ことわざ 故事成語

朽木は雕るべからず

(きゅうぼくはえるべからず)

やる気のない者や素質のない者は、いくら教育しても無駄であること。

異形:朽ちたる木をば雕るべからず

12文字の言葉 / 「き・ぎ」から始まる言葉
朽木は雕るべからず ことば
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意味

「朽木は雕るべからず(きゅうぼくはえるべからず)」とは、腐ってボロボロになった木には彫刻ができないように、やる気のない者や素質のない者は、いくら教育しても立派にはならないという意味です。
相手を見限る、強い失望を込めた言葉です。

  • 朽木(きゅうぼく): 腐った木材。
  • 雕る(える): 彫刻を施す。

語源・由来

出典は中国の思想書『論語』です。
孔子が、弟子である宰予さいよの怠惰を見限った際のエピソードに由来します。

ある日、宰予さいよが昼間から寝ているのを見て、孔子はこう言いました。

朽木不可雕也,糞土之牆,不可杇也;於予與何誅!
(腐った木に彫刻はできず、汚れた土の壁に上塗りはできない。宰予を叱っても何になろう。)

なお、後半の「糞土の牆(ふんどのしょう)は〜」も全く同じ意味を持ちます。
両者を組み合わせた「朽木糞土(きゅうぼくふんど)」という略称も存在します。

論語とは?孔子と弟子の言葉から生まれた故事成語34語
『論語』は孔子と弟子たちの言行録です。温故知新、巧言令色、克己復礼など、この書物の記述から生まれた故事成語34語を、テーマごとにまとめました。

使い方・例文

  • 基礎的な練習すら面倒がる彼に対し、コーチは朽木は雕るべからずと指導を打ち切った。
  • どれほど手厚い環境を用意しても、本人が怠惰では朽木は雕るべからずである。
  • 恩師から朽木は雕るべからずと見限られないよう、常に自らを律する。

類義語・関連語

「朽木は雕るべからず」の類義語には、以下のような言葉が挙げられます。

  • 馬鹿に付ける薬はない(ばかにつけるくすりはない):
    愚かさを根本から治す方法はどこにも存在しないこと。
  • 糠に釘(ぬかにくぎ):
    柔らかいぬかに釘を打つように、意見や忠告をしても全く手応えや効き目がないこと。
  • 焼け石に水(やけいしにみず):
    わずかな努力や援助では、全く効果があがらないこと。

「朽木は雕るべからず」と「馬鹿に付ける薬はない」の違い

どちらも相手の改善を諦める際によく使われますが、見限る「理由」が大きく異なります。

言葉
(よみがな)
批判の対象諦めの理由
朽木は雕るべからず
(きゅうぼくはえるべからず)
やる気や素質のない人間いくら教えても身につかないため
馬鹿に付ける薬はない
(ばかにつけるくすりはない)
思慮が浅く愚かな人間性格や知能の根本は治せないため
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対義語

「朽木は雕るべからず」の対義語には、以下のような言葉が挙げられます。

  • 玉磨かざれば光なし(たまみがかざればひかりなし):
    優れた素質があっても、努力して磨かなければ才能は発揮されないこと。
    裏を返せば「磨けば必ず光る」という可能性を示す。
  • 鉄は熱いうちに打て(てつはあついうちにうて):
    人は柔軟性のある若いうちにこそ鍛えるべきだという教え。
    教育のタイミングの重要性を説く。

英語表現

You can’t teach an old dog new tricks

直訳: 老いた犬に新しい芸は仕込めない
意味: 凝り固まった習慣や性根は変えることができないこと。

He refuses to listen to any advice. You can’t teach an old dog new tricks.
(どんな助言にも耳を貸さない彼には、まさに朽木は雕るべからずである。)

朽木は雕るべからずと叱られた宰予は、孔門十哲の一人

「腐った木」「汚れた土」とまで孔子に酷評された弟子の宰予さいよですが、実はただのダメな弟子で終わったわけではありません。

『論語』に記された孔子の優れた高弟たち、いわゆる「孔門十哲こうもんじってつ」の一人に、この宰予さいよがしっかりと名を連ねています。
彼の才能は「言語(弁舌)」の分野においてずば抜けており、孔子の教えに鋭く切り込んだり、時には堂々と反論したりするほどの切れ者でした。

宰予さいよの昼寝を叱った同じ章で、孔子は、以前は人の言葉を聞けばその行いも信じていたが、宰予さいよのことがあってからは、言葉を聞いても行いを確かめるようになった、とも述べています。

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