嵐の前、空の風と雲が急激に動き始める。その張り詰めた気配がそのまま言葉になったのが、
「風雲急を告げる」(ふううんきゅうをつげる)という慣用句です。
意味
「風雲急を告げる」とは、大事件や争いごとが今にも起きそうな緊迫した情勢になることを意味します。
「風雲」は風と雲、転じて世の中の動乱や変動の前触れを指し、「急を告げる」は事態が差し迫っていることを表します。
二つが重なることで、嵐の直前のような切迫した空気を伝える表現となっています。
語源・由来
古くから風と雲の動きは天候が急変する前兆として意識されており、そこから「風雲」が世の中の動乱や大きな変動を表す比喩として定着しました。
それに「急を告げる」が結びつき、情勢の緊迫感を伝える慣用句として広まりました。
使い方・例文
政治・国際情勢・ビジネスの勢力図など、ある程度規模の大きな物事が緊迫した場面で使われます。個人の些細なトラブルに使うのはやや大げさな表現になります。
- 大統領の突然の辞任表明により、国内政治は風雲急を告げる事態となった。
- 有力選手が次々と敗退し、大会の行方は風雲急を告げている。
- ライバル企業の大型買収により、業界全体が風雲急を告げる展開を迎えた。
類義語・関連語
「風雲急を告げる」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 一触即発(いっしょくそくはつ):
少し触れただけで爆発しそうな、極めて危険な状態。 - 暗雲が立ち込める(あんうんがたちこめる):
悪いことが起こりそうな、不穏な気配が広がること。 - きな臭い(きなくさい):
火薬が焦げるような匂いがすることから、争い事などが起こりそうな怪しい雰囲気がすること。 - ただならぬ気配(ただならぬけはい):
いつもとは違う、重大なことが起こりそうな雰囲気。
対義語
「風雲急を告げる」とは対照的な意味を持つ言葉は以下の通りです。
- 天下泰平(てんかたいへい):
世の中が非常によく治まっていて、平和なこと。 - 平穏無事(へいおんぶじ):
特に変わったこともなく、穏やかで安らかなこと。 - 波風が立たない(なみかぜがたたない):
何の事件やもめごともなく、静かであること。
英語表現
「風雲急を告げる」を英語で表現する場合、以下のようなフレーズが使われます。
things are coming to a head
意味:事態が重大な局面(山場)を迎えつつある
問題や緊張が最高潮に達し、何らかの決着や決断が迫っている緊迫した状況を指します。
- 例文:
The tensions between the two countries are coming to a head.
両国間の緊張は風雲急を告げている。
trouble is brewing
意味:厄介なことが起こりそうだ、不穏な空気が漂っている
“brew”(醸造する)から転じて、よくないことが企まれている、起こりかけているという意味で使われます。
- 例文:
You can feel that trouble is brewing in the city.
その街では情勢が風雲急を告げているのを感じ取れる。
豆知識:「風雲」が持つもう一つの顔
「風雲急を告げる」の「風雲」には、緊迫した動乱の意味だけでなく、英雄が活躍する好機というポジティブな側面もあります。
竜が風と雲を得て天に昇るような勢いで英雄・豪傑が頭角を現す好機という意味から生まれた「風雲児」という言葉がその典型です。
嵐の前触れとして危機を告げる「風雲急を告げる」と、その動乱の中で躍り出る英雄を指す「風雲児」。
同じ「風雲」という言葉が、表裏一体の意味を持っているのは興味深いところです。
まとめ
「風雲急を告げる」は、大事件や争いごとが今にも起きそうな緊迫した情勢を表す慣用句です。
天候の急変という自然の比喩から生まれた言葉が、政治・社会・スポーツなど幅広い場面で変化の兆しを伝える表現として定着しました。
嵐の前の静けさが破れる瞬間の緊張感を、この言葉は的確に言い表しています。






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