誰もが知っているはずの事実を、目の前で平然と否定される。
あるいは、明らかに作り話だと分かる内容を、さも真実かのように語られる。そんな瞬間に覚える、言葉を失うほどの強い違和感があります。
このように、どこからどう見ても明らかな、救いようのない嘘のことを、
「真っ赤な嘘」(まっかなうそ)と言います。
意味・教訓
「真っ赤な嘘」とは、全くの作り事であり、一片の真実も含まれていない嘘を意味します。
単なる「嘘」よりもその度合いが強調されており、誰の目にも明らかなほどひどい虚偽を指して使われます。
そこには、騙そうとする相手への呆れや、事実とのあまりの乖離(かいり)に対する驚きといったニュアンスが含まれる言葉です。
語源・由来
「真っ赤な嘘」の由来は、色の「赤」が持つ「明らかな」「全くの」という強調の意味にあります。
この「赤」は色彩としての赤色を指すのではなく、「赤裸々(せきらら)」や「赤の他人」という言葉と同様に、隠し立てのない様子や、全くの別物であることを示す接頭辞のような役割を果たしています。
また、仏教用語の「摩訶(まか)」という言葉が転じたという説もあります。「摩訶」は「偉大な」「非常に」という意味を持ち、これが「真っ赤」という音と結びついたと考えられています。
使い方・例文
「真っ赤な嘘」は、相手の言動が完全に事実と異なると断定できる場面で使われます。
日常の些細なごまかしから、社会的な大きな虚偽まで、幅広く用いられる表現です。
例文
- 宿題を忘れた理由を話したが、真っ赤な嘘だと見抜かれた。
- 昨日まで一度も会ったことがないなんて、それは真っ赤な嘘だ。
- 広告に書かれていた「誰でも簡単に稼げる」という文句は、真っ赤な嘘だった。
- 彼は家を一度も出ていないと言い張るが、それは真っ赤な嘘である。
類義語・関連語
「真っ赤な嘘」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 虚偽(きょぎ):
事実ではないこと。また、人をだますための偽り。 - 空言(そらごと):
中身のない、いい加減な言葉。でたらめ。 - 作り事(つくりごと):
実際にはないことを、あったかのように仕組んだこと。 - 荒唐無稽(こうとうむけい):
言動に根拠がなく、現実味がないこと。
対義語
「真っ赤な嘘」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 真実(しんじつ):
嘘偽りのない、本当のこと。 - 正真正銘(しょうしんしょうめい):
全く嘘偽りがなく、本物であること。 - 紛れもない(まぎれもない):
間違いようがなく、明白であること。
英語表現
「真っ赤な嘘」を英語で表現する場合、以下のような定型句があります。
a downright lie
「全くの嘘」「ひどい嘘」という意味で、最もニュアンスが近いです。
「それは真っ赤な嘘だ。」
It is a downright lie.
a pack of lies
「嘘の塊」という意味で、次から次へと嘘を重ねている様子を表します。
「彼の話は真っ赤な嘘ばかりだった。」
His story was a pack of lies.
知っておきたい豆知識
「赤」という漢字には、もともと「裸(はだか)」や「ありのまま」という意味が含まれています。
例えば、地面に草木が一本も生えていない状態を「赤地(あかち)」と呼び、何の飾りもない、むき出しの状態を「赤裸々」と言います。
この「隠すものが何もない」というニュアンスが転じて、「隠しようがないほど明らかな嘘」を「真っ赤な嘘」と呼ぶようになったのです。
ちなみに、英語には「真っ白な嘘(a white lie)」という表現がありますが、こちらは「相手を傷つけないための罪のない嘘」を指し、意味合いが全く異なるので注意が必要です。
まとめ
「真っ赤な嘘」は、事実が完全に排除された、救いようのない虚偽を指す言葉です。
その語源が「色彩」ではなく「明らかなこと」を指す「赤」にあるという点は、日本語の興味深い特性と言えるでしょう。
この言葉の背景を知ることで、表面的な否定だけでなく、言葉が持つ強調の力をより深く理解できるようになることでしょう。









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