下馬評

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三字熟語 故事成語
下馬評
(げばひょう)
異形:ゲバ評

5文字の言葉け・げ」から始まる言葉
下馬評 【個別】ことわざ・慣用句・四字熟語

大会の開幕前や選挙の投票日前、人々は「誰が当選するか」「どのチームが勝つか」と熱心に予想を交わします。
そうした当事者ではない周囲の人々による、事前の評判や予測のことを、
「下馬評」(げばひょう)と言います。

意味・教訓

「下馬評」とは、その物事に直接関わっていない第三者があれこれと言う評判や予想のことです。
主に、選挙の当落予想やスポーツの優勝予想など、結果が出る前の「前評判」を指して使われます。

  • 下馬(げば):馬から降りること。また、社寺の門前などで馬から降りるべき場所。
  • (ひょう):物事の良し悪しを判定し、意見を述べること。

語源・由来

「下馬評」の由来は、神社の門前やお城の入り口にあった「下馬先(げばさき)」という場所にあります。

かつて、身分の高い主人が参拝や登城のために馬を降りて建物へ向かっている間、外で待機していたお供の者(従者)たちは非常に退屈していました。
そこで彼らが、待ち時間を利用して他家の主人の噂話や世間のニュースを勝手に語り合ったことが、この言葉の始まりです。

主人のいないところで、部外者が勝手な予想や噂で盛り上がる様子が、現代の「選挙の議席予想」や「世間の評判」という意味として定着しました。

使い方・例文

期待や不安が入り混じる場面で、周囲の主観的な予想を指して使われます。
特に、大方の予想が外れたときや、それを覆したときに強調されることが多い言葉です。

例文

  • 今回の選挙、下馬評では現職が圧倒的に有利とされている。
  • 下馬評を覆し、ノーマークだった候補者が選挙で初当選を飾った。
  • 今度の新作ゲームは、事前の下馬評が非常に高い。
  • 下馬評では不利だと言われていたが、無事に試験を突破した。

文学作品での使用例

『パンドラの匣』(太宰治)

結核療養所での日々を描いた書簡体小説の中で、周囲の無責任な噂話を指して用いられています。

下馬評によれば、あのひと、ことしじゅうに、必ず死ぬるのだそうでございます。

誤用・注意点

「下馬評」はあくまで「結果が出る前の第三者の予想」です。
本人が自分自身のことを予想したり、専門家が確定した結果を分析したりする際には使いません。

また、語源がお供の者たちの「暇つぶしの噂話」であるため、どこか根拠が薄い、あるいは無責任であるというニュアンスが含まれることがあります。
特に選挙戦においては、実態を伴わない期待や不安を指す際にも使われます。

類義語・関連語

「下馬評」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 風評(ふうひょう):
    世間の人々が口にする噂。
    根拠のない評判という否定的なニュアンスで使われることが多い言葉です。
  • 巷説(こうせつ):
    世間に流れている噂。
    街角でささやかれる、真偽の定かではない話を指します。
  • 取り沙汰(とりざた):
    世間で噂にのぼること。
    「選挙の立候補が取り沙汰されている」のように、話題になっている状態を指します。

対義語

「下馬評」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 定説(ていせつ):
    すでに世間で認められ、確定している評価や説。
    あやふやな噂ではなく、事実として定着しているものを指します。
  • 正評(せいひょう):
    公正で正しい評価。
    一時的な流行や無責任な噂ではなく、実力に基づいた確かな評判のことです。

英語表現

「下馬評」を英語で表現する場合、以下の表現が適切です。

public opinion

「世論」「世間の評判」
最も一般的で、広く世間がどう思っているかを表します。

  • 例文:
    According to public opinion, the candidate will win the election.
    (下馬評によれば、その候補者が選挙で勝つだろう。)

speculation

「推測」「憶測」
根拠が不十分な状態での予想、というニュアンスを強調する場合に使います。

  • 例文:
    There is much speculation about the election results.
    (選挙結果について、多くの下馬評が飛び交っている。)

「下馬」について知っておきたい豆知識

「下馬」という言葉は、現代でも地名や駅名として全国に残っています。
例えば、東京都世田谷区にある「下馬(しもうま)」は、かつて源頼朝が遠征の途中に馬を止めた場所であるという伝説が由来の一つとされています。

また、古い神社やお寺には、今でも「下馬」と書かれた石碑(下馬碑)が立っていることがあります。
これは「ここから先は神聖な場所なので、どんなに身分が高い人であっても馬から降りなさい」という結界の役割を果たしていました。
日常で使う「下馬評」という言葉の裏には、こうした古来の参拝マナーや馬文化の歴史が隠されているのです。

まとめ

「下馬評」という言葉は、主君の帰りを待つ従者たちの世間話から生まれたものです。
今日でも、選挙の行方やスポーツの試合結果を予測する声はあちこちで聞かれますが、それらはあくまで「外から見た推測」にすぎません。

周囲の評判に耳を傾けるのも一つの情報収集ではありますが、それが必ずしも真実とは限らないものです。
下馬評に翻弄されすぎず、自分自身の確かな目で見極める姿勢を持つことが、情報あふれる現代を賢く生きるコツと言えるかもしれません。

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