目まぐるしく移り変わる流行や、日ごとに姿を変える街並みに身を置いていると、ふと「決して変わらないもの」の尊さに気づくことがあります。
何百年、何千年経っても色あせない真理や、時代を超えて受け継がれる本質的なあり方を、
「万古不易」(ばんこふえき)と言います。
意味
「万古不易」とは、いつまでも永久に変わらないことを指します。
どれほど時代や環境が変化しても、その本質や価値が全く動じない様子を強調する言葉です。
- 万古(ばんこ):遠い過去から永遠に続く時間。
- 不易(ふえき):変わらないこと。不変。
語源・由来
「万古不易」という言葉は、中国の古い文献に見られる「万古」と、不変を意味する「不易」が組み合わさったものです。
日本では、江戸時代の俳聖・松尾芭蕉が唱えた芸術論「不易流行」の根幹を成す概念として広く浸透しました。
芭蕉は、新しさを追求する変化(流行)の底には、時代を超えて変わらない本質(不易)がなければならないと説きました。
この思想において「不易」は、時間の試練に耐えうる真の価値を指す言葉として重んじられています。
単に古いものが残っている状態ではなく、価値が摩耗しないという肯定的な文脈で使われるのが特徴です。
使い方・例文
「万古不易」は、自然の摂理や道徳的な教え、あるいは時代に左右されない芸術の魅力を語る際に使われます。
日常の何気ない風景の中にある「変わらないもの」を称える場面にも適しています。
例文
- 親が子を思う愛情は万古不易の情愛である。
- 古典文学には万古不易の人間ドラマが描かれている。
- 故郷の山河には万古不易の美しさがある。
- 誠実さは万古不易の徳目として尊ばれる。
類義語・関連語
「万古不易」と似た意味を持つ言葉には、時間の長さを強調する表現があります。
- 不磨不滅(ふまふめつ):
磨り減ることも滅びることもなく、永遠に残ること。 - 千古不変(せんこふへん):
遠い昔から現在に至るまで、全く変わらないこと。 - 永久不変(えいきゅうふへん):
いつまでも変わることがない様子。 - 金科玉条(きんかぎょくじょう):
絶対的な拠り所として、永遠に守るべき大切な決まり。
対義語
「万古不易」とは対照的な意味を持つ言葉は、絶え間ない変化や移ろいを表します。
- 諸行無常(しょぎょうむじょう):
この世のすべては常に変化し、同じ状態にあるものはないということ。 - 変幻自在(へんげんじざい):
現れたり消えたり、思うがままに姿を変えてとどまらないこと。 - 朝令暮改(ちょうれいぼかい):
命令や方針がすぐに変わり、一定しないこと。
英語表現
「万古不易」を英語で表現する場合、永遠性や不変性を表す定型表現を用います。
eternally unchanging
「永遠に変わらない」
価値や真理が不変であることをストレートに伝える表現です。
- 例文:
The laws of nature are eternally unchanging.
(自然の法則は万古不易である。)
everlasting
「永久に続く」「不朽の」
時間が経過しても衰えない価値を表現する際に適しています。
- 例文:
This painting has everlasting beauty.
(この絵画には万古不易の美しさがある。)
由来の背景:不易流行の真意
「万古不易」を語る上で欠かせない「不易流行」の思想には、現代にも通じる深い教訓があります。
松尾芭蕉は、常に新しい風を取り入れる「流行」の姿勢こそが、結果として「不易(変わらぬ本質)」を支えるのだと考えました。
「変わらないもの」を守るためには、実は変化を恐れずに挑戦し続けるエネルギーが必要であるという考え方です。
このため、伝統芸能や老舗の世界では、この言葉を単なる「保守」ではなく「進化し続ける不変」という前向きなスローガンとして掲げることがあります。
まとめ
時の流れは残酷なほど速く、多くのものが昨日とは違う姿に変貌していきます。
しかし、その激流の中でも流されずに踏みとどまる「万古不易」な価値観を見出すことは、私たちの生活に確かな安心感を与えてくれるはずです。
流行を楽しみつつも、自分の中に揺るぎない「不易」の一本芯を通しておく。
それは、複雑な現代を自分らしく歩んでいくための知恵と言えるかもしれません。





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