ことわざ

蛇に噛まれて朽ち縄に怖じる

(じゃにかまれてくちなわにおじる)

過去の失敗に懲りて、無害なものまで過剰に恐れること。

異形:一度蛇に噛まれて朽ち縄に怖じる

15文字の言葉し・じ」から始まる言葉
蛇に噛まれて朽ち縄に怖じる ことば
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意味

「蛇に噛まれて朽ち縄に怖じる」とは、一度ひどい目に遭うと、それ以降は似たものを見ただけで、実害がないにもかかわらず過剰に恐れることのたとえです。

  • (じゃ):自分に危害を加えた恐ろしい存在の象徴。
  • 朽ち縄(くちなわ):腐って放置された古い縄。

かつて蛇に噛まれた経験がある者が、道端に落ちている腐った縄を蛇と見間違えて怯える様子から、慎重になりすぎて疑心暗鬼に陥る人間の弱さを言い表しています。

語源・由来

「蛇に噛まれて朽ち縄に怖じる」は、古くから日本に伝わることわざですが、特定の出典となる中国の故事や古典作品があるわけではありません。

「朽ち縄」という言葉は、古語で「蛇」そのものの別称として使われることもありましたが、このことわざにおいては「蛇に似た無害なもの(古い縄)」として対比されています。
一度味わった恐怖が記憶に深く刻まれ、理屈ではわかっていても体が反応してしまうという、普遍的な人間心理を捉えた表現として定着しました。

使い方・例文

過去の失敗やトラウマが原因で、必要以上に臆病になったり、警戒心を強めたりしている人を指して使われます。

例文

  • 犬に噛まれて以来、小さな犬でも身構えてしまう。蛇に噛まれて朽ち縄に怖じるだ。
  • 牡蠣で食中毒になって以来、加熱しても警戒する。蛇に噛まれて朽ち縄に怖じるだ。
  • 一度だまされて以来、その話題が出るだけで警戒する。蛇に噛まれて朽ち縄に怖じるだ。

類義語・関連語

「蛇に噛まれて朽ち縄に怖じる」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 羹に懲りて膾を吹く(あつものにこりてなますをふく):
    熱いスープ(羹)で火傷をしたのに懲りて、冷たい和え物(膾)まで吹いて冷まそうとする。一度の失敗から過剰に用心深くなること。
  • 二度あることは三度ある(にどあることはさんどある):
    物事は繰り返される傾向があるため、一度起きたことは次も起こるものとして警戒すべきだということ。
  • 疑心暗鬼を生ず(ぎしんあんきをしょうず):
    疑う心があると、何でもないものまで恐ろしく見えてしまうこと。恐怖心が実体のないものを恐ろしいものに見せてしまう心理状態を指します。
  • 落ち武者は薄の穂にも怖ず(おちむしゃはすすきのほにもおず):
    一度手痛い敗北を喫して怯えている者は、風に揺れるススキの穂のような無害なものを見ても、敵の追手ではないかと恐れること。

対義語

「蛇に噛まれて朽ち縄に怖じる」とは対照的な意味を持つ言葉は以下の通りです。

  • 失敗は成功のもと(しっぱいはせいこうのもと):
    失敗を反省して改善すれば、それが後の成功に繋がるということ。
  • 喉元過ぎれば熱さを忘れる(のどもとすぎればあつさをわすれる):
    苦しい経験も、過ぎ去ってしまえばその苦しさや恩義をすっかり忘れてしまうこと。

英語表現

「蛇に噛まれて朽ち縄に怖じる」を英語で表現する場合、以下の定型句がよく使われます。

Once bitten, twice shy

意味:一度噛まれたら、二度目は臆病になる。
一度嫌な思いをすると、次からは非常に慎重になるという意味です。

After the car accident, he’s afraid to drive even a short distance. Once bitten, twice shy.
(交通事故の後、彼は短距離の運転さえ怖がっている。一度噛まれたら二度目は臆病になる、ということだ。)

A burnt child dreads the fire

意味:火傷をした子供は火を恐れる。
一度痛い目に遭った者は、その原因となったものを極端に避けるようになるという意味です。

過剰な警戒が生まれる仕組み

このことわざは、心理学でいう「汎化」という現象を表しています。
特定の恐怖体験が、それと似た別の対象にまで広がってしまう状態です。

同じ趣旨の言い方に「羹に懲りて膾を吹く」があり、こちらは『楚辞』に由来します。
熱い吸い物でこりて冷たい膾まで吹く、という形で、やはり行き過ぎた用心を言ったものです。

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