意味
「歓喜天(かんぎてん)」とは、頭は象、体は人間の姿をした仏教の守護神で、「聖天(しょうでん)」とも呼ばれます。
単身像と双身像があり、双身像は男女の神が抱き合う姿で表されることが多く、夫婦和合や子宝の神として信仰されています。
密教では大自在天の軍を率いる立場ともされ、曼荼羅にもその姿が描かれています。
語源・由来
この神の名前は、梵語(サンスクリット語)の「ナンディケーシュヴァラ(Nandikeśvara)」を漢字に訳したものです。
もとはインド神話に登場する神で、シバ神の異名や、シバ神の子で象の頭を持つ神ガネーシャ(Gaṇeśa)にあたるともされ、のちに仏教に取り入れられて守護神となりました。
仏教に伝わる話では、この神はもとは人間の行く手を阻む鬼の一族「ビナーヤカ(Vinayaka)」の長でした。
その鬼のもとに観音菩薩が女性の姿で近づいて夫婦となり、以後は人間の障害を取り除く神に変わったと伝えられています。
男女の神が抱き合う双身像は、この夫婦の姿を表したものとされます。
仏教に取り入れられてからは大自在天の子で、俊足の神として知られる韋駄天とは兄弟の間柄とされています。
単身像には二本・四本・六本などの腕を持つものがあり、刀や杵などの武器を手にした姿で表されます。
使い方・例文
この言葉は、比喩表現としてではなく、主に寺院での信仰や仏像の呼び名として使われます。
- 商売繁盛と夫婦円満を願い、歓喜天に手を合わせた。
- 本堂の奥に、双身像の歓喜天が安置されている。
- 子宝を願う人々が、歓喜天を祀る寺院に参拝した。
類義語・関連語
歓喜天と同じ神を指す呼び名には、次のようなものがあります。
- 聖天(しょうでん):
歓喜天の別名で、正式名「大聖歓喜自在天」を略した呼び方の一つ。
修法の名「聖天供」や、宝山寺の通称「生駒聖天」などに使われます。
「歓喜天」と「聖天」の違い
二つの言葉は同じ神を指し、どちらも正式名「大聖歓喜自在天」を略した呼び名です。
| 語句 | 使われ方 |
|---|---|
| 歓喜天 (かんぎてん) | 神そのものを指す一般的な呼び名 |
| 聖天 (しょうでん) | 「聖天供」「生駒聖天」など、修法や寺の呼び名に多く見える |
歓喜天への供え物は、大根と特製の菓子
歓喜天への信仰には、独特の作法があります。
供え物には、大根を指す蘿蔔と、「歓喜おだん」と呼ばれる特製の菓子が用いられます。
祈りの場では、像に油を注ぐ「聖天供(しょうでんぐ)」または「聖天法」と呼ばれる修法がおこなわれ、知恵や財産、地位を得ることが願われます。
商売の繁盛を願う商家からの信仰が特に厚く、奈良県の宝山寺(生駒聖天)がよく知られるほか、神奈川県の宝戒寺にも像が伝わっています。

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