一頭地

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慣用句 三字熟語 故事成語
一頭地
(いっとうち)
短縮形:一頭

5文字の言葉」から始まる言葉
三字熟語 【個別】ことわざ・慣用句・四字熟語

多くの受験生が並ぶ試験結果の中で、一人だけ満点に近い圧倒的な成績を残し、周囲の度肝を抜く。
そんな、他よりも一段と抜きん出ている様子を、
「一頭地」(いっとうち)と言います。

意味

「一頭地」とは、他よりも一段と抜きん出ていることを意味します。
一般的には「一頭地を抜く」という慣用句の形で使われ、知識、才能、技術などが周囲の人々よりもはるかに優れている状態を指します。

「一頭」は頭一つ分、「地」は高さを表しており、周囲よりも頭一つ分だけ高い位置にあることから、群を抜いて優れていることを表すようになりました。

語源・由来

「一頭地」の由来は、中国の北宋時代の文人、欧陽脩(おうようしゅう)が記した書簡(『与梅聖俞書』)にあります。

当時、試験の採点官を務めていた欧陽脩は、受験生であった蘇軾(そしょく)の類まれなる才能に深く感動しました。
彼は知人への手紙の中で、「この若者の才能は実に見事だ。私は彼に「一頭地」を譲って(道を譲って頭一つ分高いところへ立たせて)、彼が世に出るのを助けよう」と絶賛しました。

この「一頭地を出す(=譲る)」という表現が、後に自ら抜きん出る意味の「一頭地を抜く」へと変化し、定着しました。

使い方・例文

「一頭地」は、単に上手であると言うよりも、圧倒的な実力差がある場合や、非凡な才能を称える際に使われます。

例文

  • 彼の守備技術は、同年代の中で一頭地を抜く。
  • 彼女の絵は、素人離れした感性で一頭地を抜けていた。
  • 専門知識において、彼はまさに一頭地を抜く存在だ。
  • 彼の語学力は、多くの志願者の中で一頭地を抜けていた。

文学作品での使用例

『運命』(幸田露伴)

中国の歴史を題材にしたこの作品の中で、人物の才能や勢力が他を圧倒する様子を表現する際にこの言葉が使われています。

…いづれも群の中に一頭地を抜きたる、…

類義語・関連語

「一頭地」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 群を抜く(ぐんをぬく):
    多くの人の中で、技能や能力が格段に優れていること。
  • 白眉(はくび):
    同類の中で、最も優れている人や物のたとえ。
  • 出色の出来(しゅっしょのでき):
    周囲のものより際立って優れていること。

対義語

「一頭地」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 団栗の背比べ(どんぐりのせくらべ):
    どれも似たり寄ったりで、抜きん出た者がいないこと。
  • 十人並み(じゅうにんなみ):
    世間一般の人と同じくらいの、人並みの能力や容姿であること。

英語表現

「一頭地」を英語で表現する場合、以下のような表現があります。

head and shoulders above

「他より頭一つ分高い」
日本語の「一頭地」と発想が一致する、ずば抜けていることを指す定型句です。

「はるかに勝っている」
能力や質が周囲よりも一段上のレベルにある状態を指します。

  • 例文:
    He is head and shoulders above the rest of the class.
    彼はクラスの中で一頭地を抜いている。

a cut above

「一段上の」
他よりも質が高く、明らかに優位にある状態を指す慣用的な表現です。

「格上の」
周囲と比較して、洗練された優秀さを持っていることを意味します。

  • 例文:
    Her performance was a cut above the others.
    彼女の演奏は、他の出演者より一頭地を抜けていた。

豆知識:一頭地を「出す」か「抜く」か

語源となった欧陽脩のエピソードでは、もともと「一頭地を出す(一頭地を出す)」という表現でした。
これは、先達である欧陽脩が「若者に道を譲って、頭一つ分高い場所に行かせてやろう」という謙虚な親心から発せられたものです。

しかし、時代が下るにつれて評価される側の視点へと移り変わり、自らの力で周囲を追い抜いていくイメージから「抜く」という言葉が一般化しました。
言葉の背景には、偉大な先人が才能ある若者を認め、慈しんだという温かい物語が隠されています。

まとめ

多くの人々がひしめき合う中で、自らの努力と才能によって突き抜けた存在となる「一頭地」。
この言葉は、単なる実力の証明だけでなく、周囲からその非凡さを認められた証でもあります。

誰よりも高く、遠くを見渡せる場所に立つためには、地道な積み重ねが欠かせません。
いつか自分だけの強みで「一頭地を抜く」日を夢見て、今日の一歩を大切にしていきたいものです。

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