扱う側の力量や工夫次第で、どのような人や物であっても十分に能力を引き出し、役立てることができる状態。
このような采配やマネジメントの要諦を表すのが、
「馬鹿と鋏は使いよう」(ばかとはさみはつかいよう)です。
意味
馬鹿と鋏は使いようは、愚かな者でも指導者の扱い方次第で役に立つという意味です。
切れ味の悪い鋏であっても、使い手次第で物を切ることができる状態にたとえています。
語源・由来
江戸時代から伝わる表現で、仮名垣魯文の『安愚楽鍋』(1871〜1872年)にも用例が確認できます。
日本の伝統的な和鋏は、握る力加減などにコツが必要であり、不慣れな者にはうまく切断できない特性がありました。
「道具の性能を引き出すのは使い手の技術である」という事実を、人材育成やマネジメントの手法に当てはめています。
使い方・例文
「馬鹿と鋏は使いよう」は、他者の采配や人材配置の手腕を評価する場面で使われます。
- 頑固者を適所に配置して活かす。馬鹿と鋏は使いようである。
- 問題児の才能を見事に開花させた。馬鹿と鋏は使いようだ。
人に対する使用の注意点
相手の能力を見下し「馬鹿」と表現する言葉が含まれているため、当人の前で直接使うことは最大の侮辱となります。
また、第三者を評価する際に公の場で口にすると、「人間を道具扱いしている」と批判を受けるおそれがあるため、ビジネスシーンや公式な場での使用には注意が必要です。
類義語・関連語
「馬鹿と鋏は使いよう」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 適材適所(てきざいてきしょ):
その人物の才能や性質によく合った地位や任務を与えること。 - 愚者も一得(ぐしゃもいっとく):
愚かな者であっても、一つくらいは採用すべき良い知恵を出すことがあるということ。 - 馬鹿と剃刀は使いよう(ばかとかみそりはつかいよう):
「馬鹿と鋏は使いよう」の道具を剃刀に置き換えた異形の同義語。
対義語
「馬鹿と鋏は使いよう」と反対の意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 馬鹿に付ける薬はない(ばかにつけるくすりはない):
自身の愚かさは治す方法が一切なく、誰にも手の施しようがない状態。 - 朽木は雕るべからず(きゅうぼくはほるべからず):
根性が腐っていたり意志が弱すぎたりする人間は、いくら教えても大成しないこと。
英語表現
It takes a good workman to make good use of bad tools.
意味:道具や素材が不十分であっても、腕のある使い手ならば十分な成果を引き出せること。
- 例文:
She managed to build a strong team out of inexperienced staff. It takes a good workman to make good use of bad tools.
未経験のスタッフから強いチームを作り上げた。まさに馬鹿と鋏は使いようだ。
The right person can get the best out of anyone.
意味:優れた指導者や管理者は、どのような人物からも最大限の力を引き出せること。
- 例文:
Under her leadership, even the weakest performers improved. The right person can get the best out of anyone.
彼女のリーダーシップのもとでは、成績の振るわない社員も成長した。馬鹿と鋏は使いようである。
「使いよう」と言った瞬間、評価されるのは自分だ
「あいつは使いようだ」と口にした瞬間、その言葉は発した側に返ってきます。
「使いよう」とは扱い手の技量の話である以上、うまく機能していないなら、それは自分の采配が問われているということです。
不満の吐け口としてこの言葉を使うのは逆効果です。
言葉にせず、配置や関わり方を見直す。それがこのことわざの本来の使い方です。









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