ウォーキングを兼ねて一駅分歩いて通勤することで、交通費を節約しながら健康な体も手に入れる。
そんなふうに、一つの行動で二つの利益を同時に得ることを、
「一石二鳥」(いっせきにちょう)と言います。
意味
「一石二鳥」とは、一つの行為によって二つの利益を同時に得ることを意味します。
効率よく物事が運ぶ様子や、思いがけない副産物を得られた状況を肯定的に捉える言葉です。
- 一石(いっせき):一つの石を投げること。
- 二鳥(にちょう):二羽の鳥を仕留めること。
語源・由来
「一石二鳥」の由来は、17世紀ごろのイギリスのことわざ
“To kill two birds with one stone“(一つの石で二羽の鳥を殺す)にあります。
日本へは明治時代に、この英語表現を直訳した新しい四字熟語として伝わり、急速に定着しました。
もともとは、野鳥を狩る際に一つの石を投げて運よく二羽を仕留めたという、技術や幸運を象徴する言葉です。
「一挙両得」などの中国古典に由来する言葉とは異なり、西洋の合理的な考え方が背景にある表現と言えるでしょう。
使い方・例文
「一石二鳥」は、意図して効率を求めた場合だけでなく、結果として得をした場合にも使われます。
家庭生活、学習、趣味など、日常のあらゆる場面で喜びを表現する際に用いられます。
例文
- 自転車通学は、節約と健康維持の一石二鳥だ。
- 掃除で部屋が綺麗になり、探し物も見つかって一石二鳥だ。
- 料理の作り置きは、食費の節約と時短の一石二鳥だ。
誤用・注意点
「一石二鳥」は利益を得る場面で使う言葉であり、悪いことが重なる場合には使いません。
例えば「風邪を引いた上に財布を落とした」という状況を「一石二鳥」と言うのは間違いです。
また、「二つの利益」が成立している必要があります。
「一つ良いことがあった」だけでは不十分であり、必ず二つ以上の具体的なメリットがある場面で使用します。
類義語・関連語
「一石二鳥」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 一挙両得(いっきょりょうとく):
一つの行動で二つの利益を手にすること。 - 一箭双彫(いっせんそうちょう):
一本の矢で二羽の鳥を射落とすこと。一つの行為で二つの目的を果たすことの例え。
「一石二鳥」と「一挙両得」の違い
「一石二鳥」と「一挙両得」は現代ではほぼ同じ意味で使われますが、そのルーツには明確な違いがあります。
「一石二鳥」が17世紀の英語を明治時代に翻訳した比較的新しい言葉であるのに対し、「一挙両得」は中国の歴史書『晋書』に由来する古典的な四字熟語です。
どちらを使っても間違いではありませんが、日常会話や親しい間柄では「一石二鳥」が好まれ、文章やフォーマルな場面では「一挙両得」が使われる傾向にあります。
対義語
「一石二鳥」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。
- 二兎を追う者は一兎をも得ず(にとをおうものはいっとをもえず):
欲張って二つを同時に狙うと、結局どちらも失敗すること。 - 虻蜂取らず(あぶはちとらず):
二つのものを得ようとして、どちらも手に入れられないこと。
英語表現
「一石二鳥」を英語で表現する場合、語源となった以下の定型句を使用します。
kill two birds with one stone
「一石二鳥」
一つの行為で二つの目的を果たすという、日本語と全く同じニュアンスの表現です。
- 例文:
I can kill two birds with one stone by going to the post office on my way to the gym.
(ジムへ行く途中で郵便局に寄れば、一石二鳥だ。)
知っておきたい豆知識
「一石二鳥」は、明治時代の翻訳家たちが苦心して生み出した言葉の一つです。
西洋の文化を日本に紹介する際、”To kill two birds with one stone” という英語を、日本人に馴染み深い「四字熟語」の形に当てはめて翻訳しました。
この翻訳が非常に秀逸だったため、本来の外来語としての性質を忘れさせるほど、現代の日本語に深く浸透しています。
今では日本のことわざ辞典に必ずと言っていいほど掲載されていますが、実は100年ちょっとの歴史しか持たない、ハイカラな言葉なのです。
まとめ
効率よく成果を上げる喜びを表す「一石二鳥」。
限られた時間の中で多くのことをこなさなければならない現代において、この言葉は単なる効率化の推奨ではなく、日常の工夫を楽しむための知恵と言えます。
一つの行動に複数の価値を見出す視点を持つことで、毎日の生活がより充実したものになることでしょう。
次は、同じような意味を持つ「一挙両得」の詳しい由来や、「一石二鳥」との細かな使い分けについて詳しくお伝えしましょうか?









コメント