一視同仁

四字熟語 故事成語
一視同仁(いっしどうじん)

7文字の言葉」から始まる言葉
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「えこひいき」という言葉の反対側にある、理想的な心のあり方を知っていますか?

「一視同仁(いっしどうじん)」は、まさにその「公平な愛」を体現する、深く温かい四字熟語です。

今回は、「一視同仁」の基本的な意味から、その出典、現代での使い方、類語や英語表現まで、分かりやすく解説していきます。

「一視同仁」の意味・教訓

「一視同仁」とは、すべての人を差別することなく、平等に愛し、公平に扱うことを意味します。

「一視」はすべての人を同じように見る(=区別しない)こと、「同仁」はすべての人を同じように仁(じん=思いやり、慈しみ)で愛することを示します。
身内も他人も、好き嫌いも関係なく、あらゆる人を同じように大切にする、深い博愛の精神を表す言葉です。

「一視同仁」の語源

この言葉は、中国・唐の時代の文人であった韓愈(かんゆ)が書いた『原人(げんじん)』という文章に由来します。

韓愈は、聖人(非常に徳の高い人物)のあり方として、「天(天帝)は万物を差別なく愛する。
聖人はその天の心に倣い、すべての人々を一視(ひとしくみ)同じく仁(いつくし)む」と説きました。
ここから「一視同仁」という言葉が生まれ、為政者や指導者の理想的な姿として広まりました。

使用される場面と例文

主に、人の公平さや博愛精神を称賛する、ポジティブな文脈で使われます。
特に、多くの人々を導く立場にある人(リーダー、教師、親など)の理想的な態度として用いられることが多いです。

例文

  • 「彼は、部下に対して常に「一視同仁」の精神で接している。」
  • 「教師たるもの、生徒を「一視同仁」に扱うべきである。」
  • 「あの指導者の「一視同仁」な態度は、多くの人々から尊敬を集めている。」

類義語・言い換え表現

「一視同仁」と似た意味を持つ言葉を紹介します。

  • 博愛(はくあい):
    すべての人を平等に愛すること。「一視同仁」の精神そのものを表す言葉。
  • 公平無私(こうへいむし):
    公平で、私的な感情や利益を差し挟まないこと。
    ※「一視同仁」が「愛(仁)」に重点を置くのに対し、こちらは「公平さ(私心のないこと)」に重点が置かれます。
  • 四海同胞(しかいどうほう):
    世界中の人々は皆、兄弟姉妹のように仲間であるという考え方。

対義語

「一視同仁」とは反対に、特定の人だけを特別扱いし、差別する態度を示す言葉です。

  • 依怙贔屓(えこひいき):
    自分の気に入った者だけに肩入れし、不公平な扱いをすること。
    ※「一視同仁」の対極にある行動です。
  • 差別(さべつ):
    特定の人々を、理由なく不当に低く扱うこと。
  • 偏愛(へんあい):
    特定の人や物だけを、偏って愛すること。

英語での類似表現

「一視同仁」の「公平・平等に扱う」というニュアンスに近い英語表現を紹介します。

treat everyone equally

  • 意味:「すべての人を平等に扱う」。
  • ニュアンス:「一視同仁」の行動面を最も直接的に表現するフレーズです。
  • 例文:
    A good leader must treat everyone equally.
    (良いリーダーは、すべての人を平等に扱わなければならない。)

impartiality

  • 意味:「公平無私」「偏らないこと」。
  • ニュアンス:「一視同仁」が持つ「公平さ」の側面を名詞で表します。
  • 例文:
    He is known for his impartiality.
    (彼は公平無私なことで知られている。)

まとめ – 一視同仁の精神

「一視同仁」は、すべての人を差別なく、同じように愛し公平に扱うという、理想的な心のあり方を示す四字熟語です。

立場や好き嫌いで態度を変えてしまうのは人間の性(さが)かもしれませんが、そのような中で「一視同仁」を心がけることは、信頼される人間関係を築くための、とても大切な指針と言えるでしょうね。

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