意味
「終わり良ければ全て良し(おわりよければすべてよし)」とは、物事は結末さえ良ければ、それまでの過程で起きた失敗や不手際は問題にならないという意味の言葉です。
たとえ途中で大きなミスをしたり、予想外のトラブルに見舞われたりしても、最終的に良い結果が得られれば、それまでの苦労は成功のための糧として肯定的に捉えられるという考え方を示しています。
語源・由来
「終わり良ければ全て良し」は、英語のことわざ「All’s well that ends well」に当たる言葉で、16世紀末から17世紀初頭にかけて活躍したイギリスの劇作家、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲の題名『All’s Well That Ends Well』としても知られています。
ただし、このことわざはシェイクスピアより前からありました。
1381年のヘンリー・ナイトンの年代記に「If the ende be wele, than is alle wele」という形が見え、16世紀の劇作家ジョン・ヘイウッドのことわざ集には今の言い回しで載っています。
この物語は、身分違いの恋に落ちたヒロインのヘレナが、知恵を絞り、数々の困難を乗り越えて最後には愛する人の心を射止めるという喜劇です。
題名の句は、劇中のヘレナのせりふにも出てきます。
使い方・例文
「終わり良ければ全て良し」は、過程に多少の不備があっても、最終的に成功した際に自分や周囲を勇気づけたり、安堵したりする場面で使用します。
例文
- 出発は遅れたが最高の夕日が見られた。終わり良ければ全て良しとしよう。
- 味付けを間違えて焦ったが、みんな完食してくれた。終わり良ければ全て良しだ。
- 機材トラブルがあったが契約は決まった。終わり良ければ全て良しである。
誤用・注意点
この言葉は前向きな響きを持っていますが、状況によっては「無責任」と受け取られるリスクがあるため注意が必要です。
例えば、自分の不注意で誰かに多大な迷惑をかけた際、謝罪もそこそこに「終わり良ければ全て良しですね!」と言ってしまうと、相手は「過程で生じた苦労や被害を軽視している」と感じるかもしれません。
この言葉は、苦労を共にした仲間同士でねぎらい合ったり、自分の失敗を前向きに受け止めたりする場面で使うのが向いています。
類義語・関連語
「終わり良ければ全て良し」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 有終の美を飾る(ゆうしゅうのびをかざる):
最後までやり遂げ、立派な成果を収めること。 - 結果オーライ:
途中のプロセスに問題があっても、最終的な結果が良ければそれで良いとする考え方。 - 勝てば官軍(かてばかんぐん):
道理に合わないことをしていても、最終的に勝った者が正義とされること。
対義語
「終わり良ければ全て良し」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。
- 画竜点睛を欠く(がりょうてんせいをかく):
最後の大事な仕上げを欠いたために、全体が不完全になってしまうこと。 - 九仞の功を一簣に虧く(きゅうじんのこうをいっきにかく):
長い間の努力も、最後の一踏ん張りを怠ったために全てが無駄になること。 - 仏作って魂入れず(ほとけつくってたましいいれず):
ほとんど出来上がっているのに、肝心な仕上げが抜けているために役に立たないこと。
英語表現
「終わり良ければ全て良し」を英語で表現する場合、以下の定型句が使われます。
All’s well that ends well
「終わり良ければ全て良し」
シェイクスピアの戯曲の題名にもなっている、英語のことわざ。
We missed our train, but we met some great people. All’s well that ends well.
(電車を逃したが、素晴らしい人々に出会えた。終わり良ければ全て良しだ。)
英語のことわざでも「終わりが冠」
シェイクスピアの喜劇『All’s Well That Ends Well』の第4幕第4場の終わりで、ヘレナは題名の句に続けてこう語ります。
「All’s well that ends well; still the fine’s the crown; Whate’er the course, the end is the renown.」
(終わり良ければ全て良し、終わりこそが冠、どんな道筋をたどっても結末が誉れとなる)
ここの「fine」は「良い」ではなく「終わり」の意味です。
この「終わりが冠」という言い方は、英語では古くからのことわざでもあります。
「The end crowns the work」(終わりが仕事の冠となる)は1509年の本に用例があり、ラテン語にも「finis coronat opus」という同じ句があります。
シェイクスピア自身も、別の戯曲『トロイラスとクレシダ』で「The end crowns all」(終わりがすべてに冠をかぶせる)と書いています。














コメント