意味
「夕虹は晴れ(ゆうにじははれ)」とは、夕方に虹を見かけたときは、翌日の天気が晴れやすいという言い伝えです。
虹は太陽と反対側の空に現れるため、太陽が西に傾く夕方は、虹が東の空に出ます。
こうした天気の言い伝えは「天気のことわざ」や「天気俚諺」(= 天気に関することわざ)とも呼ばれます。
語源・由来
この言葉は、戦後まもない時代の船乗りの教科書にも載っていました。
神戸高等商船学校航海学部が編集し、1946年に天然社から刊行された『航海士必携』には、次のように記されています。
朝の虹は雨、夕の虹は晴の兆。
現代語に直すと、朝に虹が出れば雨、夕方に虹が出れば晴れの兆しという意味になります。
気象レーダーもなく、天気予報の電波も十分には届かなかった船の上で、空を見て次の天気を読む力は、航海士にとって欠かせない技術でした。
虹の出る向きは遠くからでも一目でわかるため、忙しい甲板でも使える実用的な知識として教科書に採り入れられたと考えられます。
使い方・例文
この言葉は、夕方に虹を見つけて、翌日の予定を安心して立てる場面で使われます。
例文
- 「西の空に虹が出てる。夕虹は晴れって言うし、明日は洗濯日和かな。」
- 夕虹は晴れの通り、翌朝は雲一つない青空が広がった。
- 翌日の登山を控え、夕虹は晴れを思い出して安心して眠りについた。
類義語・関連語
この言葉と同じように、空の様子から翌日の晴れを見通す言い伝えには次のようなものがあります。
- 夕焼けは晴れ(ゆうやけははれ):
夕方に空が赤く染まると、翌日は晴れやすいという言い伝え。
対義語
「夕虹は晴れ」に対して、朝の虹について正反対のことを語る言葉に次のものがあります。
- 朝虹は雨(あさにじはあめ):
朝に虹が出ると、その日のうちに天気が崩れて雨になりやすいという言い伝え。
英語表現
英語にも、夕方の虹を吉兆とする言い伝えがあります。
A rainbow at night is the shepherd’s delight
夜の虹は羊飼いの喜び、という言い伝え。
翌日の作業や放牧を心配せずに済むという、晴天への安心を表す表現。
A rainbow at night is the shepherd’s delight.
(夕方の虹は羊飼いの喜びである。)
「夕虹は晴れ」と同じ言い伝え、19世紀イギリスでは羊飼いの言葉
1946年刊行の『航海士必携』は、航海士の仕事に要る知識をまとめた実務書でした。
虹の言い伝えは、この教科書の中で観天望気の一つとして紹介されています。
同じ内容の言い伝えは、19世紀のイギリスでも記録されています。
リチャード・インワーズが1869年にまとめた『Weather Lore』には「A rainbow in the morning / Is the shepherd’s warning; / A rainbow at night / Is the shepherd’s delight.」という羊飼いの言い伝えが収められています。
遠く離れた日本とイギリスで、夕方の虹を晴れの兆しと見る同じ経験則が伝えられていたことになります。











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