意味
「一瀉千里(いっしゃせんり)」とは、川の水が非常に速い勢いで一気に流れ下る情景から転じて、物事が非常にはやく進み、はかどることです。
また、文章や弁舌がよどみなく、すらすらと流れる様子を指す場合にも使われます。
途中で滞ることのないスピード感や、スムーズな進行をポジティブに評価する際に用いられる言葉です。
- 一(いっ):一度に。一気に。
- 瀉(しゃ):水が勢いよく流れ下る。注ぐ。
- 千(せん):数が多いこと。
- 里(り):距離の単位。
語源・由来
清代の地方行政の手引書である『福恵全書』巻二十九などに由来するとされています。
険しい谷間を行く軽い小舟が、わずかな間に一気に千里を流れ下る様子を記した一節が元になっています。
使い方・例文
「一瀉千里」は、滞っていた事態が急速に進展する場面や、流れるように滑らかな話し方を賞賛する場面で使われます。
- 文化祭の準備が、一瀉千里に進んだ。
- 難航していた話し合いが、一瀉千里に進んだ。
- 年末の大がかりな片付けが、一瀉千里に進んだ。
- 質問を受けた教授は、研究の要点を一瀉千里に説明してみせた。
類義語・関連語
「一瀉千里」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 破竹の勢い(はちくのいきおい):
竹が割れるように、激しい勢いで進出する様子。 - 一気呵成(いっきかせい):
物事を中断せず、一息に最後まで仕上げること。 - 立て板に水(たていたにみず):
弁舌がよどみなく、非常に流暢である様子。
「一瀉千里」と類義語の違い
「一瀉千里」は物事がはやく進み、滞りなく流れるようにスムーズに進行することに焦点があります。
「破竹の勢い」は他を圧倒して突き進む激しい勢いに、「一気呵成」は中断せず最後まで一気にやり遂げることに焦点があります。
対義語
「一瀉千里」と反対の意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 遅々として進まず(ちちとしてすすまず):
物事の進み方が非常に遅い様子。 - 一進一退(いっしんいったい):
進んだり後退したりして、なかなか進展しないこと。 - しどろもどろ:話し方が取り乱していて、要領を得ない様子。※一瀉千里の「弁舌がよどみない」という意味に対する対義語。
英語表現
by leaps and bounds
意味:目覚ましい勢いで、大幅に。
物事が短い間に大きくはかどることを表す表現。
The construction project is progressing by leaps and bounds.
(その建設プロジェクトは一瀉千里に進んでいる。)
「一瀉千里」の「瀉」が医学用語にも使われる理由
「一瀉千里」を構成する「瀉」という漢字は、水が勢いよく流れ下る、または注ぎ出すという意味を持っています。
この「体外へ勢いよく排出する」というイメージから、東洋医学においては体内の不要な熱や毒素、停滞した水分などを取り除く治療法を「瀉法(しゃほう)」と呼ぶようになりました。
現在でも、便秘薬などの下剤を医学・薬学用語で「瀉下薬(しゃげやく)」や「瀉剤(しゃざい)」と表記するのは、この漢字の原義に基づいています。










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