激しい口論や、インターネット上のコメント欄などで、目を覆いたくなるようなひどい言葉の数々を目にしたことはありませんか?
「罵詈雑言(ばりぞうごん)」は、まさにそのような、あらゆる悪口が飛び交う様子を的確に表す四字熟語です。
今回は、「罵詈雑言」の基本的な意味から、その漢字の構成、類語との違い、英語表現まで、分かりやすく解説していきます。
「罵詈雑言」の意味・教訓
「罵詈雑言」とは、口に出せる限りの、あらゆる種類のひどい悪口を意味します。
単なる「悪口」一つではなく、様々な言葉を使って、激しく相手をののしる様子を表します。
非常に強い非難や侮辱の意図が込められた、ネガティブな言葉の「オンパレード」や「集中砲火」のような状態を指す言葉です。
「罵詈雑言」の語源 – 漢字の構成
「罵詈雑言」は、それぞれの漢字が持つ意味を組み合わせることで、その強烈な意味を生み出しています。
- 罵(ば):ののしる。悪口を言う。
- 詈(り):ののしる。悪口を言う。(「罵」とほぼ同じ意味)
- 雑(ぞう):さまざまな。いろいろな種類が入り混じる。
- 言(ごん):ことば。
つまり、「(罵と詈という)ののしる言葉」と「さまざまな言葉(雑言)」が合わさっており、文字通り「あらゆる種類の、ののしる言葉」という意味になります。
使用される場面と例文
非常に激しい口論、一方的な非難、インターネット上の誹謗中傷など、ネガティブな言葉が激しく使われる場面で用いられます。
例文
- 「SNSのコメント欄が、選手個人に向けた罵詈雑言であふれている。」
- 「彼はかっとなると、相手かまわず罵詈雑言を浴びせる癖がある。」
- 「討論会は次第にエスカレートし、最後は互いへの罵詈雑言の応酬となった。」
類義語・言い換え表現
「罵詈雑言」と似た意味を持つ言葉を紹介します。
- 悪口雑言(あっこうぞうごん):
「罵詈雑言」とほぼ同じ意味。「悪口」と「雑言」を組み合わせた言葉。 - 誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう):
根拠のない悪口を言いふらして、他人の名誉を傷つけること。
※「罵詈雑言」が直接的な「ののしり・悪口」であるのに対し、「誹謗中傷」は「嘘や悪意ある噂を広めて評判を落とす」というニュアンスが強いです。 - 悪態(あくたい):
口汚くののしる言葉。
※「罵詈雑言」が「数々の悪口」という集まりを指すのに対し、「悪態をつく」のように、一つの行為や言葉を指す場合もあります。
対義語
「罵詈雑言」とは反対に、ほめたたえる美しい言葉を示します。
- 賛辞(さんじ):ほめたたえる言葉。
- 賞賛(しょうさん):優れていると認めて、ほめること。
- 美辞麗句(びじれいく):
美しく飾り立てた、立派な言葉。
※(時には「中身のないうわべだけの言葉」という皮肉で使われることもありますが、文字通りの意味は「罵詈雑言」の対極にあります。)
英語での類似表現
「罵詈雑言」の「悪口の集中砲火」というニュアンスに近い英語表現を紹介します。
a stream of abuse / a torrent of abuse
- 意味:「途切れることのない暴言」「罵倒の嵐」。
- ニュアンス:”stream”(流れ)や “torrent”(激流)を使い、悪口が立て続けに浴びせられる様子を表します。
- 例文:
He unleashed a stream of abuse at the referee.
(彼は審判に向かって、立て続けに罵詈雑言を浴びせた。)
verbal abuse
- 意味:「言葉による虐待」「口頭での暴言」。
- ニュアンス:より広く「言葉の暴力」全般を指す表現です。
「罵詈雑言」に関する豆知識
「罵詈雑言」の「詈」という漢字は、日常生活ではほとんど見かけません。
この漢字は「言(ことば)」と、網を意味する「罒(あみがしら)」が組み合わさっている(※字源には諸説あります)とされ、「言葉で相手を捕らえて責める」といった意味合いを持つようになったと言われています。
まとめ – 言葉の暴力
「罵詈雑言」は、あらゆる種類のひどい悪口をまとめて指す、非常に強い言葉です。
言葉は時として、人を励ます力にもなれば、深く傷つける刃(やいば)にもなります。
感情に任せて「罵詈雑言」をぶつけても、そこからは何も良いものは生まれません。言葉の重みを改めて考えさせられる四字熟語ですね。



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