意味
「大は小を兼ねる(だいはしょうをかねる)」とは、大きいものは、小さいものの役割も十分に果たすことができるという意味です。
例えば、大きな容器は少量のものを入れるのにも使えますが、小さな容器に大量のものを入れることはできません。
このように、サイズや機能、能力に余裕がある方が、さまざまな用途や状況に対応できて便利であるという考え方を示しています。
不足して困るよりも、余裕を持って備えておく方が無難であるという、日常生活における実用的な教訓が含まれています。
語源・由来
中国前漢の書物『春秋繁露』度制篇に、次の一節があります。
夫已有大者,又兼小者,天不能足之,況人乎
(すでに大きなものを持つ者がさらに小さなものまで兼ねるのは、天でさえ満たしきれない。まして人にはできない)
この一節は、大きな俸禄を受けている者は小さな利益まで兼ねて民と利を争ってはならない、と戒める文脈にあります。
大きいものは小さいものの役にも立つという今の「大は小を兼ねる」とは、言っていることが違います。
「大は小を兼ねる」は「大は小を叶える」とも言います。
使い方・例文
道具、家具、衣服などのサイズ選びにおいて、不足や失敗を避けるための判断基準として使われる言葉です。
例文
- 「大は小を兼ねるから、大きなサイズの鍋を買う。」
- 「大は小を兼ねるから、少し大きめの保存容器を買っておこう。」
- 「広めの会議室を借りた。大は小を兼ねるはずだ。」
- 「この鞄は大きいが、大は小を兼ねるので安心だ。」
誤用・注意点
「大は小を兼ねる」は便利な言葉ですが、物理的なサイズが大きすぎることがかえって不利益(デメリット)になる場合には使いません。
例えば、服が大きすぎて動きにくい場合や、大きな車で細い道を通れない場合などは、単なる「サイズの不適合」であり、この言葉の範疇を超えています。
維持費や重さ、取り回しの悪さが問題になる場面では、適切なサイズを選ぶ「適材適所」の考え方が優先されます。
類義語・関連語
「大は小を兼ねる」と似た文脈や、備えの重要性を示す言葉には以下のものがあります。
- 備えあれば憂いなし(そなえあればうれいなし):
普段から準備をしていれば、いざという時に困らない。 - 余裕綽々(よゆうしゃくしゃく):
ゆったりとしていて、落ち着きがある様子。 - 念には念を入れる(ねんにはねんをいれる):
注意した上に、さらに注意を重ねること。
対義語
「大は小を兼ねる」とは対照的に、大きすぎることの弊害や、適切なサイズが最善であることを説く言葉です。
- 帯に短し襷に長し(おびにみじかしたすきにながし):
中途半端でどちらの役にも立たないこと。 - 適材適所(てきざいてきしょ):
性質や能力にふさわしい役割や場所があること。 - 過ぎたるは猶及ばざるが如し(すぎたるはなおおよばざるがごとし):
度が過ぎることは、足りないのと同じく良くない。
英語表現
「大は小を兼ねる」を英語で表現する場合、以下の定型表現が用いられます。
The greater serves for the lesser
直訳:大きいものは小さいものの役に立つ
意味:大きいものは小さいものの機能を包含している
Better too much than too little
意味:少なすぎるよりは多すぎる方がよい
In emergency supplies, better too much than too little is the rule.
(非常食の備蓄では、少なすぎるよりは多すぎる方がよいという原則がある。)
「大は小を兼ねる」の反対は「杓子は耳搔きにならず」
「大は小を兼ねる」と反対のことを言う言い方に「杓子は耳搔きにならず」があります。
大きな杓子で耳搔きの代わりはできない、という意味です。
大きければどんな用にも足りる、とは限らない場面があるため、二つは使い分けられます。








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