鰹節を猫に預ける

ことわざ
鰹節を猫に預ける(かつおぶしをねこにあずける)
異形:猫に鰹節/猫に鰹節を預ける

13文字の言葉か・が」から始まる言葉
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鰹節を猫に預ける 【個別】ことわざ・慣用句・四字熟語

「鰹節を猫に預ける」という言葉を聞いたことがありますか?
大切な鰹節を、それを食べてしまうであろう猫に預けてしまう…なんだか想像するだけで心配になる状況ですよね。これは、ある種の危険な状況や不適切な行為を指すことわざです。

この記事では、「鰹節を猫に預ける」がどのような意味で使われるのか、その背景や具体的な使い方、関連する表現などを分かりやすく解説します。

「鰹節を猫に預ける」の意味・教訓

このことわざは、猫にその大好物である鰹節を預けるという行為から、主に二つの意味で使われます。

  1. 信用できない相手に物事や大切なものを任せることのたとえ。
    猫に鰹節を預ければ、食べられてしまうのが当然です。このように、結果が悪くなることが分かりきっている相手に、管理や番を頼むことの愚かさ、危険さを示します。
  2. 危険な状況を自ら招くこと、あるいは過ちや失敗が起こりやすい状況をわざわざ作ることのたとえ。
    わざわざ猫に鰹節を預けるような、不用意で危険を助長する行為そのものを指します。結果として、油断できない危険な状況が生まれます。

いずれにしても、失敗や問題が起こるリスクが極めて高い行為や状況を表す言葉です。

「鰹節を猫に預ける」の語源 – 猫の大好物

このことわざの語源は、猫が鰹節を非常に好むという、昔から広く知られている事実に基づいています。

鰹節の香りは猫にとって非常に魅力的です。そんな猫に、大切な鰹節の管理を「預ける」というのは、食べられてしまう結果を自ら招くようなものです。
この、あまりにも無謀で結果が見えている行為から、信用できない人に物事を任せることの愚かさや危険性を例える表現として生まれました。

「鰹節を猫に預ける」が使われる場面と例文

信用できない人に重要な役割や大切なものを任せてしまう場面や、自ら危険を招くような状況を作ってしまう場面で、その愚かさや危険性を指摘する際に使われます。

  • 不適切な人選:お金にだらしない人に経理を任せる、口の軽い人に秘密を打ち明ける、など。
  • 危険な状況設定:貴重品を無防備な場所に置く、誘惑に弱い人を危険な環境に一人で置く、など。
  • 管理体制の不備:十分な監視や制限なしに、大きな権限を不適切な人物に与える、など。

例文

  • 「彼に会社の機密情報を管理させるなんて、鰹節を猫に預けるようなものだ。」
  • 「浪費家の彼に家計を任せるのは、鰹節を猫に預けるのと同じだよ。」
  • 「監視もなく金庫の鍵を新人に預けるとは、まるで鰹節を猫に預ける行為だ。」

「鰹節を猫に預ける」の類義語・関連語

危険な状況や、不適切な人選・行為を示す、似たような意味を持つことわざや慣用句があります。

  • 猫に魚の番(ねこにうおのばん):猫に(好物の)魚の番をさせることから、危険な状況を招くこと、信用できない人に任せることのたとえ。「鰹節を猫に預ける」とほぼ同義。
  • 羊の番に狼を頼む:害を与える可能性のある者に、大切なものの番を頼むことの愚かさ。
  • 盗人に鍵を預ける(ぬすびとにかぎをあずける):信用できない人に大切なものを任せること。
  • 狐に小豆飯:狐の好物である小豆飯を差し出すように、危険を招きやすい状況を作ること。
  • 魚の目に水見えず:あまりに身近すぎると、かえってその存在や価値に気づかないことのたとえ。(※直接の類義語ではないが、危険な状況に慣れて油断するという点で関連付けられる場合もある)
  • 危険 / 油断:危ないこと、注意を怠ること。
  • 背信(はいしん):信頼を裏切ること。

「鰹節を猫に預ける」の対義語

直接的な対義語は多くありませんが、安全で安心できる状況や、信頼できる人に任せること、堅実な管理体制を示す言葉が対照的です。

  • 適材適所:その人の能力や性質にふさわしい地位や仕事を与えること。不適切な人選である「鰹節を猫に預ける」とは対照的。
  • 高枕で寝る:何の心配事もなく、安心して眠ること。
  • 金庫番:金庫の番人。転じて、金銭の管理を堅実に、厳しく行う人。

「鰹節を猫に預ける」の英語での類似表現

英語で「鰹節を猫に預ける」の「危険な状況」「不適切な人に任せる」というニュアンスに近い表現があります。

  • like putting the fox in charge of the henhouse (or henhouse)
    意味:狐に鶏小屋の番をさせるようなもの。信用できない者に管理を任せる愚かさを示す、非常によく似た表現。
  • Set a wolf to watch the sheep.
    意味:「オオカミに羊の番をさせる」。羊を襲うオオカミに羊の番をさせることから、同様に危険な状況を表します。
  • temptation
    意味:誘惑。危険な誘惑がある状況そのものを指す場合に使われる。
  • asking for trouble
    意味:面倒なこと(トラブル)を自ら招いている。危険な状況をわざわざ作っている様子。

まとめ – 油断大敵、危険な誘惑

「鰹節を猫に預ける」は、猫に好物の鰹節を預けるという分かりやすい例えで、信用できない相手に大切なものを任せることの愚かさや、自ら危険を招く行為を戒めることわざです。

大切なものを守るためには、相手の性質や状況をよく考えずに安易に任せてしまうことのリスクを理解し、慎重な判断をすることが不可欠です。
この言葉は、「油断大敵」の教訓とともに、人選や状況設定の重要性を教えてくれる表現と言えるでしょう。

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