意味
逃がした魚は大きいは、一度は手に入りかけながら失ってしまったものは、実態以上に素晴らしく価値があるように感じられるという意味です。
異形として「逃げた魚は大きい」とも言います。
語源・由来
古くから存在する釣り人の実体験から生じた言葉とされています。
釣り上げる直前で糸が切れて逃げられた魚は、実際の大きさを確認できないため、釣り人は手応えだけを頼りに「あれは大物だった」と想像の中で過大評価してしまいます。
この現象が日常的な喪失体験にも当てはまることから定着しました。
使い方・例文
「逃がした魚は大きい」は、好機を逃して後悔している場面で使われます。
- 振った相手の結婚を知り、逃がした魚は大きいと悔やむ。
- 見送ったマンションが値上がりし、逃がした魚は大きいと嘆く。
- 契約寸前で失注した案件に対し、逃がした魚は大きいと引きずる。
類義語・関連語
「逃がした魚は大きい」と似た意味を持つ言葉には、以下のものがあります。
- 隣の芝生は青い(となりのしばふはあおい):
自分の手元にない他人のものが、自分自身のものより良く見える心理状態。 - 死んだ子の年を数える(しんだこのとしをかぞえる):
過ぎ去ったことや取り返しのつかない過去の出来事をいつまでも嘆く愚かさのたとえ。
対義語
「逃がした魚は大きい」と反対の意味を持つ言葉には、以下のものがあります。
- 釣った魚は餌をやらない(つったさかなはえさをやらない):
手に入れるまでは尽くすが、自分のものになった途端に価値を見失い冷たく扱う態度。
英語表現
The one that got away
直訳:逃げたもの
意味:逃がした好機や結ばれなかった恋人を過大評価する心理
She is the one that got away.
(彼女は、逃がした魚でした。)
Distance lends enchantment to the view
直訳:距離は景色に魔法をかける
意味:手元にないものや遠くにあるものは実際よりも美しく見えるという心理
It is true that distance lends enchantment to the view.
(遠くから見ると美しく見えるというのは本当です。)
失ったものはなぜ大きく見えるのか
手に入りかけて失ったものを過大評価してしまう心理は、行動経済学の損失回避(loss aversion)という概念で説明できます。
心理学者ダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーが提唱したプロスペクト理論によれば、人は同じ量の「得」より「損」をおよそ2倍強く感じる傾向があります。
一度は手が届きかけたという事実が「喪失」の感覚を強め、対象の価値を実際以上に引き上げます。
さらに、逃げられた魚は実際の大きさを確認する機会がないまま記憶に残ります。
未確認のまま何度も思い返されるうちに、「あれは大物だったはずだ」という側の記憶が強まっていきます。
「逃がした魚は大きい」は、この二つが重なった状態を言い表しています。










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