ことわざ

鰹節を猫に預ける

(かつおぶしをねこにあずける)

信用できない相手に大切なものを預け、自ら過ちを招くこと。

異形:猫に鰹節/猫に鰹節を預ける

13文字の言葉か・が」から始まる言葉
鰹節を猫に預ける ことば
スポンサーリンク

意味

猫の前に好物の鰹節を置けば、食べられてしまうのは当然です。
このことから、誘惑に負けるのが分かりきっている相手に管理や番を頼むという、判断の甘さや危険な状況設定を戒める教訓として使われます。
わざわざ災いを助長させるような無防備な振る舞いを指摘する言葉です。

語源・由来

「鰹節を猫に預ける」の由来は、猫が鰹節を非常に好むという、古くから日本人にとって馴染み深い動物の習性にあります。

日常の風景から生まれた比喩表現です。
猫にとって鰹節の香りは何物にも代えがたい誘惑であり、そんな相手にあえて管理を任せるという行為が、取り返しのつかない失敗を自ら招く愚かさを象徴しています。
相手の性質を無視して重要なものを託すリスクを、身近な例えで分かりやすく説いた言葉として定着しました。

使い方・例文

「鰹節を猫に預ける」は、不適切な人選や、誘惑に弱い人をわざわざ危険な環境に置くような場面で使われます。

例文

  • おしゃべりな彼に秘密を話すのは、鰹節を猫に預けるようなものだ。
  • 浪費家に家計を任せるなんて、まるで鰹節を猫に預ける行為だ。
  • 監視もなしに新人に金庫を預けるのは、鰹節を猫に預けるに等しい。

類義語・関連語

「鰹節を猫に預ける」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 猫に鰹節(ねこにかつおぶし):
    油断できない状況のたとえ。同じ場面をより短く言った形。
  • 油断大敵(ゆだんたいてき):
    気を抜くことが思わぬ失敗を招くという戒め。
  • 猫に魚の番(ねこにうおのばん):
    好物の魚の番を猫にさせることから、危険な状況を招くことのたとえ。
  • 盗人に鍵を預ける(ぬすびとにかぎをあずける):
    最も信用してはいけない相手に、管理を任せることの愚かさ。
  • 狐に小豆飯(きつねにあずきめし):
    誘惑に弱い相手にその好物を預けて、失敗を招くこと。
  • 羊の番に狼を頼む(ひつじのばんにおおかみをたのむ):
    害をなすことが分かっている相手に、守るべきものを託すこと。

対義語

「鰹節を猫に預ける」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 適材適所(てきざいてきしょ):
    人の能力や性格を正しく見極め、ふさわしい役割を与えること。
  • 高枕で寝る(たかまくらでねる):
    心配事がなく、安心して休める状態のこと。
  • 金庫番(きんこばん):
    金銭などの貴重品を、厳重かつ堅実に管理する役割のこと。

英語表現

「鰹節を猫に預ける」を英語で表現する場合、動物の習性を利用した似たニュアンスの表現があります。

like putting the fox in charge of the henhouse

「狐に鶏小屋の番をさせるようなもの」
信頼できない者に管理を任せる愚かさを表す、非常に一般的な比喩です。

Entrusting him with the budget is like putting the fox in charge of the henhouse.
(彼に予算を任せるのは、鰹節を猫に預けるようなものだ。)

to set a wolf to watch the sheep

「狼に羊の番をさせる」
害をなすことが明らかな相手に、大切なものの保護を頼む状況を指します。

平賀源内の随筆にあった、もう一つの『預け方』

「猫に鰹節」という言葉は、江戸時代の学者・平賀源内が書いた『根南志具佐ねなしぐさ』の中の一節が由来だといわれています。
「焼鼠を狐に預け、猫に鰹節の番とやらにて、必定、しくじりの番なり」(焼いたネズミを狐に預け、鰹節の番を猫にさせるようなものだ、これでは必ず失敗するに決まっている)という文が省略されて、「猫に鰹節」という言葉が生まれたとする説が有力です。

当時から鰹節は猫の大好物として知られており、他家に猫を譲るときに鰹節を添える風習まであったといいます。
日本人が古くから肉より魚を好み、その食べ残しを猫の餌としてきたことも、日本の猫の好物が魚として定着した背景にあると考えられています。

スポンサーリンク

コメント