意味
「米食った犬が叩かれずに糠食った犬が叩かれる(こめくったいぬがたたかれずにぬかくったいぬがたたかれる)」とは、大きな罪を犯した者が罰を逃れ、小さな罪を犯した者が罰を受けるという意味です。
また、首謀者が罰せられず、手先になった者が罰せられることも言います。
貴重な米を盗み食いした犬は叩かれず、値打ちの低い糠を食べた犬が叩かれるという、罪の重さと罰とが食い違う構図にたとえています。
- 米:利益や価値が大きく、罪が重いことのたとえ。
- 糠(ぬか):値打ちが低く、罪が軽いことのたとえ。
- 叩かれる:過失を厳しく責められたり、不当に処罰されたりするさま。
語源・由来
「米食った犬が叩かれずに糠食った犬が叩かれる」は、米を食べた犬と糠を食べた犬の扱いの違いにたとえた言葉です。
精米した白米は貴重な食べ物で、糠はその際に出る安いものでした。
米を食べた犬は叩かれず、糠を食べていた犬のほうが見つかって叩かれます。
罪の重い犬が逃れ、軽い犬が罰を受けるこの様子を、人の世の不公平に重ねています。
使い方・例文
『米食った犬が叩かれずに糠食った犬が叩かれる』は、主犯が逃げ延びて実行役だけが裁かれる不条理な場面で使われます。
- 首謀者が逃げ、米食った犬が叩かれずに糠食った犬が叩かれる。
- まさに米食った犬が叩かれずに糠食った犬が叩かれる事態だ。
- 米食った犬が叩かれずに糠食った犬が叩かれるような理不尽。
類義語・関連語
『米食った犬が叩かれずに糠食った犬が叩かれる』と同様に、不公平な処罰や不条理な世の中を表す言葉には以下のようなものがあります。
- トカゲの尻尾切り(とかげのしっぽきり):
下位の者に責任を押し付け、上層部が追及を逃れるさま。 - 皿嘗めた猫が科を負う(さらなめたねこがとがをおう):
皿の食べ物を食べた猫は逃げ、あとから皿をなめただけの猫が罰を受ける理不尽。 - 網にかかるは雑魚ばかり(あみにかかるはざこばかり):
大物や真犯人は逃げおおせ、小物ばかりが捕まる状況。
「米食った犬が叩かれずに糠食った犬が叩かれる」と類義語の違い
これらの言葉は、いずれも「罪の重い者が逃れ、罪の軽い者や下の者が罰せられる」という共通点を持ちますが、使われる状況や決定的なニュアンスの違いがあります。
| 語句 | 処罰の対象 | 焦点となる不条理 |
|---|---|---|
| 米食った犬が叩かれずに糠食った犬が叩かれる | 小さな罪を犯した者・手先になった者 | 大きな罪が見逃され、小さな罪が罰せられる |
| トカゲの尻尾切り | 組織の下位・末端の者 | 意図的な責任転嫁・隠蔽 |
| 皿嘗めた猫が科を負う | 軽微な過失の者 | 罪と罰の著しい不均衡 |
対義語
- 天網恢恢疎にして漏らさず(てんもうかいかいそにしてもらさず):
天が張り巡らした網は目が粗いようでも、悪人を漏らさず捕らえるという教え。
英語表現
Little thieves are hanged, but great ones escape
大きな悪事を働く者は権力や知略で逃げ延び、小さな罪を犯した者だけが厳しく罰せられるという不条理を批判する際に適した表現。
It is a shame that little thieves are hanged, but great ones escape in this city.
(この街では、小泥棒は吊るされ大泥棒が逃げ延びる。嘆かわしいことだ。)
ことわざでの「糠」とは取るに足りないもののたとえ
糠は、玄米を精米するときに削り取られる外皮などの粉で、漬物の床や家畜の餌に使われてきました。
ほかのことわざでも、糠はわずかなもの・取るに足りないもののたとえになっています。

「糠喜び」は、当てが外れてあとでがっかりする、一時の喜びを指します。
「小糠三合あるならば入り婿すな」は、わずかでも財産があるなら他家へ婿入りせず、独立して一家を構えよという意味です。
小糠三合はほんの少しの財産のたとえで、入り婿の苦労が多いことのたとえとしても使われます。










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