意味
「一落千丈(いちらくせんじょう)」とは、積み上げてきた名声や地位、勢いが、一気に大きく崩れ落ちてしまうという意味です。
単に「衰える」のではなく、高い場所から一気に、それも非常に深いところまで転落するという、変化の激しさを強調する言葉です。
人の評判だけでなく、景気や成績、物事の価値が暴落する際にも使われます。
熟語を分解すると以下の通りです。
- 一落(いちらく):一度に、または一気に落ちること。
- 千丈(せんじょう):「丈(じょう)」は長さの単位。千丈は非常に高いこと、あるいは非常に深いことの例え。
語源・由来
「一落千丈」の語源は、唐の文豪である韓愈(かんゆ)の詩にあります。
僧の穎師(えいし)が琴を弾くのを聴いて詠んだ詩「聴穎師弾琴(えいしのきんをひくをきく)」に、次の一節があります。
躋攀分寸不可上、失勢一落千丈強
(一分一寸とよじ登り、もうこれ以上は上がれないほどの高みに達したかと思うと、勢いを失って千丈あまりも一気に落ちる)
韓愈がここで描いたのは琴の音の高低であり、人の境遇を嘆いた言葉ではありません。
のちに、この句は琴の音に限らず、地位や評判、景気、成績などが急に大きく落ちることのたとえとして使われるようになりました。
使い方・例文
「一落千丈」は、順調だった物事が何らかのきっかけで、一気に大きく落ち込んだ場面で使用されます。
例文
- 不祥事で企業の信用が一落千丈した。
- 期待の新作だが評価は一落千丈だ。
- 油断してテストの成績が一落千丈した。
- スキャンダルで人気が一落千丈する。
類義語・関連語
「一落千丈」と似た意味を持つ、辞書に実在する言葉は以下の通りです。
- 凋落(ちょうらく):
威勢が衰え、落ちぶれること。 - 急転直下(きゅうてんちょっか):
事態が急激に変化すること。悪い方向への急変にも使われます。 - 地に落ちる(ちにおちる):
盛んであった評判や権威などが、すっかり衰えること。
対義語
「一落千丈」とは対照的な、勢いよく上昇していく様子を示す言葉は以下の通りです。
- 旭日昇天(きょくじつしょうてん):
朝日が天に昇るような勢い。極めて勢いが盛んなこと。 - うなぎ登り(うなぎのぼり):
評価などが、止まることなく急速に上がっていくこと。 - 平歩青雲(へいほせいうん):
一気に高い地位に上り詰めること。
英語表現
「一落千丈」を英語で表現する場合、急激な下落を意味する言葉を用います。
Plummet
「真っ逆さまに落ちる」
速いスピードで下落することを指す動詞です。
His popularity plummeted after the scandal.
(スキャンダルの後、彼の人気は急落した。)
一落千丈が言う落差は約3,000メートル
「一落千丈」に使われている「丈(じょう)」は、東洋の伝統的な長さの単位です。
一丈は約3.03メートルに相当します。
つまり「千丈」とは、計算上は約3,030メートルを指します。
これは日本でいえば、北アルプスの槍ヶ岳(3,180メートル)の頂上付近から海抜0メートルまで落下するのに近い距離です。
「一落千丈」はこのように、実際の地形に置き換えても想像しがたいほどの規模の数字を使って、下落の大きさを表現した言葉です。









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