二の句が継げない

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ことわざ 慣用句
二の句が継げない
(にのくがつげない)

8文字の言葉」から始まる言葉

あまりに身勝手な主張を平然と口にされたり、想像を絶するような光景を目の当たりにしたりしたとき。
怒りや呆れ、あるいは驚きが限界を超えてしまい、喉の奥で言葉が固まってしまうことがあります。
そんな心理状態を、「二の句が継げない」(にのくがつげない)と言います。

意味・教訓

「二の句が継げない」とは、相手の言動に驚いたり呆れたりして、次に続く言葉が出てこないことを意味します。

単に返答を忘れるのではなく、あまりの衝撃に圧倒されて絶句してしまうという、強い困惑や拒絶のニュアンスが含まれます。
相手の理不尽な態度や、常識外れの行動に対して使われることが多い言葉です。

語源・由来

「二の句が継げない」の語源は、仏教の儀式で唱えられる「声明」(しょうみょう)という歌にあります。
声明には、一段高い音から歌い始める「一の句」と、それに続く「二の句」という構成がありました。

最初の「一の句」をあまりに高い音で歌いすぎたり、力を使い果たしたりすると、次に続く「二の句」を歌い出すことができなくなります。
この「物理的に声が続かなくなる」という状態が転じて、現代のように「ショックで言葉が出ない」という心理を表すようになりました。
江戸時代に「江戸いろはかるた」の読み札として採用されたことで、一般庶民の間にも広く定着しました。

使い方・例文

「二の句が継げない」は、驚きや呆れによって会話が途切れてしまった文脈で使用します。

例文

  • 期待していた部下が無断欠勤をしたと聞き、課長は二の句が継げない様子だった。
  • テストで一桁の点数を取った息子が「天才は凡人と違うから」と胸を張る姿に、母は二の句が継げない
  • 友人のあまりに身勝手な言い分に、私は驚いて二の句が継げない状態になった。
  • 壊した花瓶を「勝手に割れた」と言い張る子供に、父は二の句が継げない

文学作品での使用例

『吾輩は猫である』(夏目漱石)

知識人を気取る迷亭(めいてい)が、ありもしない歴史上の作り話を堂々と披露する場面で、それを聞いた主人の反応として描かれています。

迷亭は平気なものである。
主人は二の句が継げないと見えて、ただ鼻の先で、ふんふんと云っている。

類義語・関連語

「二の句が継げない」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 絶句する(ぜっくする):
    驚きや怒りのあまり、言葉が詰まって話せなくなること。
  • 唖然とする(あぜんとする):
    意外な出来事に遭遇し、驚きあきれて物も言えない様子。
  • 言葉を失う(ことばをうしなう):
    驚きや悲しみ、あるいは感動によって何も言えなくなること。

対義語

「二の句が継げない」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 立て板に水(たていたにみず):
    話しぶりが淀みなく、スラスラと言葉が出てくること。
  • 滔々と(とうとうと):
    話が途切れることなく、次から次へと言葉があふれ出す様子。

英語表現

「二の句が継げない」を英語で表現する場合、以下のフレーズが適しています。

Be at a loss for words

「言葉に詰まる」「言葉が見つからない」という意味です。
驚きや困惑によって、次に何を言えばいいか分からなくなった状態を指す一般的な表現です。

  • 例文:
    I was at a loss for words when I heard the shocking news.
    (その衝撃的なニュースを聞いたとき、私は二の句が継げなかった。)

Speechless

「絶句した」「口がきけない」という意味の形容詞です。
一時的に話せなくなるほど強い感情(驚き、呆れ、感動など)を抱いた際に使われます。

  • 例文:
    Her rude behavior left me speechless.
    (彼女のあまりに無作法な振る舞いに、私は二の句が継げなかった。)

知っておきたい豆知識

「二の句が継げない」のルーツである声明は、日本の伝統音楽の源流とも言える存在です。
実は、私たちが日常的に使っている言葉の中には、この声明や仏教音楽にルーツを持つものが他にもあります。

例えば、物事の順序や準備を意味する「段取り」や、声の調子を表す「節(ふし)」なども、もとは音楽用語でした。
音楽的な制約から生まれた「二の句が継げない」という言葉が、時を経て「心の揺れ」を表す言葉へと進化した背景には、日本人の感性の歴史が詰まっていると言えるかもしれません。

まとめ

相手の予想外の言動に触れ、頭が真っ白になってしまう。
そんなとき、私たちは自分でも気づかないうちに「二の句」を見失っています。

「二の句が継げない」という言葉を知ることは、沈黙という反応の中に込められた、呆れや驚きといった複雑な感情を冷静に見つめ直すきっかけにもなることでしょう。
言葉が出ないほどの衝撃も、いつかは笑い話として語れる日が来るのかもしれません。

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