欲の熊鷹股を裂く

ことわざ
欲の熊鷹股を裂く(よくのくまたかまたをさく)

12文字の言葉」から始まる言葉
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「欲の熊鷹股を裂く」の意味 – 強欲が招く破滅

「欲の熊鷹股を裂く」とは、あまりにも欲が深すぎると、道理に外れたことまでしようとして、結局は失敗し、自ら破滅を招いてしまう、ということのたとえです。

また、同時に二つのものを得ようと欲張ると、どちらも手に入れることができずに失敗してしまう、という意味合いで使われることもあります。
強欲や無理な望みに対する強い戒めの言葉です。

「欲の熊鷹股を裂く」の語源・由来 – 欲深い鷹の寓話

空を飛ぶクマタカ
空を飛ぶクマタカ

このことわざの語源は、クマタカという、鷹の中でも特に体が大きく獰猛どうもうで、非常に欲深いとされる鳥にまつわる寓話ぐうわ的な話にあると考えられています。

その話とは、「欲深いクマタカが、左右にいる二匹の獲物を同時に捕まえようとして、無理に両脚(股)を大きく広げすぎたために、股が裂けて死んでしまった」というものです。
この、欲張りすぎたが故の悲惨な末路を描いた話から、度を越した強欲は身を滅ぼすという教訓として、このことわざが生まれたとされています。
明確な出典は不明ですが、古くから欲深さを戒めるたとえとして語られてきたのでしょう。

「欲の熊鷹股を裂く」の使用場面と例文 – 欲張りすぎへの戒め

度を超した欲張りな人や、その行動を批判したり、戒めたりする際に用いられます。
また、同時に複数の大きな目標を追いかけて、結局どちらも中途半端になってしまいそうな状況への警告としても使われます。

例文

  • 「彼はあれもこれもと手を出しすぎて、結局どれもうまくいかなかった。まさに欲の熊鷹股を裂くだ。」
  • 「二つの会社から同時に良い条件で誘われたが、どちらか一方に決めないと、欲の熊鷹股を裂くことになりかねない。」
  • 「あんなに儲けているのに、まだ違法な手段で利益を得ようとするなんて、欲の熊鷹股を裂く末路が見えているようだ。」
  • 「一度に全てを手に入れようと焦ると失敗するぞ。『欲の熊鷹股を裂く』という言葉もあるだろう。」
  • 「彼女は二人の男性の間で揺れ動き、結局どちらからも愛想を尽かされてしまった。欲の熊鷹股を裂くとはこのことだ。」

「欲の熊鷹股を裂く」の類義語 – 欲張りの失敗

欲張りすぎて失敗することや、同時に複数のものを追ってどちらも得られない状況を示す言葉があります。

  • 二兎を追う者は一兎をも得ず(にとをおうものはいっとをもえず):同時に二つの目標を追いかけると、結局どちらも達成できないこと。
  • 虻蜂取らず(あぶはちとらず):虻(あぶ)と蜂(はち)を同時に捕まえようとして、どちらも取り逃がすこと。欲張って二つのものを狙い、どちらも得られないこと。
  • 大欲は無欲に似たり(たいよくはむよくににたり):欲が深すぎると、かえって損をしたり何も得られなかったりして、結果的に欲がないのと同じような状態になること。
  • 過欲は身を滅ぼす(かよくはみをほろぼす):度を越した欲は、自身の破滅を招くということ。

「欲の熊鷹股を裂く」の対義語 – 満足や堅実さ

欲張らず、分相応に満足したり、着実に物事を進めたりする態度が対照的です。

  • 足るを知る(たるをしる):自分にとって十分な程度を知り、それ以上を求めずに満足すること。
  • 分相応(ぶんそうおう):自分の身分や能力にふさわしいこと。
  • 堅実:手堅く、着実であること。危なげがないさま。

「欲の熊鷹股を裂く」の英語での類似表現

英語で、「欲張りは損をする」「二兎を追うな」といったニュアンスを表す表現です。

  • Grasp all, lose all.
    意味:全てをつかもうとすると、全てを失う。
  • Greed loses all. / Greed defeats itself.
    意味:強欲は全てを失わせる/強欲は自滅する。
  • He who hunts two hares catches neither.
    直訳:二羽のウサギを追う者は、どちらも捕まえられない。
    意味:「二兎を追う者は一兎をも得ず」と同じ。
  • to bite off more than one can chew
    直訳:噛みきれないほど多くを口に入れる。
    意味:自分の能力以上のこと(特に仕事など)を引き受ける、欲張って無理をする。

まとめ – 強欲への痛烈な戒め

「欲の熊鷹股を裂く」は、度を超した強欲や、同時に複数のものを得ようとする欲張りが、いかに愚かで破滅的な結果を招くかを、熊鷹の寓話を通して痛烈に教えてくれることわざです。

この言葉は、単に欲張ることへの注意喚起にとどまらず、自分の能力や状況をわきまえず、無理な望みを抱くことの危険性をも示唆しています。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」や「虻蜂取らず」といった類義語と同様に、一つのことに集中することの大切さや、分相応を知ることの重要性を説いているとも言えるでしょう。

ただし、非常に強い批判的なニュアンスを持つ言葉であるため、他人に対して使う際には、相手を不快にさせないよう十分な配慮が必要です。
むしろ、自分自身の心の中に芽生える過剰な欲に対する戒めとして、心に留めておくべき言葉かもしれません。

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