老いの木登り

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ことわざ 慣用句
老いの木登り
(おいのきのぼり)

7文字の言葉」から始まる言葉
老いの木登り 【個別】ことわざ・慣用句・四字熟語

「まだまだ若いもんには負けん!」と意気込んで、体力勝負のスポーツに挑戦したり、高いところの作業を自分でやろうとしたり…。
年齢を重ねても気力があるのは素晴らしいことですが、周囲から見ると「危なっかしい」とハラハラしてしまうことがあります。
老いの木登り」は、そんな年甲斐のない危険な振る舞いを戒める言葉です。

「老いの木登り」の意味

老人が、自分の年齢や体力の衰えを顧みずに、木登りのような危険なことや、不相応なことをすること

  • 老い:年をとること。老人。
  • 木登り:身軽さや筋力が必要な、子供や若者の遊び・作業。

単に「無理をする」というだけでなく、「自分の身体能力を過信して、大怪我につながるような無茶をする」という、物理的な危険性を伴うニュアンスで使われることが多い言葉です。

「老いの木登り」の由来・背景

この言葉は、特定の物語に由来するものではなく、生活の実感から生まれた比喩表現です。

昔から「木登り」は、身軽な子供や若者の領分でした。足腰の弱った老人が木に登れば、感覚のズレや筋力の低下により、転落して大怪我をするリスクが非常に高くなります。
それにもかかわらず木に登ってしまうのは、自分を若いままだと錯覚したり、周囲におだてられて調子に乗ってしまったりする「心の油断」があるからです。

よく似た言葉に「豚もおだてりゃ木に登る」がありますが、「老いの木登り」は笑い事では済まない「実際の危険」への警告としての意味合いが強い表現です。

「老いの木登り」の使い方・例文

主に、高齢者が無理をしているのを諌(いさ)める場面や、自らの無茶を反省する自虐的な文脈で使われます。

例文

  • 孫にいいところを見せようと張り切って怪我をするなんて、まさに「老いの木登り」だ。
  • 屋根の修理くらい自分でできると思ったが、妻に「老いの木登り」はやめてプロに頼んでと言われた。
  • 還暦を過ぎてからの激しいスポーツは、「老いの木登り」にならぬよう十分に注意が必要だ。

使用上の注意点

  • 目上の人への使用は慎重に
    「年甲斐もない(いい歳をして)」という批判的なニュアンスを含むため、目上の人に対して直接「それは老いの木登りですよ」と言うのは失礼にあたります。
    「無理はなさらないでください」「私たちに任せてください」と言い換えるのが無難です。

「老いの木登り」の類義語・関連語

年齢に合わない行動や、その危険性を表す言葉を紹介します。

  • 老いの冷や水(おいのひやみず): 高齢者が冷水を浴びるような、年齢にふさわしくない無茶な振る舞いをすること。「年寄りの冷や水」とも言う。
    • 違い:「冷や水」は健康を害するような無理全般(夜更かし、暴飲暴食、薄着など)を指しますが、「木登り」は転落や骨折などの物理的な危険がある行為に使われる傾向があります。
  • 年甲斐もない(としがいもない):
    年齢相応の分別がなく、みっともないこと。

「老いの木登り」の対義語

年齢相応の振る舞いや、経験の価値を説く言葉です。

  • 老いては子に従え(おいてはこにしたがえ):
    年をとったら我を張らず、子供の意見に従うほうがうまくいくということ。
  • 亀の甲より年の功(かめのこうよりとしのこう):
    長年の経験や知恵は尊いものであるということ。

「老いの木登り」の英語表現

英語圏にも、年齢をわきまえない行動を戒める表現があります。

There’s no fool like an old fool.

  • 直訳:年寄りの愚か者に勝る愚か者はいない。
  • 意味:「いい年をして馬鹿なことをするのは、若者の愚行より始末が悪い」
  • 解説:年齢を重ねて分別があるはずの人が、分別を欠いた行動(老いの木登り)をすることを痛烈に批判する言葉です。

Act your age.

  • 意味:「年相応に振る舞いなさい」
  • 解説:無理をしている人に対して、「いい年をしてやめなさい(子供みたいな真似はするな)」と諫める際に使われます。

「老いの木登り」に関する豆知識

現代の「木登り」は、脚立と屋根の上にあり

ことわざが生まれた時代、高齢者の危険といえば実際の「木登り」でした。しかし現代において、命に関わる「老いの木登り」は、より身近な場所に潜んでいます。

  1. 脚立(きゃたつ)
    庭木の剪定や電球の交換など、「これくらいの高さなら」という油断が、バランス感覚の低下と相まって転落事故を引き起こします。
  2. 雪下ろし
    雪の多く降る地域では、毎年の屋根の雪下ろしが深刻な課題です。人手不足や「まだ自分はやれる」という責任感から屋根に登り、転落する高齢者の事故が後を絶ちません。

どちらも、「慣れているから大丈夫」という過信が招く事故です。
現代における「老いの木登り」は、決して笑い話ではなく、生命に関わる切実な教訓となっているのです。

まとめ

「老いの木登り」は、自分の若さを過信したり、気持ちだけで突っ走ったりすることへの戒めです。
「気持ちが若い」ことは素晴らしいですが、体は正直です。
自分の限界を正しく知り、危険なことは若者やプロに任せる潔(いさぎよ)さを持つことも、長く元気に過ごすための知恵と言えるでしょう。

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