意味
「自力更生」とは、一度うまくいかなくなったところから立ち直るという前提を含む四字熟語です。
はじめから独りで営むことではなく、行き詰まった暮らしや事業を、自分の力で改めていくことを指します。
「自力更生する」のように、動詞の形でも使われます。
- 自力(じりき):自分ひとりの力。
- 更生(こうせい):生き返ること。立ち直ること。
語源・由来
「自力更生」は、昭和のはじめごろに広まった言葉です。
「更生」は、生き返ること、いったん行き詰まったものが立ち直ることを表す語です。
中国では、この四字が国の方針を示す標語として使われました。
もともとは抗日戦争を勝ち抜くために使われた言葉で、毛沢東は自力更生を主とし、そのうえで外国に頼るという方針を掲げました。
その後は建設の主要方針として唱えられ、1978年12月以降に使われなくなったとされます。
使い方・例文
「自力更生」は、援助に頼らず自分たちの力で立て直す姿勢を語る場面で使われます。
- 補助金の申請をやめ、自力更生で工場を建て直した。
- 支援の申し出をすべて断り、自力更生の道を選ぶことにした。
- この村は自力更生を掲げ、特産品づくりに取り組んでいる。
小説での使用例
『真実の学校』(高井有一)
昭和初期の農村政策を語る場面で使われています。
関東大震災後の社会不安と、それに続く世界恐慌による不景気のなかで、政府は農村の自力更生運動を進めようとするが
「更生」と「更正」の書き分け
四字熟語として使うのは「自力更生」の形です。
「更生」は生き返ること、立ち直ることを指し、「更正」は改めて正しくすること、まちがいを直すことを指します。
「更正」は、登記の誤りを直す「更正登記」や、税務署が申告の課税額を改める手続きのように、事務の場面で使う語です。
立ち直るという意味では「更生」を用います。
類義語・関連語
「自力更生」と同じように、他人の力を借りずに立つことを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 独立独歩(どくりつどっぽ):
他人に頼らず、自分の信じる道を進むこと。 - 自給自足(じきゅうじそく):
必要なものを、自分の生産でまかなうこと。 - 孤軍奮闘(こぐんふんとう):
助けのないまま、ひとりで懸命に取り組むこと。
「自力更生」と「独立独歩」の違い
どちらも他人に頼らないことを表しますが、出発点が違います。
「自力更生」は行き詰まったところからの立て直しを指し、「独立独歩」はふだんの身の処し方を指します。
| 語句 | 出発点 | 表すこと |
|---|---|---|
| 自力更生 (じりきこうせい) | つまずいたあと | 自分の力での立て直し |
| 独立独歩 (どくりつどっぽ) | ふだんの生き方 | 人に頼らない行動 |
英語表現
self-reliance
外からの助けをあてにせず、自分の力でやっていく姿勢を指す表現。
The village rebuilt its economy through self-reliance.
(その村は自力更生で経済を立て直しました。)
昭和農業恐慌から生まれたスローガン
「自力更生」は、昭和恐慌で農村が疲弊した1930年から31年にかけて、日本の農政の標語として広まった言葉です。
兵庫県農会長の山脇延吉が政府に農村救済を求める意見書を提出し、農村がみずからの力で立ち直る「自力更生」を提唱したことが発端とされています。
この主張は「自力更生運動」として全国に広がり、1932年に成立した斎藤実内閣もこれを農政の標語として掲げました。
他者の力に頼らず自らの力で立ち直るという現在の意味は、この農村再建運動での使われ方に基づいています。









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