意味
「老いては益々壮んなるべし(おいてはますますさかんなるべし)」とは、単に「元気なお年寄り」を指す言葉ではなく、年老いても元気が衰えず、ますます盛んな意気を持っていなければならないという意味です。
語源・由来
「老いては益々壮んなるべし」の由来は、中国の歴史書『後漢書』に記された後漢の将軍、馬援の言葉にあります。
馬援は若いころ、牧畜をしながら各地を渡り歩いていた時期に、客人たちへ常々こう語っていました。
丈夫爲志、窮當益堅、老當益壯。
(男子たる者、志を立てたからには、困窮すればいっそう意志を堅くし、年老いればいっそう意気盛んであるべきだ。)
後年、彼はこの言葉通り、60歳を過ぎても自ら志願して戦場へ赴き、最前線で指揮を執り続けました。
この逸話から、年齢を理由に情熱を失わず、むしろ磨きをかけていく力強い生き方を称える言葉として定着しました。
使い方・例文
「老いては益々壮んなるべし」は、現役を退いた世代が新たな分野で活躍している場面や、高齢になっても高い志を持って挑戦し続けている人を称賛する文脈で使われます。
例文
- 80歳過ぎでアプリを開発した彼女は、まさに老いては益々壮んなるべしだ。
- 老いては益々壮んなるべしを胸に、定年後も地域活動を続けています。
- 毎朝ジョギングを欠かさない祖父は、老いては益々壮んなるべしで孫より元気だ。
誤用・注意点
「老いては益々壮んなるべし」は非常にポジティブな言葉ですが、使う相手や状況には注意が必要です。
この言葉には「老いては〜(なければならない)」という教訓のニュアンスが含まれているため、本人が若々しさを自負している場合に、他人から「老いている」という事実を強調されると不快に感じる可能性があります。
目上の人に対しては、直接的な評価として使うよりも「素晴らしいお手本です」といった敬意を添えるのが無難です。
類義語・関連語
「老いては益々壮んなるべし」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 老当益壮(ろうとうえきそう):
歳をとればとるほど、気力も意欲も充実してくること。 - 矍鑠(かくしゃく):
年をとっても心身ともに丈夫で、元気に活動している様子。 - 枯れ木に花(かれきにはな):
衰えたものが再び勢いを取り戻すことや、晩年になって幸運が舞い込むこと。
対義語
「老いては益々壮んなるべし」とは対照的な意味を持つ言葉は以下の通りです。
- 老いては子に従え(おいてはこにしたがえ):
歳をとったら、強情を張らずに何事も子供に任せて従うのがよいという考え。 - 枯れ木に花は咲かぬ(かれきにはなはさかぬ):
一度衰えてしまったものは、二度と元の勢いを取り戻すことはできないということ。
英語表現
「老いては益々壮んなるべし」を英語で表現する場合、以下のようなフレーズがあります。
A green old age
「緑の(瑞々しい)老い」
歳をとっても心身ともに元気で、活力に満ちている状態を指します。
My grandmother is enjoying a green old age by volunteering at the library.
(祖母は図書館でボランティアをしながら、若々しい老後を楽しんでいる。)
There is many a good tune played on an old fiddle
「古いバイオリンでも良い曲はたくさん弾ける」
古い楽器(=老人)であっても、優れた技術や精神(=良い曲)を持っているという意味の諺です。
Don’t underestimate him; there is many a good tune played on an old fiddle.
(彼を軽んじてはいけない。古いバイオリンでも素晴らしい名曲が奏でられるものだ。)
「老いては益々壮んなるべし」の馬援を光武帝は「矍鑠」と評した
「老いては益々壮んなるべし」の語源となった馬援将軍には、もう一つ現代でも親しまれている言葉のきっかけを作ったエピソードがあります。
62歳の馬援が「まだ鎧を着て馬に乗れます」と出陣を願い出て、鞍にまたがり辺りを見回してみせたのを見て、皇帝である光武帝が「矍鑠たるかな、この翁」と感嘆しました。
これが、元気なお年寄りを形容する「矍鑠」という言葉の由来です。
「老いては益々壮んなるべし」は若いころの馬援自身の言葉、「矍鑠」は62歳の馬援を見た光武帝の言葉で、どちらも『後漢書』馬援伝に記されています。











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