意味
「二の句が継げない(にのくがつげない)」とは、あきれたり驚いたりして、次に言うべき言葉を失うという意味です。
単に返答を忘れたのではなく、相手の言動に圧倒されて絶句してしまう様子を表します。
- 二の句(にのく):最初の言葉に続く、次の言葉。
- 継ぐ(つぐ):前からのものを引き続いて行うこと。
語源・由来
「二の句」とは本来、平安時代に貴族の間で親しまれた「朗詠(ろうえい)」という宮廷歌謡で使われていた音楽用語です。
朗詠は漢詩に節をつけて歌うもので、「一の句・二の句・三の句」の三段構成になっていました。
このうち二の句は1オクターブ高く歌うところで、声が出なくなりやすい部分でした。
この「声が出せなくなる」という物理的な状態が転じて、「呆れや驚きで次の言葉が出てこない」という現代の意味になりました。
使い方・例文
「二の句が継げない」は、相手の非常識な行動や理不尽な言い分に対して、呆れ果てて会話が途切れてしまう場面で使われます。
- 無断欠勤の理由を「天気が悪くて」と平然と語る新人に、課長は二の句が継げない。
- 壊した花瓶を「勝手に割れた」と言い張る子供の態度に、父は二の句が継げない。
- 友人のあまりに身勝手な主張に、私は驚いて二の句が継げない状態になった。
類義語・関連語
「二の句が継げない」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 開いた口が塞がらない(あいたくちがふさがらない):
相手の行動や言葉があまりにも非常識で、呆れ果てて物も言えない様子。 - 唖然とする(あぜんとする):
思いがけない出来事に遭遇し、驚きあきれて声も出ないさま。 - 絶句する(ぜっくする):
驚きや怒り、あるいは感動のあまり、言葉が詰まって話せなくなること。
対義語
「二の句が継げない」とは反対の意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 立て板に水(たていたにみず):
話しぶりが淀みなく、スラスラと流れるように言葉が出てくること。 - 懸河の弁(けんがのべん):
傾斜が急な川の流れのように、弁舌がよどみなく激しく続く様子。 - 立て続け(たてつづけ):
物事が途切れることなく、次々と続くこと。
英語表現
be at a loss for words
意味:言葉に詰まる、言葉を失う
I was at a loss for words when I heard his selfish excuse.
(彼の身勝手な言い訳を聞いて、私は二の句が継げなかった。)
speechless
意味:絶句した、口がきけない
Her rude behavior left me speechless.
(彼女のあまりに無作法な振る舞いに、私は二の句が継げなかった。)
漱石の弟子小宮豊隆は「二の句を継ぐ」とも書いた
夏目漱石の弟子でドイツ文学者の小宮豊隆は、『漱石襍記』(1935年)で『吾輩は猫である』の書き出しを論じています。
猫がまず「吾輩は猫である」と堂々と名乗り、さらに得意そうに「名前はまだ無い」と「二の句を繼ぐ」のだ、と書きました。
同じ本で小宮は、初めて漱石の家を訪ねたときにあぐらをかいたことを、後で漱石に大学の講義で話題にされたと書いています。
小宮が「先生は随分ひどい」と言うと、漱石は「あれは君だつたのか、僕は誰だつたか忘れてゐたよ」と答え、小宮は「それぎり、二の句がつげなかつた」そうです。
「二の句」は打ち消しの「継げない」で使うことが多い言葉ですが、小宮のように、続けてもう一言を言うことを「二の句を継ぐ」と書く使い方もあります。









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