ことわざ

弁当忘れても傘忘れるな

(べんとうわすれてもかさわすれるな)

日本海側では天気が変わりやすいので、弁当より傘を優先して持てという教え。


16文字の言葉 / 「へ・べ・ぺ」から始まる言葉
弁当忘れても傘忘れるな ことば
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意味

「弁当忘れても傘忘れるな(べんとうわすれてもかさわすれるな)」とは、食事を抜くことになっても、傘だけは必ず持って出かけよという戒めです。
北陸を中心とした日本海側で語り継がれてきた言葉で、自然の移り変わりから天気を読む「観天望気」(かんてんぼうき)と呼ばれる言い伝えの一つにあたります。
弁当という毎日の必需品を引き合いに出すことで、傘を持つことがそれだけ欠かせないという点を強調しています。

語源・由来

この言い伝えが生まれた背景には、冬の日本海側に特有の空模様があります。
大陸から吹き出す冷たい季節風は、対馬暖流に暖められた日本海の上を渡るあいだに大量の水蒸気を含み、雲をつくって日本列島にぶつかります。
この雲はひとかたまりに広がるのではなく点々とやってくるため、雲が近づけば雨や雪が降り、離れればまた日が差すという移り変わりが、一日のうちに何度も繰り返されます。

晩秋から初冬にかけて降ったりやんだりするこの雨は「時雨」(しぐれ)と呼ばれ、北陸の冬の始まりを告げる天気として知られています。
朝の空だけを見て傘を置いていくと昼には濡れる、という経験が積み重なった先に、この言い方が残りました。

使い方・例文

この言葉は「忘れるな」という命令の形で結ばれるため、自分の心構えとして口にするよりも、その土地の気候をまだ知らない相手に向けて伝える場面で多く使われます。

例文

  • 金沢に転勤する友人に、弁当忘れても傘忘れるなと伝えておいた。
  • 朝は快晴だったのに昼から土砂降りだ。まさに弁当忘れても傘忘れるなの土地である。
  • 祖母は弁当忘れても傘忘れるなと言って、いつも折り畳み傘を持たせた。

類義語・関連語

日本海側の空模様と関わりの深い言葉には、次のようなものがあります。

  • 時雨(しぐれ):
    晩秋から初冬にかけて、降ったりやんだりを繰り返す通り雨。
  • 朝焼けは雨、夕焼けは晴れ(あさやけはあめ、ゆうやけははれ):
    空が赤く染まる時間帯の様子から、その先の天気を見通す言い伝え。

北陸の雷は、夏より冬に多い

傘が手放せない日本海側の冬は、雷の季節でもあります。
雷といえば夏の夕立を思い浮かべますが、北陸地方では雷の発生する頻度が夏よりも冬のほうが大きく、これは本州の日本海側に特有の季節現象です。

雲の高さも夏とは違います。
夏の積乱雲が高さ1万メートルを超えて発達するのに対し、冬の雲は3000メートルから、高くても6000メートルほどにとどまります。
それでいて冬の落雷は大地へ流れる電流が大きくなることが多く、落ちた先の建造物に大きな被害を及ぼすことがあります。

石川県や富山県では、晩秋から初冬に鳴るこの雷を鰤起こしぶりおこしと呼びます。
寒ブリの漁が本格化する時期と重なることからついた呼び名で、海が荒れ始める合図としても受け取られてきました。

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