隣の芝生は青い

ことわざ
隣の芝生は青い(となりのしばふはあおい)

11文字の言葉と・ど」から始まる言葉
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「隣の芝生は青い」の意味 – 他人のものが良く見える心理

「隣の芝生は青い」とは、他人の持っているものや置かれている状況は、何でも自分のものより良く見えてしまう、という人間の心理を表すことわざです。

自分の家の庭の芝生よりも、隣の家の芝生の方が手入れが行き届いていて青々と美しく見える、ということから来ています。
実際には自分のものと大差なくても、あるいは自分のものより劣っていたとしても、他人の状況をうらやましく思ったり、自分の現状に不満を感じたりする気持ちを指します。
しばしば、嫉妬や無い物ねだりの感情と結びつけて使われます。

「隣の芝生は青い」の語源・由来 – 英語のことわざから?

このことわざは、英語のことわざ
The grass is always greener on the other side of the fence.
(垣根の向こう側の芝生はいつもより緑に見える)に由来する、あるいはその考え方が日本に定着したものとされています。

芝生のある庭を持つ文化が欧米ほど一般的でなかった日本では、比較的成立が新しいことわざと考えられています。
しかし、「他人のものが良く見える」という感情自体は、人間の普遍的な心理です。
自分の置かれた状況の欠点ばかりが目につき、他人の状況の良い面だけを見て理想化してしまう、あるいは単純に自分が持っていないものを欲しがる、といった心理が、この言葉の背景にあると言えるでしょう。

「隣の芝生は青い」の使用場面と例文 – 他人との比較や現状への不満

他人の持ち物、収入、家庭環境、才能、容姿など、自分以外のあらゆるものをうらやましく思う場面で使われます。
自分の状況に対する不満を口にする時や、そうした気持ちを自戒する際、あるいは他人を諭す時にも用いられます。

例文

  • 「友人の新しい車を見ると、自分の車が古く感じてしまう。まさに隣の芝生は青いだな。」
  • 「SNSで見る他の人のキラキラした生活は、つい隣の芝生は青いと感じてしまいがちだ。」
  • 「給料が良いと聞いて転職したけれど、前の会社の方が働きやすかったかもしれない。隣の芝生は青いだけだったのかも。」
  • 「自分の子供の成績ばかり気にして、他の子と比べてしまうのは、隣の芝生は青いという心理なのだろう。」
  • 「彼はいつも他人の成功をうらやんでいるが、隣の芝生は青いということを忘れて、自分の良さを見失っている。」

「隣の芝生は青い」の類義語 – うらやむ気持ちや比較

他人のものを良く見たり、うらやましく思ったりする気持ちを表す言葉があります。

  • 隣の花は赤い(となりのはなはあかい):隣家の花は自分の家の花よりも赤く見える。他人のものは何でも良く見えることのたとえ。
  • 隣の糂汰味噌(となりのじんだみそ):隣の家の、ありふれた糂汰味噌(豆や米糠で作る味噌)までもうまそうに見えること。他人のものは何でも良く見えるたとえ。
  • 他人の飯は白い(たにんのめしはしろい):他人の家の飯は、自分の家の飯より白く上等に見えること。
  • 無い物ねだり(ないものねだり):自分が持っていないものを欲しがること。
  • 羨望(せんぼう):うらやましく思うこと。
  • 嫉妬(しっと):他人が自分より恵まれている状態をうらやみ、ねたましく思うこと。

「隣の芝生は青い」の対義語 – 現状への満足や自己肯定

他人と比較せず、自分の状況に満足したり、自分自身を肯定したりする態度を示す言葉が対照的です。

  • 足るを知る(たるをしる):分相応のところで満足することを知る。欲張らないこと。
  • 現状満足(げんじょうまんぞく):現在の状態に満足していること。
  • 我が家が一番(わがやがいちばん):自分の家や家庭が最も良いと思うこと。
  • 自画自賛(じがじさん):自分で自分のことを褒めること。(自分のものを良く評価する点で対照的)

「隣の芝生は青い」の英語での類似表現

このことわざの由来とされる英語表現があります。

  • The grass is always greener on the other side (of the fence).
    直訳:芝生は(垣根の)向こう側の方がいつも緑である。
    意味:「隣の芝生は青い」と全く同じ意味。
  • Keeping up with the Joneses
    直訳:ジョーンズ家(ありふれた隣人の代表)に遅れずについていく。
    意味:隣人や世間と張り合って、見栄のために生活レベルを上げようとすること。根底にある他人との比較意識が関連。

まとめ – 人間の普遍的な心理と向き合う

「隣の芝生は青い」は、他人のものが自分のものより良く見えてしまうという、人間の普遍的な心理を言い表したことわざです。
多くの場合、これは自分の現状への不満や、他者への羨望・嫉妬の感情の表れです。

この言葉を耳にした時、あるいは自分自身がそう感じた時には、一度立ち止まって考えてみることが大切かもしれません。
本当に隣の芝生は青いのか? 自分の芝生の良さを見落としていないか?
他人と比較することから一旦離れ、「足るを知る」という視点を持つことも、心の平穏を保つためには重要でしょう。

ただし、他人をうらやむ気持ちが、自分を向上させるための原動力になることもあります。
単にネガティブな感情として捉えるだけでなく、自分自身の状況を見つめ直し、より良くするためのきっかけとして捉えることもできる、示唆に富んだ言葉と言えるでしょう。

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