子を持って知る親の恩

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ことわざ
子を持って知る親の恩
(こをもってしるおやのおん)
異形:子を育てて知る親の恩

12文字の言葉こ・ご」から始まる言葉

子供を育てるという経験は、想像以上の苦労と喜びの連続です。
子を持って知る親の恩」とは、まさにその渦中に身を置くことで初めて理解できる、親への感謝と敬意を表した言葉です。
自分が親の立場になって初めて気づく、無償の愛の深さについて説いています。

「子を持って知る親の恩」の意味

「子を持って知る親の恩」とは、自分が親となり、子供を育てる苦労や喜びを実際に体験してはじめて、自分の親がいかに深い愛情を持って育ててくれたかがわかるという意味です。

子供の立場であるうちは、親が注いでくれる愛情や、日々の世話を「当たり前」だと感じてしまいがちです。
また、親の心配を「うるさい」と感じることもあるでしょう。
しかし、いざ自分が親になり、夜泣きに悩み、病気を心配し、成長を喜ぶ日々を過ごすことで、かつて親も自分に対して同じように悩み、愛してくれていたのだと痛感します。

この言葉は、単なる知識としての「理解」ではなく、体験を通じた深い「共感」と「感謝」を表しています。

「子を持って知る親の恩」の由来・背景

このことわざに特定の書物などの出典はありませんが、古くから人々の生活の中で実感として語り継がれてきた言葉です。
江戸時代から明治時代にかけて普及した「いろはかるた」にも採用されており、特に京都を中心とした「京いろはかるた」では「こ」の札としてこの言葉が使われています。

日本社会において、世代を超えて親子の情愛を伝える教訓として、長きにわたり親しまれてきた言葉の一つです。

「子を持って知る親の恩」の使い方・例文

主に、自身が結婚し子供が生まれたタイミングや、子育てに奮闘している最中に、親への感謝を込めて使われます。
また、親孝行の大切さを説く場面でも用いられます。

例文

  • 毎晩の夜泣きに付き合う中で、「子を持って知る親の恩」とはこのことかと、母の苦労が身に沁みてわかった。
  • 反抗期の息子に手を焼きながら、かつての自分を思い出している。まさに「子を持って知る親の恩」だ。
  • 初孫を抱いた息子が「親父、ありがとう」と言ってくれた。彼もようやく「子を持って知る親の恩」を実感したようだ。

「子を持って知る親の恩」の使用上の注意点

この言葉は、普遍的な真理を含んでいますが、使用する相手や場面には配慮が必要です。

  • 状況への配慮:様々な事情で子供を持たない選択をした人や、子供を持つことができない人に対して、この言葉を不用意に使うことは避けるべきです。「子供を持っていないから親の恩がわからない」という否定的なニュアンスで受け取られる恐れがあるためです。
  • 自分自身に使うのが基本:他人に「あなたも子供を持てばわかる」と説教するために使うよりも、自分自身の気づきや親への感謝を表現する言葉として使う方が、角が立たず共感を呼びます。

「子を持って知る親の恩」の類義語・関連語

親子の情愛や恩に関連する言葉は数多く存在します。

  • 親の心子知らず(おやのこころこしらず):
    親が子供を思う深い愛情や気苦労も知らないで、子供は勝手気ままに振る舞うこと。「子を持って知る親の恩」の前段階の状態と言えます。
  • 孝行のしたい時分に親はなし(こうこうのしたいじぶんにおやはなし):
    親の恩に気づき、孝行したいと思った頃には、親はすでに亡くなっているということ。親が健在なうちに孝行すべきだという戒め。
  • 養い子より親の恩(やしないごよりおやのおん):
    他人の子を養子として育てた苦労よりも、実の親から受けた恩のほうがありがたいということ。または、自分が苦労して養子を育ててみて初めて、実の親の恩がわかるということ。

「子を持って知る親の恩」の英語表現

英語圏にも、同様のニュアンスを持つことわざが存在します。

He that has no children knows not what is love.

  • 意味:「子供を持たない者は、愛が何であるかを知らない。」
  • 解説:イタリアのことわざに由来するとも言われます。
    子供を持つことで初めて真の無償の愛(親の愛)を理解できるという意味で、日本語の「子を持って知る親の恩」と非常に近い精神性を持っています。
  • 例文:
    Seeing her care for her baby, I realized the truth of the saying, “He that has no children knows not what is love.
    (彼女が赤ちゃんの世話をするのを見て、「子供を持たない者は愛を知らない」という言葉の真実を悟った。)

「子を持って知る親の恩」に関する豆知識

いろはかるたの地域差

前述の通り、「子を持って知る親の恩」は「京いろはかるた」の「こ」の札です。
しかし、地域によって採用されていることわざが異なります。

  • 江戸いろはかるた
    子ゆえの闇(こゆえのやみ)」などが使われます。
    これは「親は子供への愛情が深すぎるあまり、判断を誤ったり迷ったりして闇の中を彷徨うような心持ちになる」という意味です。
  • 大阪(上方)など
    これに懲りよ道安(これにこりよどうあん)」などが使われることもあります。

「子を持って知る親の恩」が感謝と成長に焦点を当てているのに対し、「子ゆえの闇」は親心の切なさや盲目的な側面に焦点を当てており、地域の文化や視点の違いが感じられて興味深いポイントです。

まとめ – 世代を超えて受け継ぐ感謝のバトン

「子を持って知る親の恩」は、私たちが成長過程で必ず直面する気づきの言葉です。
親の小言が愛情の裏返しだったと気づくのも、自分の時間を犠牲にしてまで尽くしてくれた日々に感謝するのも、同じ立場に立って初めてわかることかもしれません。

この言葉を噛みしめた時こそ、親への感謝を言葉や行動で伝える絶好の機会です。
そして、受け取ったその恩を、今度は自分の子供や次の世代へと、愛情という形で繋いでいくことが大切なのです。

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