通り昼から雨脚が強まった。
- 山登りの朝、朝焼けは雨と聞いていたので出発を早めた。
- 祖母は昔から朝焼けは雨と言い、洗濯物を早めに取り込む。
類義語・関連語
同じように空の色で天気を占う言い伝えには、次のようなものもあります。
対義語
朝焼けとは反対に、夕方の空模様から天気を占う言葉に「夕焼けは晴れ」があります。
- 夕焼けは晴れ(ゆうやけははれ):
夕方に西の空が赤く染まると、翌日は晴れやすいとされる言い伝えです。
英語表現
英語にも、朝と夕の空の色を天気の兆しとする似た表現があります。
Red sky in morning, sailors take warning
朝に空が赤く見えると悪天候が近いという、船乗りに伝わる天気の言い回し。
Red sky in morning, sailors take warning.
(朝焼けは、船乗りにとって荒天への警戒の合図とされてきました。)
「飛行家を志す人のために」に並んだ朝焼けと夕焼け
1932年に刊行された『飛行家を志す人のために』という本には、これから操縦を学ぶ人向けの心得の一つとして、朝焼けと夕焼けの言い伝えが番号付きの箇条書きで出てきます。
同じ箇条書きには、星の光の揺らぎを強風や雨の兆しとする言い伝えなども並んでいます。
空模様から天気を読む知恵が、当時最先端の乗り物だった飛行機の操縦者にも伝えられていたことになります。
1943年発行の『航海計器の話』という本にも、同じ言い伝えが登場します。
この本は船の位置や方角を測る計器の仕組みを説明する内容ですが、その中に朝焼け・夕焼けや虹の向きといった昔ながらの空の見方も並んで出てきます。
精密な計器を使う技術者や乗組員にとっても、空を見て天気を読む知恵は、なお頼りになる情報の一つだったとうかがえます。











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