意味
「遅々として進まず(ちちとしてすすまず)」とは、物事の進み具合が鈍く、いつまで経ってもなかなか前に進まないという意味です。
本来であればもっと早く進むはずだという期待があるのに、ほとんどはかどらないもどかしさを伴って使われます。
語源・由来
物事の進み方が遅いさまを表す漢語「遅々」に、「として進まず」を続けた言い方です。
「遅々」は古代中国の詩集『詩経』にも、道をゆっくりとしか進まない様子を表す用例があります。
使い方・例文
「遅々として進まず」は、ビジネスの交渉や公共の工事から個人の作業まで、進み具合の遅れをそのまま描写する場面や、遅れへの焦りや不満を込める場面で使われます。
- 意見が対立し、会議が遅々として進まずに終わった。
- 悪天候で復旧作業が遅々として進まず、影響が出ている。
- 気が散って宿題が遅々として進まず、焦りが募る。
類義語・関連語
「遅々として進まず」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 牛歩(ぎゅうほ):
牛の歩みのように、物事の進み方が非常に遅い状態。 - 停滞(ていたい):
物事が順調に進まず、一つの所に滞留している状況。 - 難航(なんこう):
多くの障害に阻まれ、物事がスムーズに進まない様子。 - 一進一退(いっしんいったい):
進んだり後戻りしたりして、なかなか進展しない状態。
「遅々として進まず」と「牛歩」の違い
「遅々として進まず」は、進めたいという意志や期待があるのに進まないもどかしさに焦点が当たります。
「牛歩」は牛がゆっくり歩く姿から転じた言葉で、時間を稼ぐためにわざと進みを遅くしているという意味を含むことがあります。
対義語
「遅々として進まず」と反対の意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- トントン拍子(とんとんびょうし):
物事が何の障害もなく、軽快に進んでいく様子。 - 順風満帆(じゅんぷうまんぱん):
追い風を受けて船が進むように、物事がすべて順調な状態。 - 日進月歩(にっしんげっぽ):
日に日に、また月々に、絶えず進歩し発展していくこと。
英語表現
make little headway
意味:ほとんど前進できず滞っている状態
Despite weeks of effort, we have made little headway on the project.
(何週間も取り組んでいるのに、プロジェクトは遅々として進んでいません。)
be at a standstill
意味:完全に停滞している状態
The negotiations are at a standstill.
(交渉は遅々として進まず、停滞しています。)
move at a snail’s pace
直訳:カタツムリのペースで進む
意味:極めて進み方が遅い様子
The traffic was moving at a snail’s pace.
(渋滞で、車は遅々として進みませんでした。)
『詩経』の「遅々」は春の日にも遅い歩みにも使われていた
古代中国の詩集『詩経』において、「遅々」という言葉は「春の日が長く、のどかな様子」を表す肯定的な表現として使われていました。
太陽がゆっくりと空を移動し、穏やかな時間が流れる情景を描写する言葉でした。
一方で、邶風「谷風」の「行道遲遲」では、道をゆっくりとしか進まない足取りを表しています。
小雅「采薇」でも、同じ句が飢えと渇きに苦しみながら帰る長い道のりに使われています。
「遅々として進まず」は、こちらに近い、はかどらない様子を表す意味で、現代では予定通りに進まないことへの焦りや、停滞に対する苛立ちを表現する言葉として使われています。










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