人間というものは、どれだけ時間が経っても、結局は似たような過ちや行動をしてしまう。
流行が一周してまた戻ってくる。
そんな人間の変わらない性質や、世の中の周期的な流れを指して、
「歴史は繰り返す」(れきしはくりかえす)と言います。
意味
過去に起きた出来事と似たような事象が、時代を超えて再び起こること。
「歴史は繰り返す」とは、単に偶然同じことが起きるという意味ではありません。
人間の本質(欲望、愚かさ、集団心理など)が根本的に変わらない限り、似たような原因によって似たような結果が招かれるという、歴史の法則性や教訓を含んだ言葉です。
政治や経済の動乱から、ファッションの流行、あるいは親子の生き写しのような行動に至るまで、幅広い文脈で使われます。
語源・由来
「歴史は繰り返す」の語源は、古代ローマの歴史家、クルティウス・ルーフスの言葉とされています。
彼は、著書『アレクサンドロス大王伝』の中で、過去の出来事が形を変えて再び現れる様子を記述しました。
これが西洋で「History repeats itself」という定型句として広まり、日本でも翻訳されて定着しました。
つまり、日本独自の故事成語ではなく、西洋の歴史観に由来する言葉です。
「一度起きたことは、また起こり得る」という警告のニュアンスを含んで使われることが一般的です。
使い方・例文
個人の失敗談から、社会全体の動向まで、規模を問わず使用されます。
特に、過去の失敗から学ばずに同じミスを犯してしまった時や、古い流行がリバイバルブームとして戻ってきた時などに、皮肉や感慨を込めて使われます。
例文
- 20年前に流行したファッションが若者の間で再燃しているのを見ると、「歴史は繰り返す」だと実感する。
- あの会社は先代と同じ放漫経営で倒産した。まさに「歴史は繰り返す」だ。だから堅実に行けと言ったのに。
- 「歴史は繰り返す」と言うが、この不景気のパターンはかつての恐慌と酷似している。
- 親に反発していた息子が、親になると同じことを子供に言っている。「歴史は繰り返す」とはこのことだ。
類義語・関連語
「歴史は繰り返す」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 二の舞を演じる(にのまいをえんじる):
前の人と同じ失敗を繰り返すこと。 - 前車の轍を踏む(ぜんしゃのてつをふむ):
前の人が失敗したのを見ていながら、同じ失敗をすること。 - 殷鑑遠からず(いんかんとおからず):
戒めとすべき手本は、遠い昔に求めなくても、すぐ一つ前の時代(他人の失敗)にあるということ。
対義語
「歴史は繰り返す」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。
英語表現
「歴史は繰り返す」を英語で表現する場合、語源となったフレーズをそのまま使います。
History repeats itself
- 意味:「歴史は繰り返す」
- 解説:非常によく使われる表現です。
- 例文:
It is often said that history repeats itself.
(歴史は繰り返すとよく言われる。)
賢人たちのウィットに富んだ補足
この言葉には、歴史上の偉人たちが付け加えた、有名な「続き」や「注釈」が存在します。言葉の奥行きを知るための豆知識として紹介します。
マルクスの皮肉
ドイツの思想家、カール・マルクスは、著書『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』の中で、ヘーゲルの歴史観を受けてこう書き残しました。
「歴史は繰り返す。一度目は悲劇として、二度目は喜劇として」
(かつての英雄ナポレオンと、その甥のルイ・ナポレオンを比較した皮肉)
マーク・トウェインの機知(※注意)
『トム・ソーヤーの冒険』で知られるアメリカの作家、マーク・トウェインの言葉として、以下のフレーズが大変有名です。
「歴史は繰り返さない。しかし、韻(いん)を踏む」
(History doesn’t repeat itself, but it often rhymes.)
まったく同じことが起きるわけではないが、詩が韻を踏むように、似たようなリズムやパターンが共鳴する、という絶妙な表現です。
※補足:
非常に有名な言葉ですが、近年の研究ではトウェイン自身の著作や発言記録には見当たらず、後世の創作である可能性が高いと言われています。
まとめ
「歴史は繰り返す」は、人間の変わらない性質や、世の中の周期性を指摘する言葉です。
過去の失敗を嘆く時に使うこともあれば、流行の回帰を楽しむ時に使うこともあります。
この言葉を思い出すことは、過去の教訓を振り返り、これから起こる未来の出来事に備えるための、良いきっかけになることでしょう。






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