意味
「夫唱婦随(ふしょうふずい)」とは、夫が先に言い出し、妻がそれに従うという意味です。
そこから、夫婦の仲がよく、うまくまとまっている様子を表すのにも使います。
- 唱(しょう):先に立って言い出すこと。
- 随(ずい):あとについて従うこと。
語源・由来
この言葉は、中国の道家の書物『関尹子』の「三極」の篇にある、次の一節が由来です。
天下之理,夫者倡,婦者隨,牡者馳,牝者逐,雄者鳴,雌者應。
(天下の道理として、夫は言い出して妻は従い、おすは駆けてめすは追い、おすは鳴いてめすは応える。)
夫と妻の関係を、動物のおすとめすの関係と並べて「天下之理」として述べています。
原文の「倡」は「唱」と同じく「となえる」という意味の字で、この言葉を「夫倡婦随」と書くこともあります。
使い方・例文
- 祖父母は夫唱婦随で、五十年にわたって小さな食堂を営んできた。
- 「うちは夫唱婦随どころか、何でも妻が決めているよ」と父は笑った。
- その小説の老夫婦は、夫唱婦随の暮らしを送る二人として描かれている。
「夫唱婦随」を使うときの注意
「夫唱婦随」は、夫が物事を決めて妻がそれに従う、という役割の分け方を前提にしています。
夫か妻かという性別だけで、どちらが決める側でどちらが従う側かを決めてしまう言葉なので、夫婦を対等な関係と考える人には、妻を一段下に置いた言い方に聞こえます。
他人の夫婦をほめるつもりで「夫唱婦随ですね」と言っても、妻の側は「夫に従っている」と言われたように受け取ることがあります。
夫婦が自分たちのことを冗談まじりに言う場合や、古い文章に出てくる夫婦観を説明する場合には、そのまま使えます。
夫婦の仲のよさだけを言いたいときは、「仲むつまじい」「息の合った夫婦」「鴛鴦の契り」のような、どちらが主かを含まない言い方に言い換えられます。
類義語・関連語
夫婦の仲がよいことを表す語です。
- 鴛鴦の契り(えんおうのちぎり):
夫婦の仲がむつまじいことのたとえ。 - 比翼連理(ひよくれんり):
男女・夫婦の結びつきが深いことのたとえ。 - 偕老同穴(かいろうどうけつ):
夫婦が共に老い、死後は同じ墓に入るほど固く結ばれていること。
対義語
- 婦唱夫随(ふしょうふずい):
妻が言い出し、夫がそれに従うこと。「夫唱婦随」の夫と妻を入れ替えた形で、読みは同じ。



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