熱い火箸も扱いよう

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ことわざ
熱い火箸も扱いよう
(あついひばしもあつかいよう)

13文字の言葉」から始まる言葉

一見すると危険で手が出せないようなものでも、やり方さえ間違えなければ役に立つ。そんな「知恵」と「技術」の重要性を説いた言葉です。

扱いにくい部下、気難しい上司、あるいはリスクの高い道具……。それらをどうマネジメントするか悩んだときに、ヒントを与えてくれるこのことわざについて解説します。

「熱い火箸も扱いよう」の意味

危険なものや扱いにくいものであっても、扱い方次第で有効に使うことができるという教えです。

  • 熱い火箸(ひばし):火鉢(ひばち)や囲炉裏(いろり)で炭を扱うための金属製の箸。熱せられた先端を持てば火傷をする危険なもの。
  • 扱いよう:扱う方法、やりよう。

真っ赤に焼けた火箸は、先端を握れば大怪我をしますが、持ち手を正しく握れば、熱い炭を自由自在に動かす便利な道具になります。

このことから、人間関係における「気難しい人」や、ビジネスにおける「リスクのある案件」であっても、アプローチの仕方やこちらの技量次第で、良き結果をもたらすことができるという意味で使われます。

「熱い火箸も扱いよう」の語源・背景

この言葉の背景には、かつての日本の生活必需品であった「火鉢(ひばち)」や「囲炉裏(いろり)」の文化があります。

昔の暖房器具である火鉢では、炭火を調節するために金属製の「火箸」が欠かせませんでした。火箸は熱伝導率が高く、火に入れている先端は触れられないほどの高温になります。

「危険だから」といって遠ざけていては暖を取ることができませんし、無闇に触れば火傷をします。しかし、「持ち手を持つ」「熱い部分には触れない」という正しい作法さえ守れば、生活を豊かにする不可欠な道具となります。

この生活の知恵が転じて、一癖も二癖もある人物や物事に対しても、恐れるのではなく「扱い方」を工夫すべきだという教訓になりました。

「熱い火箸も扱いよう」の使い方・例文

主に、一見するとマイナス要素に見える人や物を、工夫してプラスに転じさせた場面で使われます。

例文

  • あの気難しい職人さんも、「熱い火箸も扱いよう」で、こちらが礼を尽くして頼めば最高の仕事をしてくれる。
  • 毒性の強い薬品だが、「熱い火箸も扱いよう」と言うだろう。微量であれば特効薬として機能するはずだ。
  • クレーム対応は誰もが嫌がるが、「熱い火箸も扱いよう」だ。誠意を持って対応すれば、逆に熱心なファンになってくれることもある。

「熱い火箸も扱いよう」の類義語

「物の良し悪しは使う人次第」という意味の言葉はいくつか存在します。

  • 馬鹿と鋏は使いよう(ばかとはさみはつかいよう):
    切れない鋏でも使い道があるように、愚かだとされる人でも役割を与えれば役に立つこと。「熱い火箸〜」よりも少し辛辣な表現です。
  • 人を使うは火を使うごとし(ひとをつかうはひをつかうごとし):
    火は暖を取るのに役立つが、近づきすぎると火傷をする。人も適度な距離感と扱い方が大切だという教え。
  • 毒も薬になる(どくもくすりになる):
    害になるものでも、使いようによっては有益なものになること。
  • 物は言いよう(ものはいいよう):
    同じ内容でも、言い方一つで相手の受け取り方が良くなったり悪くなったりすること。
    物も言いようで角が立つ

「熱い火箸も扱いよう」の英語表現

英語でも「やり方次第」「物は使いよう」といったニュアンスの表現があります。

Fire is a good servant but a bad master

  • 直訳:火は良い召使いだが、悪い主人である。
  • 意味:「火は正しく管理して使えば役に立つが、制御できなくなると災いをもたらす」
  • 解説:まさに「火箸」の文脈と通じる表現です。危険なエネルギーも、こちらが主導権を持って(=扱いようを心得て)管理すれば有益であることを示します。

Everything has its use

  • 意味:「どんなものにも使い道がある」
  • 解説:より一般的で広い意味で使われます。捨ててしまうようなものでも、適切な場所で使えば価値があることを表します。

「熱い火箸も扱いよう」に関する豆知識

実際に「火箸」を使うとわかる難しさ

現代では火鉢を使う家庭は少なくなりましたが、茶道の世界や、一部の高級料亭、またはキャンプでの焚き火などで火箸(トング)を使う機会があります。

実際に扱ってみるとわかりますが、重い炭を一点で支えるには、指先の力だけでなく「テコの原理」をうまく使うコツがいります。下手な人がやると炭を落として床を焦がしたり、火の粉を散らしたりして危険です。

「扱いよう」という言葉には、単なる知識だけでなく、熟練した技術や慣れが必要であるというニュアンスも含まれていると言えるでしょう。

まとめ – 熱い火箸も扱いようから学ぶ知恵

苦手な相手や困難なトラブルに直面したとき、私たちはつい「関わりたくない」「逃げ出したい」と思ってしまいがちです。

しかし、「熱い火箸も扱いよう」という言葉は、「悪いのは対象そのものではなく、自分の持ち方(アプローチ)かもしれない」という視点を与えてくれます。

一見危険に見える「熱さ」も、持ち方を変えれば強力な「エネルギー」に変わります。真正面からぶつかるのではなく、どこを持てば安全か、どう動かせば役に立つかを冷静に観察する。そんな知恵こそが、人生の難局を乗り切るための「火箸」となるでしょう。

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