意味
「英雄色を好む(えいゆういろをこのむ)」とは、非凡な事業を成し遂げるエネルギーの強さが、異性への強い関心という形でも表れるという意味です。
語源・由来
「英雄」は、知力や才能、胆力や武勇などが特にすぐれた人を指します。
並外れた力を持つ者はあらゆることに並外れたさまを示す、という見方から、英雄に女色を取り合わせた言葉とされています。
使い方・例文
英雄色を好むは、成功者の派手な女性遍歴を評する場面や、精力的な人物をユーモアを交えて紹介する場面で使われます。
- 偉人の伝記を読むと、英雄色を好むという言葉を思い起こす場面が少なくない。
- 英雄色を好むとはいえ、スキャンダルで辞任した政治家を擁護する言葉にはなるまい。
現代における使用の注意点
かつては豪快な人物を褒める文脈や、自身の浮気を正当化する口実として使われることがありました。
しかし、コンプライアンスやジェンダー平等が重視される現代社会においては、不倫やセクハラを正当化する言葉として用いると、時代錯誤と受け取られるリスクがあります。
女性関係の派手な男性を非難したり、からかったりする文脈でも使われます。
類義語・関連語
英雄色を好むと関連する意味合いや背景を持つ言葉には、以下のものがあります。
- 傾国の美女(けいこくのびじょ):
優れた権力者や君主が夢中になり、結果として国を滅ぼしてしまうほどの美しい女性のこと。 - 男の甲斐性(おとこのかいしょう):
男性が十分な経済力や度量を持ち、妻以外の女性の面倒を見ることを肯定していた時代の表現。
「英雄色を好む」、鷗外『渋江抽斎』で五百がからかう場面
森鷗外の史伝『渋江抽斎』(1916年)に、このことわざを使った場面があります。
抽斎の妻となる五百は、嫁ぐ前のある元日、自分の手を取ろうとした佐竹という男の手を強く引いて放し、庭の池に落としたことがありました。
抽斎に嫁いだのち、両国の中村楼で開かれた書画会で、数人の芸妓に囲まれている佐竹と行き会い、次のように声をかけます。
佐竹さん、相変らず英雄色を好むとやらですね
(森鷗外『渋江抽斎』1916年)
佐竹は頭を掻いて苦笑したと書かれています。
「とやら」と人づての言い方を添えて、女性に囲まれた相手を軽くからかう使い方です。










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