終わり良ければ全て良し

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ことわざ 慣用句
終わり良ければ全て良し
(おわりよければすべてよし)
短縮形:終わりよければ

12文字の言葉」から始まる言葉

文化祭や運動会などの大きな行事。
準備の段階では意見が衝突したり、本番で小さなミスが重なったりして、一時はどうなることかと肝を冷やす場面もあるものです。
しかし、最後が大きな拍手で包まれ、参加した全員が笑顔で終わることができれば、それまでの苦労や失敗はどこかへ吹き飛んでしまうのではないでしょうか。
そんな状況を、「終わり良ければ全て良し」(おわりよければすべてよし)と言います。

意味・教訓

「終わり良ければ全て良し」とは、物事は結末さえ良ければ、それまでの過程で起きた失敗や不手際は問題にならないという意味の言葉です。

たとえ途中で大きなミスをしたり、予想外のトラブルに見舞われたりしても、最終的に良い結果が得られれば、それまでの苦労は成功のための糧として肯定的に捉えられるという考え方を示しています。
また、物事の評価は最後をどう締め括るかで決まるため、最後まで気を抜かずに完結させることの重要性を説く際にも使われます。

語源・由来

「終わり良ければ全て良し」の語源は、17世紀のイギリスを代表する劇作家、ウィリアム・シェイクスピアが執筆した戯曲のタイトル『All’s Well That Ends Well』にあります。

この物語は、身分違いの恋に落ちたヒロインのヘレナが、知恵を絞り、数々の困難を乗り越えて最後には愛する人の心を射止めるという喜劇です。
劇中で、ヘレナが「結末が良ければ全てがうまくいく。最後に報われるものなのだ」という趣旨のセリフを述べており、これがこの言葉の起源とされています。

明治時代以降、シェイクスピアの作品が日本に翻訳・紹介される過程で、このフレーズが日本語の語感に馴染む形で定着しました。
現在では西洋由来であることを意識せずに使われるほど、日本の日常に広く浸透しています。

使い方・例文

「終わり良ければ全て良し」は、過程に多少の不備があっても、最終的に成功した際に自分や周囲を勇気づけたり、安堵したりする場面で使用します。

例文

  • 忘れ物で出発が遅れた家族旅行だったが、最高の夕日が見られたので「終わり良ければ全て良し」としよう。
  • 「料理の味を間違えて焦ったけれど、みんなが完食してくれたから終わり良ければ全て良しね」と姉が笑った。
  • プレゼン中に機材トラブルがあったが、結果的に契約が決まった。まさに「終わり良ければ全て良し」である。

文学作品・メディアでの使用例

『終わりよければすべてよし』(ウィリアム・シェイクスピア)

本作の終盤、複雑に絡み合った騒動が解決に向かう際、幸せな結末を確信する場面で登場します。

すべてよし、終わりがよければ。いかに苦難が多かろうと、報われる時が来ればそれは過去のこと。(編集部訳)

誤用・注意点

この言葉は前向きな響きを持っていますが、状況によっては「無責任」と受け取られるリスクがあるため注意が必要です。

例えば、自分の不注意で誰かに多大な迷惑をかけた際、謝罪もそこそこに「終わり良ければ全て良しですね!」と言ってしまうと、相手は「過程で生じた苦労や被害を軽視している」と感じるかもしれません。
この言葉は、苦難を共にした仲間同士で労い合ったり、自分自身の失敗を前向きに解釈して次に繋げたりする「自己補完」や「連帯」の文脈で使うのが最も適しています。

類義語・関連語

「終わり良ければ全て良し」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 有終の美を飾る(ゆうしゅうのびをかざる):
    最後までやり遂げ、立派な成果を収めること。
  • 結果オーライ
    途中のプロセスに問題があっても、最終的な結果が良ければそれで良いとする考え方。
  • 勝てば官軍(かてばかんぐん):
    道理に合わないことをしていても、最終的に勝った者が正義とされること。

対義語

「終わり良ければ全て良し」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。

  • 画竜点睛を欠く(がりょうてんせいをかく):
    最後の大事な仕上げを欠いたために、全体が不完全になってしまうこと。
  • 九仞の功を一簣に欠く(きゅうじんのこうをいっきにかく):
    長い間の努力も、最後の一踏ん張りを怠ったために全てが無駄になること。
  • 仏作って魂入れず(ほとけつくってたましいいれず):
    ほとんど出来上がっているのに、肝心な仕上げが抜けているために役に立たないこと。

英語表現

「終わり良ければ全て良し」を英語で表現する場合、以下の定型句が使われます。

All’s well that ends well.

「終わり良ければ全て良し」
シェイクスピアの戯曲名そのものであり、英語圏で最も一般的に使われることわざです。

  • 例文:
    We missed our train, but we met some great people. All’s well that ends well.
    (電車を逃したが、素晴らしい人々に出会えた。終わり良ければ全て良しだ。)

言葉の背景

「終わり良ければ全て良し」は、西洋から輸入された言葉でありながら、日本の「水に流す」という文化的な土壌にも非常にマッチした表現です。

日本では古来より、過程に多少の行き違いがあっても、最終的に円満に収まれば「めでたしめでたし」と祝う精神が重んじられてきました。
現代でも、プロジェクトの打ち上げやスポーツの試合後などにこの言葉が飛び交うのは、過去のわだかまりを清算し、次への一歩を踏み出すための「心の切り替えスイッチ」として機能しているからだと言えるでしょう。

まとめ

「終わり良ければ全て良し」という言葉は、私たちに「最後をどう締め括るか」に集中することの大切さを教えてくれます。
人生には予期せぬトラブルがつきものですが、そこで足を止めるのではなく、より良い結末を目指して粘り強く取り組むことで、過去の失敗すらも価値ある経験へと塗り替えることができます。

目の前の困難に囚われすぎず、少し先の「最高のエンディング」を想像しながら歩むための、力強い支えとなる言葉と言えることでしょう。

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