二の句が継げない

スポンサーリンク
慣用句
二の句が継げない
(にのくがつげない)

8文字の言葉」から始まる言葉

悪びれもせずに理不尽な言い訳をされたり、想像を絶するような非常識な振る舞いを目の当たりにしたりしたとき。
あまりの呆れや驚きに思考が追いつかず、言葉を失ってしまうことがあります。
そんな、喉の奥で次の言葉が完全に詰まってしまう状態を表すのが、
「二の句が継げない」(にのくがつげない)です。

意味・教訓

「二の句が継げない」とは、相手の言動にあきれたり驚いたりして、次に言う言葉が出ないことです。

単に返答を忘れたわけではなく、あまりの衝撃や呆れによって圧倒され、絶句してしまうという強い困惑や拒絶のニュアンスが含まれます。

  • 二の句(にのく):最初の言葉に続く、次の言葉。
  • 継ぐ(つぐ):前からのものを引き続いて行うこと。

語源・由来

「二の句」とは本来、平安時代に貴族の間で親しまれた「朗詠(ろうえい)」という宮廷歌謡で使われていた音楽用語です。
朗詠は漢詩に節をつけて歌うもので、「一の句・二の句・三の句」の三段構成になっていました。

音域の配分は一の句が低音、二の句が高音(1オクターブ上)、三の句が中音とされており、低音の一の句から一気に高音の二の句へ跳び上がる箇所が特に難しく、声が出なくなりやすい部分でした。

この「声が出せなくなる」という物理的な状態が転じて、「呆れや驚きで次の言葉が出てこない」という現代の意味になりました。
なお、この慣用句として定着したのは比較的新しく、江戸時代以前の文献には用例が見られず、有島武郎の小説『或る女』(1911年)が初出ではないかとされています。

使い方・例文

「二の句が継げない」は、相手の非常識な行動や理不尽な言い分に対して、呆れ果てて会話が途切れてしまう場面で使われます。

  • 無断欠勤の理由を「天気が悪かったから」と平然と語る新人に対し、課長は二の句が継げなかった
  • 壊した花瓶を「勝手に割れた」と言い張る子供の態度に、父は二の句が継げない
  • 友人のあまりに身勝手な主張に、私は驚いて二の句が継げない状態になった。

類義語・関連語

「二の句が継げない」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 開いた口が塞がらない(あいたくちがふさがらない):
    相手の行動や言葉があまりにも非常識で、呆れ果てて物も言えない様子。
  • 唖然とする(あぜんとする):
    思いがけない出来事に遭遇し、驚きあきれて声も出ないさま。
  • 絶句する(ぜっくする):
    驚きや怒り、あるいは感動のあまり、言葉が詰まって話せなくなること。

対義語

「二の句が継げない」とは反対の意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 立て板に水(たていたにみず):
    話しぶりが淀みなく、スラスラと流れるように言葉が出てくること。
  • 懸河の弁(けんがのべん):
    傾斜が急な川の流れのように、弁舌がよどみなく激しく続く様子。
  • 立て続け(たてつづけ):
    物事が途切れることなく、次々と続くこと。

英語表現

be at a loss for words

意味:言葉に詰まる、言葉を失う

  • 例文:
    I was at a loss for words when I heard his selfish excuse.
    彼の身勝手な言い訳を聞いて、私は二の句が継げなかった。

speechless

意味:絶句した、口がきけない

  • 例文:
    Her rude behavior left me speechless.
    彼女のあまりに無作法な振る舞いに、私は二の句が継げなかった。

肯定形で「二の句を継ぐ」とは言わない?

「二の句が継げない」は「否定形」でしか使われないという特徴を持っています。

会話がスムーズに進んでいるときに「彼は見事に二の句を継いだ」と言ったり、「必死に二の句を継ごうとした」と表現したりすることは基本的にありません。
「一の句から二の句への跳躍に失敗する」という語源が示す通り、この言葉は生まれた時から「続かなくなってしまった停止の状態」を表すための専用フレーズです。
日常的に使っている言葉の多くが、実はこのように「〜ない」という形でしか存在できないのは、日本語の興味深い特性の一つです。

スポンサーリンク

コメント